悠々人生のエッセイ



桜木町駅の帆船日本丸とコスモワールドの観覧車



横浜クルーズの写真
横浜イルミネーションの写真

 これまで私は、山下公園から見た横浜港とその近くの中華街の夜景の写真を撮ったことはあるが、どうやらそれは、横浜の夜景のごく一部らしい。東京メトロのパンフレット「都心から横浜へ直通の『こなとみらい号』で行く横濱クリスマス夜景」を見ていると、このクリスマスの季節には、横浜市内の主要な建物のイルミネーションやクリスマスの飾り物がなかなか美しいようだ。では、クリスマスの一週間前だけれども、ちょっと様子を見て来ようかと、二人で出かけた。自宅を出る前に、夜景だけでなく、横浜港の手軽なクルーズはないかと調べたところ、「横濱ベイサイドライン」の「ハーバービュー横濱」というものがあった。横浜港をロイヤルウィング号でちょっと回り、それから横浜の夜景をバスで眺めるという趣向である。これも手軽だから、ちょうど良いと思って電話をしたところ、オフ・シーズンらしくて、席は空いていた。

ロイヤルウィング号


 横浜駅そごうの近くにあるバスターミナルから出発するらしい。早く着きすぎたので、時間調整をしなければならない。そごうのおもちゃ売り場に行き、何か初孫ちゃんに適当なプレゼントになるものはないかと探すことにした。先日、彼を連れてきたときには、足で蹴って進むBMVのスポーツカーをいたく気に入っていたというので、それを見に行った。現物を見てみると、なるほど良さそうけれども、考えてみるとこんなものを家で走らせるわけにはいかないし、そうかといって近くの公園で走ってもらうにしても、ご迷惑だろうと、買うのは止めにした。結局、クリスマス・プレゼントは、定番のブリオの木製レールのキットにした。これは、衣装缶のような大きなプラスチック箱に一式が入っているものである。

ロイヤルウィング号のサンタさんの大きな人形


 それはともかくとして、時間になり、一階に降りていってスーパーハイデッカーという赤い色のバスに乗った。まずは、大桟橋に行って、そのロイヤルウィング号に乗り込む。近くで見上げると、5〜6階建てのビルにも相当する大きなクルーズ船である。デッキの階には、サンタさんの大きな人形があり、それが風に揺られてコミカルな動きをしている。見ていて、見飽きない。先週この船を見た初孫ちゃんも、驚いた顔で眺めていたそうだ。

船に用意されたケーキ群


 ボーイさんに案内されて船室に通され、テーブル席の椅子に座った。すると、ケーキとフルーツのバイキングを用意しているという。そんな甘い物は、そうそう食べられないと思ったが、プレートに何種類かを載せて自席に戻ると、まあ結構よろしい味で、恥ずかしながら、皆平らげてしまった。ただ、カロリーの高いケーキと果物だから、せめてお茶だけはウーロン茶にしておいた。ピアノとフルートの生演奏も奏でられて、いずれも懐かしい曲ばかり聞こえてくる。これは案外、中高年向きかもしれない。

ランドマーク、クイーンズスクウェア、グランドインターコンチネンタルホテルの特徴的な建物群

すれ違う船

ベイブリッジをくぐる

翻る日章旗のはるか向こうにベイブリッジ


 そのお茶とケーキの幸福なひとときが終わり、上甲板のデッキに出てみた。真っ青な空に白いベイブリッジが見える。少し向こうには、ランドマーク、クイーンズスクウェア、グランドインターコンチネンタルホテルの特徴的な建物群と、コスモワールドの観覧車が見える。もっとも、午後は逆光になるから、良い写真を撮ることが出来ないのが残念なところである。行き交う船があり、大小様々である。おっと、そろそろベイブリッジをくぐるようだ。橋桁がぐんぐん近づいてきて、その真下から見上げる形となったが、けっこう高い。クイーン・エリザベスU号が通れるように、高さは175メートルだといっていたような気がする。東京のレインボー・ブリッジがその建造当時の世界最大級の客船に高さに合わせたものの、その後もっと高い船が主流になったために東京港に寄港できなくなったと、むかし何かで読んだことがある。その点、横浜の場合はまだ大丈夫なようだ。ところで、港にはカモメが付きものだが、どうも横浜港には、カモメはもちろん、鳥の数が非常に少ないような気がした。食べ物がないせいなのだろうか。

ブリッジ


レーダーの画面


 自席に戻ると、操舵室を見せてくれるという。入ると、傾斜した小さな窓が並んでいて、中央には丸いワイパー付きの窓がある。よく映画で見かける通りだ。操舵手が操舵輪を動かしている。船長さんに、レーダーを見せてもらった。黒い丸い画面に緑の粒々が数多く浮かんでいて、レーダーが動くたびにその一部が動く。ああ、前方に横切っている白い線がレインボーブリッジである。その向こうは陸地で、レーダーが動くたびに位置を変える緑の点は、船舶だ。ははぁ、左手にはちょっと倒れたような灯台らしき影があり、見慣れるとかなりわかる。船長さんに海上版のGPSはないのですかと聞くと、あるとの答え。それには、暗礁の位置などの海図情報も入っているらしい。この世界でも、ITの波が押し寄せてきているようだ。もっとも、たとえば太陽からの磁気嵐のようなものが襲ってきて、パソコンやらGPS衛星やらが故障してしまったら、やはり紙の海図に頼るしかあるまい。便利なような、不便なような世界になった。

赤レンガ倉庫


 出発した大桟橋に戻り、その客船ターミナルからバスで赤レンガ倉庫に向かう。倉庫には1号館と2号館とがあり、前者は後者の半分の大きさで、主にイベントホールのような使われ方をしていて、後者はレストランや物販の店が入っている。ちなみに、最初の館の創建は1911年で、当時は二つとも同じ大きさだったが、1923年の関東大震災で1号館は半壊したそうで、それ以来、半分のままのようだ。占領軍による接収と長い停滞期を経て、2002年に整備されて現在の形になったという。

 着いたときはもう夕暮れで、ランドマークやコスモワールドの観覧車が夕闇の空に浮かぶ姿が幻想的だった。ところが、建物の中は中でネオンサインがきらめき、こちらもまるで異次元の世界のようである。一階には世界の縁日のような色とりどり、中身さまざまの食べ物屋さんがひしめき、二階にはアクセサリー・ショップというのか、バラエティ・ショップというのが正しいのか知らないが、その手の小間物屋さんが軒を連ねて立ち並ぶ。そこをぞろぞろと主に若い人が散策し、かつ食べているというまさに縁日状態だ。中庭には、クリスマス・ツリーが飾られて、またその回りを屋台が取り巻く。1号館前の広場にはスケートリンクまで作られている。その雑踏をしばし見物して、バスに戻った。バスに乗り込む頃には、とっぷりと日が暮れていて、たったいま来た道もわからないほどだった。

港の見える丘公園から見るベイブリッジ


 今度は一路、ベイブリッジを通ってバスは大黒ふ頭に向かう。ベイブリッジは最上階を通るので、眺めがよい。港を横から見渡せる・・・といってもただ向こう岸に行って再び戻るというだけだが、遮るものがないだけに、夜景の美しさは格別である。それから、港の見える丘公園に向かった。もうあたりは漆黒の闇といってもよいほどだが、そこを公園に降り立ち、展望台に歩いていった。びゅんびゅん冷たい北風が吹き、そこに三脚を立てて、写真を撮ったのだが、何しろ風が強いために、あまり良い写真は撮れなかった。その回りには、元イギリス公使館とか山手111号館などの山手西洋館があったが、立ち寄る時間はなかったので、また今度行ってみたいと思っている。残念ながら外国人墓地は、暗くてよく見えなかった。

 元町商店街の入口をかすめて、山下公園に戻った。私たちは、ここで降りて夜景を撮ろうと考えていたが、何しろ寒い日だったので、それは止めておこうと思い、このまま乗っていることにした。バスが市内を走っているときに、横浜三塔つまりキング、クィーン、ジャックと呼ばれる三つの塔があって、キングは神奈川県庁、クィーンは横浜税関、ジャックは開港記念館の建物とのこと。そういえば、それぞれの建物のてっぺんは、県庁が四角、税関はイスラム風の優雅な半球、記念館は二段重ねと、いずれもちょっと変わった趣向になっている。横浜に入港する外国人船員がそう呼んでいたそうだが、なるほどそれらしい。

 再び、みなとみらい地区に戻ってきた。クリスマスの夜景を撮るため、我々は、グランドインターコンチネンタルホテルでバスを降り、そこから桜木町駅まで歩くことにした、このホテルは、外形は船の帆のような特徴的な形をしているが、中については私の昔の知識では、全く何もないという印象しかなかった。ところが今回は建物に入ってみると、ASEAN首脳会議がつい先日行われたおかげかどうかはわからないが、装飾もあちらこちらにあって、昔に比べれば、かなり良くなっていた。そこから、クイーンズスクウェアに向けて歩いてい行った。ロイヤルパークホテルの辺りで外に出ると、コスモワールドの観覧車がよく見えるテラスがある。そこで、その色とパターンを刻々と変える観覧車を撮った。その横には、丸い形の大遊具があって、それが回りながら立ち上がると、画面には観覧車の横に丸い光の輪が立ったり、斜めになったり、横になったりするように見えて、なかなか面白い風景である。ひとしきり、写真を撮った。

コスモワールドの観覧車、丸い形の大遊具


 それが終わると再び元の路に戻り、ランドマークの建物の辺りで、吹き抜け部分に大きなクリスマス・ツリーを見つけた。スワロフスキーの13,000個のクリスタルで出来ているとのこと。これは綺麗だとうっとりして見ていたら、音楽に合わせて色が変わりだした。元々のクリスタルの白色から、青、緑、ピンクなどと変化していく。その前で、4歳くらいの女の子が、音楽に合わせて踊り出した。なかなかうまいので、皆さん笑いながら見ている。両手を振るだけでなく、くるりと後ろを向いて、おしりをひょこひょこ動かしたので、皆、大笑いした。この年齢で自然に踊り出すところを見ると、踊りの素質がありそうだ。

スワロフスキーのクリスマス・ツリー


 桜木町駅に向かう動く歩道のところで、帆船日本丸とコスモワールドの観覧車が重なって見える位置がある。それが本日最高の夜景撮影スポットである。日本丸の船首あたりに当たる光が水面に反射する位置を見つけて三脚を立て、撮影をした。問題は、背景となる観覧車の光の色とパターンである。シャッターを押すときにブレないように、2秒後にシャッターが切れる仕組みを使っているのだが、それだと、写真は2秒後の姿となる。ところがそのときには、もう観覧車の色とパターンは面白くも何ともなくなっている。だから、しばらく見ていて、その変化を覚えてシャッターを押すしかない。こんな面倒なことを避けるために「リモートレリーズ」といって、カメラのシャッターボタンに取り付け、離れた場所からシャッターを切ることの出来るアクセサリーがあるのだが、まだ購入していないので、こういう有様となる。でも、家内を待たせただけあって、まあまあ満足出来る写真が撮れた。それで、意気揚々と家路に着いたというわけである。寒さの中、辛抱強く待ってくれた家内に感謝しなければ。

桜木町駅の帆船日本丸とコスモワールドの観覧車








(平成22年12月18日著)
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