悠々人生のエッセイ







   目  次
 東京ミッドタウン
 赤坂・赤坂見附
 お台場・青海
 六本木ヒルズ
 東京タワー
 カレッタ汐留
 銀座・日比谷
 恵比寿ガーデンプレイス
 光都東京ライトピア
10  新宿モザイク通り・南口
11  東京ドームシティ
12  表参道ヒルズ



1.東京ミッドタウン

スターライト


 東京ミッドタウンのイルミネーションは、なんといっても芝生広場で行われるスターライトが素晴らしい。暗い空から流れ星が中心に向かって落ちてきて、それから青い光の海に白い渦が巻き起こる。その様はまるで宇宙の惑星の軌跡を思わせる。やがてそれが渦が大きくなるように周囲の立木を巻き込んで、その立木群を流れ星の飛翔のような、あるいは惑星の航跡のような白い光が飛び移っていくのは、見応えがある。本年はそれに、中心部から白や赤の煙が立ち上るようになったから、昨年に比べてますます幻想的になったと思う。ただ、写真を撮る側からすれば、全体像がわかるのが望ましい。そのためには芝生広場の方向に突き出た二回の高さの渡り廊下から撮るのが理想的なのだが、そこはもちろん人で混雑しているから撮りようがなく、今年は地面から撮るほかなかったので、写真としてはいまひとつなのは残念である。

バンブー・イルミネーション


 さて順序は逆になってしまったが、建物に入るときの入り口に、バンブー・イルミネーションというものがあった。これは、竹林の間に緑色の筒がたくさん立てられていて、そこに川柳が書かれている。またその先には、プリズムアベニューといって、ガラスの箱から虹のように光の筋が出て、それが色々と色彩を変えるので、非常に美しい。それがまるで建物に入るときの光のゲートのようになっている。

プリズムアベニュー


 ところで、非常に不思議に思ったのは、このプリズムアベニューが出る真四角のガラスの箱である。遠目からは約150〜160センチメートル程度の四角いガラスの箱にすぎないが、近づいて中をのぞくと、その中が鏡面のようになっていて、それに限界がないものだから、立体的に果てしなく四角い鏡の箱が続いているように見える。こんなところに閉じ込められでもしたら、それこそ一大事である。ただ、現代の宇宙論によれば、我々の世界は五次元の世界の鏡面に映る四次元のホログラム映像だというから、知らないのは我々自身で、意外とそれは、こんな風景なのかもしれない。

プリズムアベニューが出るガラス箱


 建物内にはサンタツリーがあった。これは、なんとサンタクロースが円錐状に積み上がっているツリーで、ひとつひとつのミニチュア・サンタはなかなか味がある。いちいち見ていると、なかなか面白い。しかし、よく見ると、なかには恵比寿さんや大黒さんもあったので、びっくりした。また、ガレリアの4層の吹き抜け部分には、斜めに赤い装飾が数多く飾られていた。これは、巨大なクラッカーをモチーフにしたそうで、いやまあ、本当に賑やかであった。

サンタツリー


 なお、東京ミッドタウンの建物の周囲には、木々が大きなワイングラスのような形のイルミネーションで飾られていた。これは、パリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションを再現しているとのことである。

ガレリアの巨大なクラッカー





2.赤坂・赤坂見附

TBSの赤坂サカス


 赤坂といえば、まず思い浮かべるのはTBSの赤坂サカスである。これが出来る前は、要するに夜の歓楽街にすぎなかったが、サカスが建ってからは、近代的なオフィス街というイメージを持つ人も増えた。もっとも、私たちの頭の中では未だに従来通りのイメージで、ときどき夜の会食に使っている。それはともかくとして、赤坂サカスへの入り口は、両脇も天井も明るく、限りなく健康的である。

赤坂サカスのマキシム・ド・パリス


 ところで、赤坂見附には、「赤プリ」で知られているグランドプリンスホテル赤坂がある。所有している西武によれば、来年3月31日をもって営業を終了するとのこと。外から見ると、地上40階の新館はまだ新しいと見えるのだが、老朽化が進んでいるらしい。このホテルは、最上階のレストラン・ブルーガーデニアで年に一回の会食があり、そこから見下ろす赤坂見附交差点の夜景は実に美しかったが、もう見られないと思うと、残念至極というほかない。ちなみに、今年もまた例年通り、新館の建物の外壁がクリスマス・ツリーに彩られていた。

グランドプリンスホテルの赤坂クリスマス・ツリー


 また、同じ赤坂見附には、外資系のプルデンシャル・タワーがあるが、こちらの方のクリスマス・ツリーは、昨年もあったのかもしれないが、私は今年初めて見た。青と白が基調で、なかなか美しい。赤坂の夜が楽しくなること請け合いである。ちなみに私は、今年の忘年会のひとつをこのクリスマス・ツリーの隣のビルにある和食の「北大路」で行った。

プルデンシャル・タワーのクリスマス・ツリー





3.お台場・青海

レインボーブリッジと東京タワー


 昨年も、お台場の夜景を楽しんだものだが、それを思い出して、また今年も撮りに行った。このスポットは、私にとって手軽で近いのが良い。新橋からゆりかもめに乗ると、ほんの15分で台場駅に着く。そこから海の方に向かえば、正面にレインボーブリッジ、東京タワーそして右手に自由の女神がたいまつ掲げて立っているのが一望できる。特にこの季節には、レインボーブリッジはその名のとおり虹色にライトアップされているから、思わずその美しさに見とれてしまう。この橋を管理する首都高速道路公団によると、「レインボーブリッジのライトアップは、この地域が未来を志向する臨海副都心の『顔』となるために、『都市の美観の整備』『都市の安全性の確保』および『生活の時間・空間の拡大』という観点から、十分な検討のもとに計画されました」など大層な理屈をこねているけれど、もっと素直にたとえば「東京港の夜を美しく彩ることによって、町を明るくするとともに、観光の振興を図るために行っています。長寿命、省電力の光源を使い、また太陽光なども利用するなど、エコにも配慮しています」などと言えないものとか思ってしまう。

レインボーブリッジと東京タワーと自由の女神


 ところで、橋の手前の暗い海の中には、2〜3隻の屋形船が浮かんでいた。その中では、おそらく飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが繰り広げられているはずである。そう思うと、暗い中に明かりを灯して浮かんでいる怪しい船が、楽しく見えてくるから面白い。ところで、写真を撮る側から言わせてもらうと、レインボーブリッジはそういうわけで鮮やかな虹色、東京タワーはご存知のとおりキャンドル色のオレンジで、それぞれ美しいのだけれども、惜しむらくは自由の女神を照らす色が、なんとも無粋なのである。たとえば、くすんだオレンジ色とでも表現すべきか、ともかくこの照明を作った人には美観のセンスがまったくないのではないかと思うほどにひどい。昼間に見ると自由の女神はやや緑がかって見えるのだから、せめてそれと同じ色にすべきだろう。

幻想的に光輝く『オーロラリウム』


 とまあ、辛口批評はそれくらいにして、アクアシティお台場に入った。説明によれば「クリスマスイルミネーション『AQUA Christmas 2010』では、アクアリスト第一人者として活躍中の木村英智氏による、光と音楽で演出したアクアリウムアートによる、クリスマスイルミネーションを展開。幅8mの水槽をたくさんの魚が泳ぐ『ラグーンアクアリウム』、幻想的に光輝く『オーロラリウム』、水槽を覗くと魚の万華鏡になる『カレイドリウム』など、様々なアクアリウムアートによるロマンチックな世界が広がります」とある。なかでも、正十二面体のようなガラス容器に大きな赤い魚が入っていて、それをのぞき込む人々の顔があちらこちらに見える水槽は、秀逸である。それに当たる光の色が刻々と変わるので、とても面白かった。

ヴィーナスフォート噴水広場


 次に、ゆりかもめで青海駅に向かい、ヴィーナスフォートに入った。これも説明によれば「エントランスから噴水広場に掛けては、 チューブライトによる幻想的な光のカーテン、『オーロラ・カーテン』が前年の2倍の光で展開されます。 ローマ神話で、曙の女神『アウロラ』は、知性の光、創造性の光が到来する時の シンボルとされています。 その『アウロラ』が語源でもある“オーロラ”の光のエネルギーが、 噴水広場に向けてゆっくりと色彩を 変化させながら、人々を噴水広場へと いざないます」とある。まあ、美しいからその謂われのようなものはどうでもよいことなのだけれども、少し前の日本だったら、訳のわからない異国の神を崇拝するなんて・・・などとひどい目に遭うところだが、幸い今は21世紀でよかった。それにしても、昔はベルサイユの薔薇に惹かれて今は中年女性となっている人たち、それに韓流映画に惹かれる若いお姉さんたちの感覚と心理が、どうにも理解できない。自分が年をとってしまったのかもしれないという気もするが、その反面、現代の日本に歴史感覚や伝統というものが失われつつあることを示すのかもしれない。

ヴィーナスフォート噴水広場


 さてそのヴィーナスフォートの中心部である噴水広場であるが、これも説明では「ローマ神話の愛と美の女神ウェヌス (ヴィーナス)の愛が、満点の星空から 開放された星々と共に降り注いできます。全ての愛(恋愛・家族愛・友愛・平和・ 絆)が天空から降り注ぎ、人々を幸せな 気持ちへと導きます。 中央のモニュメントからは、ある角度から 見ることにより、ハートのシルエットが浮かび上がります」なんてあったから、思わず吹き出した。どうひっくり返っても、私にはこんな歯の浮くような文章は書けないし、「ハートのシルエットが浮かび上が」るようなデザインも思いつきもしない。ただ、アハハと笑うしかない。数年前のこと、ここに70数歳になっていた私の母を連れてきたことがあるが、「あれれ、すごいねぇ」と言ったきり、言葉が続かなかったことを思い出した。でも、この噴水広場の脇にあるイタリア料理店で、出された料理をしっかり食べていたものである。まあ、私と同じく、花より団子の傾向にあるのは、血筋のなせる技かもしれない。




4.六本木ヒルズ

「けやき坂」から眺める東京タワー


 六本木といえば、六本木交差点から飯倉方面にかけての通り沿いの店には、若い頃は仲間とよく通い、遊んだものである。ところがそのうち、あれよあれよという間に高層ビルが建設されて、六本木ヒルズというものが出来た。その頃には、ここは、M&AやITなどを生業とする長者が多数その居を構えていたりして、どうも我々のような普通のおじさん族には、敷居が高く感じられるところとなった。もう、我々も中年の域に入っていたので、そもそも六本木という地区に足を踏み入れることも稀になっていた。まあそういうことで、六本木ヒルズといっても、そのてっぺんにある展望台にわずか2〜3度足を運んだことがあるだけで、あまり近づいたことがなかった。 

  それでも、最近撮り始めた夜景の写真の被写体として、こちらの「けやき坂」から眺める東京タワーが素晴らしいという噂を聞いたことから、それでは近くでもあり、行ってみようかという気になった。それである夜、仕事帰りに噂の「けやき坂」に直行したところ、なるほど、坂道の両脇にあるやさしいホワイト・カラーに照らされた「けやき」の木々に包まれるようにして、坂の真ん中にオレンジ色の東京タワーがそそり立っている。最初は、道路から撮ろうとしたが、歩行者用の信号の間隔が短くて、あわただしい。そこで、六本木ヒルズの二階から撮ることにしたら、なかなか良い写真に仕上がった。
 

ドイツのバイエルン州のこけし型の人形


 これで本日の目的はほぼ達成したようなものだが、そのまま六本木ヒルズの中を通って地下鉄日比谷線の六本木駅に向かうことにした。途中、クリスマスの飾りだろうか、ドイツのバイエルン州のクルミ割り人形があった。ああ、これは懐かしい。昔、三回ほど現地に行ったときに、これを2〜3体買ったことを思い出した。兵隊の格好をしていて、なかなか愛嬌のある表情とスタイルをしている。

蜘蛛のお化けのような大きなオブジェクト


 それを抜けて前庭に出ると、そこにはまるで蜘蛛のお化けのような大きなオブジェや、白い蝋燭の列のような照明があったりした。これらが眼に入った後で、そこから建物を見上げるようにして撮ると、あたかも闇夜に突っ立っている黄金虫を撮っているような気がした。やはり、ここはバブル紳士の巣窟だっただけのことはあると思った次第である。

六本木ヒルズを見上げる


 ちなみに、これはおもしろいと、私が感心したのは、地下鉄につながるアネックス・ビルの大きなエスカレーターがあるところである。天井を見上げると、外国航空会社の宣伝が見えた。それは、青紫のバックに、日本から飛行機便が世界各地に飛ぶ赤い航跡を示すもので、なぜかこの広告が気に入ってしまったのである。

アネックス・ビルの大きなエスカレーター





5.東京タワー

東京タワー


 東京タワーは、私もいろいろと思い出がある。まず最初は、もう半世紀も前のことになるが自分の中学校の修学旅行で初めて登り、東京に出てきて結婚してからは家内や子供たちと「歩いて」展望台まで登り、親類が来たときなどには一緒に登り、ときどきは併設の水族館を見て回るなど、人生の節目節目にお世話になり、また楽しませてもらったといえる。その東京タワーがオレンジ色にライトアップされて久しいが、これでますます親しみを覚える人が多くなったと思う。それに、あの団塊の世代向けの映画「三丁目の夕日」で、建設中の東京タワーがスクリーンに写ったときには、思わず懐かしいという気になった。もっとも、映画の舞台となった昭和32〜33年頃は、私は東京にはおらず、まだ地方在住の小学生にすぎなかったので、なぜそんな気がしたのかはわからないが、タワーそのものというより、街の雰囲気で昔のことが思い出されたのかもしれない。

東京タワーのクリスマス・ツリー


 ところで、東京タワーの高さは333メートルであるが、現在、高さ634メートルを目指す東京スカイ・ツリーが浅草で建設中であり、2010年3月には東京タワーは既にその高さを追い越されてしまった。先日、スカイ・ツリーの高さが511メートルのときにこれを見に行ったら、もう仰ぎ見る高さであった。建設中の先端を見ようとすると、冗談のようだが文字通りひっくり返りそうな高さである。聞くところによると、東京タワーのオレンジ色に対して、こちらのスカイ・ツリーは江戸紫というか、いわゆる青色系の紫色になるようなので、歓声したらどんなイルミネーションとなるのか、今からその出来上がりが楽しみである。

東京タワーのクリスマスの飾り


東京タワーのクリスマスの飾り


 それはともかく、東京タワーの話に戻ると、この季節は、クリスマスの飾り付けが美しい。そんなに派手ではないが、私の気に入っている年末風景のひとつである。「うわわっ、すごく大きくて立派なクリスマス・ツリーだなぁ・・・あっ、列車の模型がある・・・こちらの方は家をかたどっているな・・・おお、小さな東京タワーの模型まであって面白い・・・これを見に来ている人たちは、いずれもなかなか楽しそうだ・・・平和な趣味だなぁ」などと思いながら、写真を撮っていたら、若い女性が近づいてきた。何だろうと思ったら、たどたどしい日本語で、「私は留学生だけれども、このあたりでデジタル・カメラが落ちているのを見かけなかったですか」ということだった。「うーん・・・見なかったけれど、どうしたの」と聞くと、「この辺で落とした」のだという。「もしかして東京タワーの方に届けられていないか聞いてあげようか」というと、「いや、さきほど自分で係の人に聞いたが、落とし物の届けはないと言っていた」とのこと。「それは残念だね」というと、一礼して暗い中をそのまま去って行った。思い出の写真が記録されたデジカメだったのだろうと思うと、かわいそうになった。

 それでふと、その子が去っていった方向を見ると、路の向こうで、二人の天使が向かい合い、ラッパのようなものを吹いているイルミネーションが見えた。これらの天使にちなんで、この女の子に、幸多からんことを祈りたい。

東京タワーの向かいにあるクリニックのクリスマスの飾り





6.カレッタ汐留

カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」


 「ああ、今年も派手なショーをやっているな。もっとやれやれーい」と、ついつい思うのが、カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」である。HPの説明によれば「気鋭のヴァイオリニスト葉加瀬太郎氏の総合プロデュースのもと、約30万球もの光の粒がヴァイオリンの音色に合わせて踊り、神秘的な海の世界を立体的に描きます」ということである。

カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」


 確かに、これは海の中を思わせる神秘的な青い色を基調としてそれがうねり、かつ波打つように動き、時折ピンクや白の光を出鱈目に放つ。途中では、中央の円錐形の中に現れる海の精のような造形が実に神秘的で、厳粛な中にも暖かさを感じる。そしてクライマックスには、緑の線が四方八方に放たれ、シャボン玉まで舞い上がるという派手さ加減である。音楽の方を書き漏らしたが、それは葉加瀬の新曲「EMOTIONISM」と、このイルミネーションのために作られた「Sailing」ということだが、色彩の派手さに比べれば、音の効果はとてもそれについて行けずに後ろへ置いていかれているようである。

カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」


 ともかく、これは一見の価値がある。去年も感心したが、また今年も感動した。とりわけお勧めしたい東京イルミネーションのひとつである。これは、写真ではその感動を伝えることは難しい。現場に足を運んで目の眩むようなショーを見て、初めて感激するものである。ちなみに、このショーを見物した後に、カレッタ汐留ビルの46階へと一気にエレベーターで上がり、東京の夜景を眺めるのは、私の密かな楽しみでもある。ここは、料理の味はともかくとして、夜の眺めがとても素晴らしい。

カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」


カレッタ汐留のイルミネーション・ショウ「ブルー・オーシャン」





7.銀座・日比谷

銀座四丁目の交差点にある和光の建物


 今年の銀座は、正直言って例年のような明るく華やいだ雰囲気があまり感じられない。いつもなら、きらめくネオンやイルミネーションがところ狭しと輝いているのに、気のせいか、それとも本当なのか、あまり元気がないように思われるのである。経済の長引く低迷を背景に老舗が次々と撤退し、代わりに海外のブランド店や若者向けのチープ・アンド・ファーストファッション店が進出してきたからかもしれない。客層が、明らかに変わってしまった。

 その銀座という街の中心は、四丁目の交差点にある和光の建物である。今年は、社内のクーデターによってこちらも政権交代が行われたようで、老経営者と女傑が交代させられた由。こういう問題は我々のような門外漢には、あまり関係がないのだけれども、いままでは営業していなかった日曜・祝日の営業が行われるようになったのは、街が明るくなるという意味では朗報である。ところで、その和光ビルの隣に、例年通りミキモトのクリスマス・ツリーが飾られる。今年は、それを写真に撮ったものの、残念ながら光量が不足して、良い写真は撮れなかった。肉眼で見ると、なかなか良いツリーなのだが、三脚なしに撮ろうとしたところに、いささか無理があったと思う。

銀座四丁目の三越のショー・ウィンドゥに飾られた人形


 実はこの日、銀座四丁目の交差点近くで、私の同僚との忘年会があった。久しぶりに食べた伊勢エビは、なかなか美味しかったのだが、それが終わって交差点を通りかかった時は、もう午後9時を回っていた。銀座は閉まるのが早いので、三越など主な建物はいずれも営業が終わっていた。でも、この写真にあるように、三越のショー・ウィンドゥに飾られた人形は、こうして夜に撮ってみると、まるでこの世とは思えない世界を連想させる妖しい雰囲気が感じられて、思わず背筋がゾクリとした。

昔はファッションの三愛という会社のビル


 ところで、その銀座四丁目の交差点の三越の建物の対角線上に、三愛の円筒形の建物がある。今は、「ROCOH」とあるから、コピー機を作っているあのリコーだろうか・・・私の昔の記憶とは異なる看板が出ているけれども、確かここは、50年前には、ファッションの三愛という会社のビルだった。なぜそんなことを覚えているかというと、中学校の修学旅行で、銀座のこの地点を通りかかったからである。そのとき、私は「やけにネオンがまぶしい建物だな」と思っていたら、隣に座っていた友達が「あれ、サンアイっていう会社だ。有名なんだぜ」と教えてくれた。そのとき、初めて東京なる街を見た私には、ただただ、まぶしく思えたものである。この建物を見るたびに、「よし、いつか東京に出て行ってがんばってやるぞ」という青春の思いが心に浮かんでくる。

日比谷花壇の新しい建物


 ところで、その銀座四丁目の交差点から、酔い覚ましをかねて、日比谷方面にぶらぶらと歩いた。そして、帝国ホテルの脇から地下鉄に乗るつもりでいたが、信号が青だったので、そのまま外堀通りを渡ったところ、日比谷公園の門の脇にある花屋の日比谷花壇の新しい建物があるのに気が付いた。煌々と明かりが点いているので、それを写真におさめたというわけである。個人的には、以前の建物の方が、なかなか味があって私の好みに合っていたのだが、建て替えられたものは仕方がない。慣れれば良く見えるかもしれないと思いつつ、家に帰ってからその写真を見ると、なかなかモダンである。そう悪くはないように思えてきた。



8.恵比寿ガーデンプレイス

恵比寿ガーデンプレイスのバカラのシャンデリア


 また今年も、恵比寿ガーデンプレイスを見に行った。ここは、大人の街というか、非常に落ち着いた雰囲気のイルミネーションである。それもそのはずで、夜景の中心がバカラのシャンデリアだから、じっくりとその豪華さを味わう以外に、楽しみようがないのも事実である。昨年、この風景に感動したのは、今から思うと良い写真が撮れたからかもしれない。つまり、遠くのバカラのシャンデリアを眺める位置にたまたま二人の女性が立って、その後ろ姿が絶好の構図を提供してくれることになったからである。

恵比寿ガーデンプレイスのクリスマス・ツリー


ウェスティン・ホテルのクリスマス・ツリー下の汽車模型


 ところが今年は、どうもそういう幸運には恵まれず、どれもこれも平凡な写真となった。ただそれでも、誰かがウェスティン・ホテルのクリスマス・ツリーがなかなか良いというので、それを見に行ったら、なるほどこれは面白かった。クリスマス・ツリーの足下にレールが敷いてあって、それを囲むように置かれたクマさんのぬいぐるみの中を、模型の汽車が走り回っていたからである。もうすぐ2歳になるウチの孫に見せると、たぶん「シンカンセーン、ぐるんぐるんねぇ」と言うだろう。実はこれ、新幹線ではなくてSLなのだけれど、あまり早くからいわゆる「鉄ちゃん」にはしたくはないので、そのうちじっくりと教えることにしよう。

恵比寿ガーデンプレイスの夜間のバカラのシャンデリア


恵比寿ガーデンプレイスの夜間のバカラのシャンデリア


 そうそう、去年と同じことをするのもあまり芸のないことなので、今年は昼間の恵比寿ガーデンプレイスは、どんなものだろうかとわざわざ明るい内に見に行った。それでどうだったかというと、結論からいえば、バカラのシャンデリアはやはり夜間に見た方がよい。そもそもひとつひとつのガラスの輝きからして全然違うのである。昼間に見たりすると単に明るいだけで、たとえいえば、まるで気の抜けたビールのようなものだ。 人と同じく、シャンデリアにも、輝く舞台というものがあるのである。

恵比寿ガーデンプレイスの昼間





9.光都東京ライトピア

和田倉噴水公園の凜とした噴水


 光都東京・LIGHTOPIA2010という丸の内地区を使ったイベントは、確か今年で5回目になると聞く。説明によれば、「〈地球・環境・平和〉をテーマにした光の祭典。皇居外苑会場の和田倉噴水公園では、著名人や千代田区の小学生たちが描いた明り絵を展示する『アンビエント・キャンドルパーク』、江戸城の名残を留める日比谷濠、馬場先濠、和田倉濠では、一部多様な生き物をかたどりながら、白く美しい光が連続して流れ、交わり、つながっていく『光のアート・インスタレーション 光流(こうりゅう)』、丸の内会場では、花の輝きをより美しく鮮やかに魅せる『フラワーファンタジア』をそれぞれ実施し、人と地球に優しいさまざまな光の世界を創り出す」というのである。

和田倉噴水公園のアンビエント・キャンドルパーク


 しかし、昨年も同様に思ってつい辛口のコメントをしてしまったのであるが、この催しは、キャッチフレーズとの間で大きな齟齬をきたしていて、どうもその意気込みが、いささか空回りをしているきらいがある。たとえば和田倉噴水公園に明り絵を展示するといっても、よく地方で行われるキャンドル・サービスと大差ない。とりわけ和田倉噴水公園の白く光る噴水が、背景となる丸いカーブを描いた建物のオレンジ色と、さらにその背景にある丸ビルの窓の明かりと非常に良く調和して、引き締まった印象を与えるだけに、とても惜しい。赤い小さな光は、むしろこちらの方に持ってきて池に浮かべ、大噴水を幾重にも取り巻くように配置はできないものか。そのまま水に浮かべて自然のまま、流れるままにしてもよい。そうすれば、流し灯籠を思わせるし、加えて豪華と清楚と意外な動きという三つの要素が相互にバランスよく並び立つものと思うので、誠に惜しい気がするのである。

日比谷濠のレースのカーテン


 それに、日比谷濠や馬場先濠などで光のアートを見せるといっても、並べられているのはまるでレースのカーテンの類に見える。もっとも、今年はゴリラや象や鹿のような模様が入ったとはいえ、ほとんど進歩が見られない。極めつけは丸の内の行幸通りに並べられた丸い「花」であるが、別にこれといって特徴があるものでもない。これくらいなら、私でもやれと言われれば、たちまち思いつくような気がする。まあ、アイデア倒れで単にキャッチフレーズが先行しているにすぎないのか・・・それとも肝心の予算が足りないのか、そのいずれかであろう。東京で繰り広げられるほかのイルミネーションの出来がすばらしいだけに、その中心地区で展開されているこの催しがこの程度であることは、とても残念である。ただそれでも、今年の花の丸い玉は、なかなか良い工夫である。生け花がまん丸の形に植えられているようなものだ。これくらいは、褒めてあげなければ・・・。

丸の内のフラワーファンタジア


丸の内のフラワーファンタジア





10.新宿モザイク通り・南口

新宿西口における小田急ビルの外壁


 新宿西口における今年の新味は、小田急ビルの外壁がカラフルに彩られていることで、これはなかなか綺麗で、成功していると思う。その西口から、小田急系の物販施設のミロードに隣接するモザイク通りを通って、新宿南口までを駆け足で回ってきた。三脚は持って行かなかったので、写真の出来は、いまひとつであったが、それでも雰囲気は味わえるのではないかと思われる。

新宿モザイク通り


新宿モザイク通りのモザイクステージ


 モザイク通りは細長い道で、青を基調に、去年と同じようなイルミネーションが輝いていた。去年はこれを見て、暖色と寒色とがそろっていて、その点はなかなか良いと思ったが、人間は目が肥えてくるのか、今年はああ、あれかと思ってしまうから、こういう装飾に携わる人たちは目先の新しさを追う必要に迫られて大変である。

新宿モザイク通りのモザイクステージの暖色ツリー


 さて、そこを抜けて、甲州街道の上に掛かっている歩道橋を渡り新宿南口に行くと、両脇には木々にイルミネーションがきらめき、なかなか良いムードである。右手のJR東日本の本社の前には、JRらしくSuicaのシンボルのペンギン君が並ぶ飾りがあった。そこを通り、どんどん先に行くと、円錐形のツリーのようなものがあり、それが色を変えたり点滅したりして、なかなか派手である。そこにたくさんのカップルが一列に並んでいて、その円錐ツリーの中に入る順番を待っている。こういうところにも、日本人の辛抱強さが現れている。

新宿南口のツリー





11.東京ドームシティ

東京ドームのイルミネーション


 東京ドームは、私の家からはせいぜい車で10分くらいの距離なのだが、これまでイルミネーションを見るためにわざわざ行ったことはなかった。ところが、なかなか良いという評判を聞いたので、今年初めてそれを見物に出かけたのである。

東京ドームの光の帆船「エルビス号」


東京ドームの光の帆船「エルビス号」


 そうすると、まず光の帆船「エルビス号」というのに圧倒された。大きさはたかが全長15m、高さ10mという程度のものなのだが、HPによれば「未来に向かって進む巨大な帆船『エルビス号』が虹が輝く国『Dream World』に迷いこみました。不朽の名曲『Over the rainbow』に乗せてエルビス号やたくさんの虹、青い鳥が輝く景色は圧巻です。そして演出のクライマックスには、夜空が虹色に輝きます」というのである。いやはやその通りで、船腹が虹色そのほかの原色にぎらぎらと輝くので、こんな派手なイルミネーションは、これまで見たことがない。これまで、ものすごく派手だなぁと思っていたカレッタ汐留のイルミネーションも、とうていその足下にも及ばないと思った。上には上があるものである。

東京ドームのラクーアのテトラ


東京ドームのラクーアのステラ


 それに比べれば、東京ドーム本体のイルミネーションは、赤と白のツリーを元にしていて、大人しいものである。ところが、ラクーアの方に歩いていくと、これがまた異次元のような雰囲気がある。というのは、三角形の中に丸い明かりが詰め込まれていたり(テトラというらしい)、どう表現すればよいのかまるでわからないが、しいて言えば原子模型のようなもの(ステラ)があったり、果ては半ドームのような造形があったりで、写真の対象としては、これもなかなか面白い。ちなみに、水耕栽培のシステムがあるらしいが、今回は残念ながら見逃したので、次の機会を待つことにしよう。

東京ドームの東京ドームのラクーアの半ドーム





12.表参道ヒルズ

表参道ヒルズのクリスマス・ツリー


 そうそう、これを書いている本日は、クリスマス・イブの日である・・・といっても、とうの昔に子供が巣立った我が家では、単に365日のうちの1日に過ぎない。しかしそれでも、表参道ヒルズに行ってスワロフスキーのクリスマス・ツリーを見ると、そのたびに昔子供と一緒に味わった感動を思い起こして、ついつい感激してしまうのである。このクリスマス・ツリーは、大きすぎず小さすぎず、かつその収まっている空間が元より三角形であることがよい。つまり、このビルには大きな三角形の吹き抜けがあり、その空間に円錐形のツリーが入ると、本当によく似合うのである。

表参道ヒルズのクリスマス・ツリー


 とりわけ今年のツリーは、豪華な婚礼衣装のようで、ひときわ美しい。しかも、そのツリーの色が紫、白、昼光色などと変化していく。それも、やや抑え気味に変化していくのである。その合間には、ミラーボールが館内に華やかな光を放つ。そういうわけで、その場にじっと立って色の変化を見ているだけでも楽しくなること請け合いである。

表参道ヒルズのクリスマス・ケーキ


 ちなみに今年は、クリスマス・ツリーに加えて、有名パティシェによるケーキの競作があり、それが階段の両脇に展示されていて、これも見ていて見飽きない(これを見物したのは、11月のこと)。だいたい、これがケーキなのか、芸術品ではないかと思うところから始まるから、なんだか騙された気分にすらなる。しかし、天使のようなケーキ、ハート形のような、あるいはチューリップのようなケーキ、そしてサッカーボールとサッカー靴のケーキまであるから、とても楽しい。

表参道ヒルズのクリスマス・ケーキ


表参道ヒルズのクリスマス・ケーキ


 ちなみに、この建物の外では表参道90周年を記念して約90万球のLEDから成るイルミネーションがけやき並木に飾られている。それらが、ブランド・ショップが色とりどりに発する光に輝く夜の闇を、ますますあざやかに彩っている。やはり、この街には、輝くイルミネーションは冬の季節には必須である。




(平成22年12月22〜26日著)
(お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。)




ライン





悠々人生のエッセイ

(c) Yama san 2010, All rights reserved