悠々人生のエッセイ








 キッザニア東京に行ってきた。もちろん、4歳と6ヶ月の初孫ちゃんが主役で、我々大人は付き添いなのだけれど、なかなか面白くて一緒に楽しめた。これは、就学前から小学生までを対照とした児童専用の参加型テーマパークである。それも単に遊具を揃えてさあ乗ってみてというのではない。何らかの「お仕事」を模擬体験し、それで報酬をもらって、銀行に預けたり、デパートなどで買い物をするというコンセプトらしい。つまり、大人の職業生活をはじめとする社会生活を疑似体験させるというものだ。これは教育上、なかなか良い発想だと感心した。このキッザニア(KidZania)は、1999年からメキシコで始まり、日本では2006年に東京江東区の「ららぽーと豊洲」に1号店が開設され、インドネシアのジャカルタ、日本での2号店であるキッザニア甲子園、ポルトガルのリスボン、アラブ首長国連邦のドバイなど世界中で次々と展開されているらしい。

キッザニア東京


 これを最初に考え出して始めたのはメキシコということだが、単なる遊園地ではなく、企業に呼びかけて「パビリオン」なるブースを作ってもらい、その出展そのものが広告宣伝活動になっているところが誠に秀逸である。こうすることで、職業体験にリアリティが生まれるし、企業の方も宣伝効果抜群ということになる。たとえば、「パビリオン」の宅配センターにはヤマト運輸が出展していて、子どもたちにあの宅配員の制服を来てもらい、宅配営業所での準備、集めた荷物とともに、子供の配達員がクロネコのロゴの付いた電動車に乗って、会場内を回って送り届けている。あるいは「パビリオン」の消防署は、American Directの出展らしいが、事前に署内で消防士を訓練して育成し、火事だという電話を受けて子供の消防士全員が消防服とヘルメットを被って電動の消防車に乗って現場に駆けつけて一斉にホースで放水するという作業をやる。「パビリオン」の飛行機は、ANAが出展していて、搭乗口やら飛行機の模型があった。我々は入れなかったから良くわからないが、操縦コースと接客コースがあるようだ。面白かったのは、真ん中にイベント広場があって、そこから見物していると、チア・リーディングなどを子供たちが一列に並んで元気よくやっている。どこで覚えたのかと思っていたら、その真上の2階のフィットネス・クラブで初めて覚えたものらしい。観客の技を別の観客に見せるというわけだ。もう、笑ってしまう。

キッザニア東京を2階から見下ろす


 キッザニア東京のHPによれば、「こどもが大人になりきって楽しむキッザニアでは、アクティビティのリアリティの実現のために、街並み、パビリオンの装飾や道具にいたるまで、出展企業様のご協力が不可欠です。キッザニアでは出展企業様を、パビリオンを提供している『オフィシャルスポンサー』、小規模のパビリオン提供、またはのコンセプト全体に賛同いただいている『オフィシャルサポーター』、設備・機材提供を頂いている『オフィシャルサプライヤー』の3つのカテゴリーに分け、キッザニアを通じてこどもの将来を応援して頂いています」とある。なるほど、大変に良いことである。

キッザニア東京の消防署


 さて、それではウチの初孫ちゃん、どうなったかというと、私たちは、入ったとたん、この子は水遊びが好きなので、消防署に行かせようとした。それで、「JOBスケジュールカード」なるものを持って行って受付をしてもらい、20分後にまたおいでということになった。そこで時間をつぶしてまた行くと、7人ほどの子供が消防署の中に招き入れられた。そこで、番号を言われる点呼や敬礼を教え込まれたのだが、その段階で初孫ちゃんがどういうわけかドロップ・アウトしてしまった。おそらく、パビリオンでの最初の活動だったので、びっくりしてしまったのだと思う。

 仕方がないので、「シャフト・テーブル」や「シューラン」とかいう台上で駒を打つ遊びをしてもらったら、小さいのに、これはなかなか良く出来た。それくらいから、だんだん慣れてきたようで、2階に上がって少し食事をとった後、また1階に下りて行ってあたりを見回していたとき、理容店を見つけた。お客になるので、「キッゾ」つまりキッザニア内で通じるお金で3キッゾらしい。入場するときにもらったトラベラーズ・チェックで支払う。すると、理髪台に乗って、お姉さんからメニューのようなものを見せられて何か相談している。外から見ていると、髪を切っている様子はない。しばらくして出てきた初孫ちゃんの顔を見てびっくり。両側の頬にそれぞれ三本の赤い線が引かれ、まるで猫のようだ。加えて、右頬には黒い音符マークまで書かれている。初孫ちゃんはそんな顔をして、手には使い捨ての剃刀みたいなものを持って、ニコニコして店から出てきた。その剃刀みたいなもので、後から自分で消せという意味らしい。まあしかし、初孫ちゃんが意外と積極的だったので、これにはびっくりした。

キッザニア東京のはとバス


 その猫の顔でキッザニアの街を歩いていたら、観光バスの乗り場があった。はとバスがやっているらしい。すぐに発車するというので飛び乗った。確か、5「キッゾ」だったように記憶している。そのはとバスを模した黄色い車は、ゆっくりと街を一周したので、我々も付いて行った。バスガイドのお姉さん、車内でマイクを片手になかなか熱心にアナウンスをしている。なるほど、最初にこれに乗っておけば、キッザニアの街全体の様子がわかるというものだ。途中、例の消防車が消火活動をしている「延焼中」の建物の前を通り、俄か消防士たちが放水するのを見かけた。

キッザニア東京の消防士たちが放水


 そうして街の一周が終わり、次に来たときにどこのパビリオンに行こうかと、歩いて見て行った。ベーカリー、ANAの操縦士、ABCクッキングの料理教室、建築現場などが面白そうだ。2階に行くと、新生児を扱ったり手術を行う病院があった。特に新生児はいかにも本物そっくりの人形が並んでいて面白かったが、4〜5歳の子には無理だろう。1階に戻って、銀行もお金の「キッゾ」を預けたりするから必要なのだけれど、自分で口座開設手続きなど、出来るのかと思ってしまう。それは、小学校も3〜4年生くらいからだろう。まあ、成長の過程に応じて、徐々に全パビリオンを制覇していけばよいと思う。それにしても、社会の仕組みを子供に教えるのに、ちょうど良い体験型の遊園地である。近々また、行ってみようと思っている。




(平成24年6月23日著)
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