This is my essay.








 のんびりとした冬の、とある土曜日のことである。家内と、神田須田町の万惣に行った。家内が「万惣のホットケーキを食べたい」と言い出したからである。確かに以前ここに行ったのは、娘が特別の用事で来たときのことだから、もう数ヶ月も行っていない。それでは久しぶりにここで食べようということで、地下鉄で出かけたのである。御茶ノ水駅で降りて靖国通りを歩き、交差点角に万惣のビルが見えた。

 すたすたと階段を上がっていくと、お昼の時間を過ぎていたせいか、ウェイトレスではなくてコックさんが一人いて、接客をしている。「何人ですか」と聞かれて「二人!」と答えると、ちょうど空いていた窓際の二人席に案内された。

 メニューを見ると、家内はもうホットケーキを食べると決めていて、紅茶を合わせて頼む。私はというと、先日食べたフルーツオムレツの不思議な味がもう忘れられなくて、「またなの?」と言われるも気にせずに、アメリカン・コーヒーとともにこれを頼んだ。そこでやっと回りを見る余裕ができた。休みの日なので、カップル、若い女性どうし、母と娘という組み合わせだけでなく、夫婦と大きな娘ふたりという組み合わせもいる。しかし、夫婦で甘いものを食べにきているというのは、恥ずかしながら、われわれだけであった。

家内「小さい頃、ホットケーキはごちそうじゃなかった?」
私 「そうそう、母さんが焼いてくれたときの、あの独特の匂いを思い出すね。」

 しばらくしてまずホットケーキが来て、それからほどなくしてフルーツオムレツを持ってきた。これが誠に妙なものというか、変わった食べ物なのである。まず、バナナ、パイナップル、いちご、キウイフルーツなどの塊りが敷かれているその上に、半円形のぽってりとした黄色の玉子焼きのようなものが載っている。まあ、オムレツといえばオムレツなのであるが、中を割ってみると、とろりとしたクリーム状となっている。色はカスタードクリーム風だけれども、まるで泡のようなもの。食べると、すぐに溶けてしまう。こんなものを、どうやって作るのかという感じなのである。本当に、不思議としかいいようがない。

 この「万 惣」、創業150年とのこと。日本橋の千疋屋のようなものである。





(平成18年12月21日著)
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悠々人生のエッセイ

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