悠々人生のエッセイ








東京モーターショー( 写 真 )は、こちらから。

 東京モーターショーに行ってきた。初日だったためか、いやもうその混雑といったら満員電車並みでひどかった。前回2011年に行ったときには、主要メーカーの中でトヨタが最後となってしまったので、今回はまず最初にトヨタを見ようとそのブースに行ったのであるが、たいへんな人だかりの中、ショータイムが来るまでの間、人混みの中でしばらく待つことになった。すると、どんどん流れていく人波によっていつの間にか最前列に押し出されている有り様だ。でも、そのおかげで今年のトヨタ売り物の車をじっくり見ることが出来た。

 まず、ペンギンと一緒に真っ青な車があった。2015年に市販を開始する「FCV(燃料電池自動車)」だそうだ。水素で走る燃料電池車で、水素を満タンにするまでわずか3分、その航続距離は700キロメートルと、ガソリン車並みである。いずれも電池自動車の欠点を克服ししている。これなら、まさに実用レベルであるが、あとはお値段次第ということだろう。またこのFCVの外観スタイルがとっても良くて、とりわけ前面左右に三角形で大きく開いている空気の取り入れ口の格好が実に魅力的である。


i−ROAD


 次のトヨタ・コンセプトは、「i−ROAD」というバイクのような、車のような不思議な逆三輪車である。逆というのは私の造語で、前輪が2つ、後輪が1つという意味である。ところが、その前輪の高さが合わないのか、傾いて停まっていると思ったら、そもそもそういう風に作ってあるのだそうだ。つまり左右前輪が上下して車体の傾きを自動的に制御する「アクティブ・リーン機構」を採用しているという。座席はかなり狭そうだが、前後二人乗りで、目の前をさーっと通り過ぎるのを見ていると、バイクのような車のような不思議な乗り物である。

JPN_TAXI_Concept


 3番目は、「JPN TAXI Concept」という、要はタクシーである。印象はロンドンの黒い背高タクシーを近代的にした感じだ。新しく開発したLPGハイブリッド・システムを採用し、広い室内空間、電動式スライド・ドア、段差がないフロアを採用している。確か、ニューヨークで日産の車がイエロー・キャブとして採用されたと聞いているが(ただし、車そのものは使いやすいものの、値段が高くてタクシー運転手の反発を招いているそうだ)、それと外見や性能を比較してみたいものだ・・・とまあ、ここまでは何とかまとまった展示と車を見たという印象はあった。しかし、それ以降は洪水のような人の波に押されて、どのメーカーの車を見ているのか、それはどんな特徴があるのか、もう何がなんだかわからないくらいに雑然と会場を巡ることとなってしまった。どの車もたくさんの人に取り囲まれていて、写真を撮るのもたいへんという状態である。そういう中で人混みの隙間をやっと見つけてポツポツと撮っていたものを、後からパンフレット対比して、「ああ、そういう車だったのか」とやっと知るという有り様である。

EMIRAI2


 たとえば、白い車体にブルーの線を引いてある丸っこい車体があり、その脇で美人のモデルさんが艶然とした表情で立っている。車のメーカーにしては、どちらもぎこちないなぁと思ったら、三菱電機の「最先端のモータ制御技術とヒューマンインターフェイスが融合したコンセプトカー『EMIRAI2』」のうちの、運転支援系のものだそうだ。複数のディスプレイを連携させて、「シンプルなスピードメーターはもちろん、停車時にはエンターティンメント画面へも切り替わるインテリジェントパネル」があるというが、そんなもの別に目新しくもないと思うけれど、何が良いのか不明だ。こんな展示なら、大画面を使って常時映像でも流しておけばよいと思うのであるが、どうであろうか。

文明開化時代の服装をしたお嬢さん


文明開化時代の服装をしたお嬢さん


 BMWのコーナーに行くと、「ニューBMW4シリーズ・カブリオレ」という車があった。鼻先が少し盛り上がっている力強いスタイルは、なお健在である。次に「L」マークがついているセダンがあった。トヨタの最上位ブランドのレクサスである。この車はその出だしでリーマン・ショックに見舞われて苦戦したが、2013年には世界販売で年52万台を見込んでいるらしい。しばらく行き、いすずのブースだったと思うが、文明開化時代の服装をしたお嬢さんが、昔のトラックの座席に座っている。人混みのために説明が読めなかったことから、どういう趣旨かはよくわからなかったが、お嬢さんの屈託のない笑みが印象的だった。

ポルシェのエンブレム


ポルシェ


 ポルシェのコーナーに行った。あのエンブレムを付けたポルシェの格好の良さといったらない。昔々のことだが、私は、とあるイスラム国の国王の弟の家に行ったことがある。彼の家に着くと、色とりどりのポルシェが5〜6台、玄関脇に無造作に置かれていたのを覚えている。その家に入ると、中央に噴水があり、その周りの螺旋階段を登っていって彼の部屋に着くという趣向である。その弟君そのものは、どこにでもいそうな人の良いお兄さんという印象だったが、そのときはポルシェの蒐集に凝っていたらしい。まあ、それくらいは可愛いものだった。それから20年ほど経ち、彼が大蔵大臣となったのは知っていたが、しばらくして何千億円もの使途不明金を出して首になったのには驚いた。ポルシェがいったい何に化けたのだろうか。

スズキのクロスハイカー


ホンダのS660


ホンダS660


 また人波に押されて流れていったら、スズキのコーナーにたどり着いた。スズキといえば、アルトなどの軽自動車メーカーというイメージだったが、どうしてどうして。たとえば「前衛的で躍動感あふれるスタイリングが印象的なクロスハイカー」というのは、確かに素晴らしい。モデルさんも、なかなかだった。日産とホンダはゆっくり見る間もなく人波に流されてしまったが、ホンダが出してきたスポーツカーであるS660は、遠くから眺められた。ちなみに日産の車は、どれを見ても似たようなスタイルで、デザイン能力が枯渇しているのではないかとすら思うほどである。現に、日本の自動車各社のほとんどが今季は大幅な販売増となっているのに、日産だけはあまり売れていないようだ。コストダウンのために車体や部品の共通化を進めたばかりに、個々の車の個性をなくしてしまったようだ。それと対照的なのが次の三菱自動車だ。車には個性があふれている。そのブースへは、人波に押されて舞台の裏手にたどりついてしまった。おかげで舞台を裏手からゆっくり見ることが出来たのは皮肉なものだ。一昨年も、三菱のステージはなかなかよかったが、今年もまたその良い点を受け継いでいるのは、誠に結構なことである。

三菱のステージ


三菱のステージ








(平成25年11月23日著)
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