悠々人生・邯鄲の夢エッセイ








 葛飾祭りと紫陽花( 写 真 )は、こちらから。


 堀切菖蒲園花菖蒲( 写 真 )は、こちらから。




 前回は2012年に堀切菖蒲園の花菖蒲を行ったが、それから5年経って、家内とともにまた見に行くことにした。我が家から上野御徒町へ出て食事をし、歩いて京成上野駅に行って京成線で5つ目の駅が堀切菖蒲園駅である。駅を降りたとたん、威勢良い鉦の音が響いて、いきなり阿波踊りの一行が目の前を行く。その名も「あやめ連」とあり、黄緑で菖蒲を染め抜いているお揃いの衣装が目にまぶしいほどだ。つい先日、徳島を訪れて、本場の徳島での阿波踊りのよもやま話を聞いてきたので、それが思い出される。どうもこれは、「ほりきり葛飾菖蒲祭り」の一環として踊っているようだ。このまま見ていたいのは山々だが、出掛けたのが遅かったので、先に花菖蒲を見に行くことにして、商店街を歩き出した。

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 途中、「菖蒲七福神」なるものがあって、いずれもふくよかな体形に笑い顔の七福神の像が立っている。さらに進むと、川を暗渠にしたような曲がりくねっている道があり、その両側の道や民家の庭先に、紫陽花をはじめとして、七変化やバラなどの色々な花が咲いているのは、前回と同じである。今回、驚いて感心したのは、「宝船」というお店の前にあるサボテンの花である。私の背よりはるかに高くて、3メートルほどもある木で、幹を見たらトゲがあったので、間違いなくサボテンであろうが、それが黄色い花をたくさん咲かせていた。そもそも、大きなサボテンが花を付けること自体が稀だと思うので、珍しいものを見せてもらったと思う。

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 さて、それを過ぎたら、紫陽花が満開である。青い色、紫色、白色、こんもりした手毬咲きの紫陽花に、咢が周辺に配置されているガクアジサイ(額紫陽花)も多い。豊島園に行くと、このガクアジサイの小さなものがあって、これが元々の日本原産の紫陽花だったという。それが幕末にシーボルトによってヨーロッパに持ち出されて改良されて、逆輸入されたものが手毬咲きの紫陽花だと聞いたことがある。

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 しばらくしてようやく堀切菖蒲園に着いた。四角いアーチが迎えてくれる。江戸系、伊勢系、肥後系などの花菖蒲を中心に6000株が植えられているという。大きな灯籠や松もあってそこから菖蒲田が目に入るようになっていて、なかなか風情がある。今日はまさしく花菖蒲が満開で、紫色、白と紫が混ざったもの、藍色といってよいもの、白色など様々な花が集団で咲いているから、これは見ごたえがある。それぞれの花の品種には、「神路の誉れ」、「春の雪」、「夢の里」、「誰待花」、「夜明け前」、「露間の朝」、「紫衣の誉」などと詩情豊かなネーミングがされている。いずれも魅力的な名前だが、その数があまりにも多いことから、いちいち対比するのも大変なので、ここは家内とともに素人的に単に花だけを見て回ることにした。

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 見物人には様々な人がいたが、中には、私と同じような歳の人が、車椅子に乗った父親を連れてきて、花菖蒲を背景に一緒に写真を撮っている方もいて、これは記念になるだろうなと家内と話しあったりした。我々のように、親が歳をとり、介護を必要とする年齢に達しないと、なかなかわからない感覚かもしれない。花菖蒲を十分に満喫したところで、静観亭というところに入り、家内とお茶を飲み、よもやま話をして、帰途についた。穏やかな日曜日の午後の、ちょっとした楽しみだった。

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(平成29年6月11日著)
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