これを見ると、新型コロナウイルスのデルタ型の感染力は、在来型より格段に強く、おたふく風邪どころか、水ぼうそう並みである。その結果、集団免疫閾値は80%〜87%と、在来型の60%から格段に上がってしまった。
ところで、日本の65歳以上の高齢者で2回接種した人は、対象の87.9%であるが(9月3日現在)、全国民ベースで見ると、2回接種した人はまだ44.7%に過ぎない。しかし、ファイザー製やモデルナ製のワクチンの接種対象年齢は12歳以上であることを考えると、11歳以下には接種はできない。そうすると、全国民で接種率を8割を達成するには、人口構成を考えると12歳以上の9割近くに接種をしなくてはならない計算になる。
そんなことは不可能に近い。ワクチン接種を早めに始めたアメリカでは、2回接種を終えた人は18歳以上の6割にも達していない。これ以上接種を進めることは、宗教上、政治上なかなか難しいと言われている。結局のところ、集団免疫はいつまで経っても達成できないということになる。一体この流行は、何をきっかけに、いつ終わるのだろうか。それとも、人類はこの病気と永続的に付き合わなければいけないのか、先が全く見えなくなってきた。
(3)デルタ型にはモデルナが強い
アメリカの医療機関メイヨー・クリニックが7万7千人を対象として実施した研究によると、ファイザー製ワクチンよりモデルナ製ワクチンの方が、デルタ型の変異ウイルスへの感染予防効果が高いそうだ。それによると「モデルナ製の感染予防の有効性は年初の86%から76%に低下した。一方、ファイザー製は年初の76%から42%に低下した」という(日本経済新聞2021年8月12日付け夕刊)。
ちなみに日本では、ファイザー製は主として市町村における接種で、モデルナ製は自衛隊大規模接種センターや職場接種で、それぞれ使われている。私と家内は、文京区の接種が遅れ気味だったので、自衛隊大規模接種センターでの接種に切り替えたが、結果的に良かったのかもしれない。でも、大多数の人はファイザー製で、その対デルタ型への効果は42%だとすると、これは大きな問題だ。早急にブースター接種(第3回目の接種)を行って、免疫力を高める必要がある。ところが、河野太郎ワクチン担当大臣は、先日、追加のワクチンを確保したと発表したが、第3回目の接種を行うのは来年の話と悠長に構えているが、どうしてこんな危機感の薄い人物が担当になっているのか、本当に不満である。
また、モデルナ製のワクチンについてはこういう記事もある。「アメリカの国立アレルギー・感染症研究所が科学雑誌『サイエンス』に発表したところによると、モデルナのワクチンを2回接種した24人から一定の期間をおいて血液を提供してもらい、新型コロナウイルスの特徴を再現した人工的なウイルスを使ってワクチンの効果を調べました。その結果、24人の血液のうち、2回目の接種から半年後でもウイルスを抑える効果がみられたのは、変異ウイルスが流行する前の新型コロナウイルスに対しては100%、イギリスで確認された『アルファ株』では96%、インドで確認された『デルタ株』でも96%などとなったということです。一方、南アフリカで確認されたベータ株に対しては54%と低くなっていました」という(NHK8月18日付け)。モデルナ製のワクチンは、打った後に腕が腫れるなどの副反応が問題になっているが、やはりそれだけ免疫を刺激しているということなのかもしれない。
フィナンシャル・タイムズによれば、「モデルナ製には人体にスパイクたんぱく質を認識するよう伝えるメッセンジャーRNAがファイザー製の3倍多く含まれている」という(8月25日付け日経新聞)。
(4)アメリカも3回目の接種に踏み切る
アメリカ政府は、これまで新型コロナウイルスのワクチン接種が終わった人にはブースター接種(ファイザー製やモデルナ製では、3回目の接種)は必要がないという方針だった。
ところが、前述(3)の通り、今年の夏からのデルタ型の蔓延により、 ワクチンの感染予防効果が落ちて、ファイザー製が76%から42%に、モデルナ製は86%から76%になるというデータが出たことから方針を一転し、8月18日、ブースター接種を行うことを決定した。接種は9月20日から始め、対象は、ファイザー製とモデルナ製を2回打ってから8カ月経過した18歳以上の人である。アメリカでは昨年12月から、医療関係者や高齢者を対象にワクチン接種が始まったので、当初はこれらの人々となる。
(5)ワクチン接種2回目の人の割合が40%超す
8月25日現在の日本国内の接種人数の累計は、次の通り。1回目終了がようやく50%の大台になり、2回目終了は40%台である。ワクチン供給が遅延していたが、8月になって少しは多くなったものの、接種に当たる地方自治体や職場が未だに混乱しているから、7割〜8割の接種まで先はまだ長い。しかも、頼みのモデルナ製ワクチンに異物混入の騒ぎがあった。スペインの委託工場の製造という。
1回目は、6,443万9,679人
(全人口に占める割合は、50.68%)
2回目は、5,100万5,481人
(全人口に占める割合は、40.12%)
(6)ワクチン接種の効果あり
8月10日から12日の3日間に報告された全国の新規感染者5万7,293人のワクチンの接種歴を分析し、人口10万人当たりに換算して感染者数を比べると、次のような結果となった(厚生労働省が8月18日の専門家会合で示したもの)。やはり、ブレークスルー感染はあるとはいえ、ワクチン2回目の接種を終えると、かなりの効果があることが判明した。
接種していない人は、67,6人
1回のみ接種の人は、22.7人
2回接種済みの人は、 4.0人(接種していない人の17分の1)

(73は、令和3年11月16日記)

74.オミクロン株とブースター接種
(1)オミクロン株の出現
日本を襲った新型コロナウイルスの変異株は第2波から第4波まではアルファ株、昨年7月から9月にかけての第5波はデルタ株であった。猛威をふるったさしものデルタ株も、11月からは鳴りを潜めて最近は全国レベルでも数10人程度と、非常に低い水準に抑えられてきている。誠に慶賀の至りであるが、その喜びも束の間で、最近はオミクロンと名付けられた変異株が世界的に広がりつつある。

11月25日に南アフリカの保健当局は、首都プレトリアのほかヨハネスブルクのあるハウテン州で、新たな変異ウイルスが見つかったと発表した。翌日、世界保健機関(WHO )によって「オミクロン株」と名付けられたこの変更株は、同時に「懸念される変異株」に指定された。「オミクロン株はウイルスの表面にある『スパイクたんぱく質』という突起のような部分に、これまでの変異ウイルスの中で最も多い30か所の変異が見つかっていて、このほかにも遺伝子の一部が欠損するなどしている」という(NHKニュース)
オミクロン株は急速な広がりをみせており、12月6日午後9時現在で、日本を含む48カ国・地域で感染者が確認された。当初はアフリカ南部に渡航歴のある人たちの感染が中心だったが、欧米では、明らかに市中感染やクラスター(感染者集団)とみられる感染が見受けられつつある。日本では、12月7日現在でナミビアからの渡航者、ペルー経由の渡航者、イタリアに滞在歴のある日本人の3人のオミクロン株感染者が判明している。
(2)世界的にブースター接種が進む
世界各国では、既に今年の夏くらいから、ワクチン接種を終えているにもかかわらず感染する「ブレークスルー感染」が目立ち始めた。ファイザーによると、同社製ワクチンを2回接種してから4ヶ月ほど経過すると感染予防効果が半減するとのこと。モデルナも8月上旬、接種の6ヶ月後からデルタ型などの変異ウイルスに対する予防効果が下がり始めるとしている。
欧米などワクチン接種の先進国では、昨年の末からワクチン接種が始まったので、接種が早い人はもう夏前から予防効果が低下している。このため、2回のワクチン接種者に対して、より免疫の効果を高めるために3回目の「ブースター接種」を行う動きが世界的に見受けられるようになってきた。
加えて、オミクロン株の感染拡大は、ますますブースター接種の動きを加速させるようになってきた。2回目接種から早ければ3ヶ月から遅くとも6ヶ月後に追加接種を始める国が増えている。
世界で最も早くワクチン接種を進めたイスラエルは、感染者が再び増え始めた8月から、2回目の接種から5ヶ月経過した60歳以上を対象に追加接種を開始し、順次対象を拡大していって既に人口の4割が3目回の接種を終えた。このため、8月から9月にかけての第4波では1日の新規感染者数が1万人を超えることもあったが、このブースター接種の効果で、今では1日平均550人にとどまっている(12月5日現在)。

シンガポールでは9月から3回目の接種を始め、これまでに人口の4分の1が接種を終えた。当初は2回目の接種から半年が経過した60歳以上が対象だったが、方針転換をして5ヶ月が過ぎた30歳以上を対象に接種を進めている。すると、10月26日の前後1週間の感染者数が1日当たり3,481人に上っていたものが、12月5日になると1日当たり552人まで下がっている。ブースター接種の効果であろうと言われている。


ドイツでは、18歳以上を対象に2回目接種から6ヶ月後のブースター接種を原則とし、もしワクチン供給が十分であれば5ヶ月後からのブースター接種を目指している。フランスも、成人全体にブースター接種を呼びかけることにしており、従来6ヶ月としていた2回目接種から3回目の間隔を5ヶ月する方針である。接種が頭打ちのアメリカでも、9月以降、高齢者らを優先してブースター接種を進め、12月初めには18歳以上の22%が終了している。

(3)例の通り日本は立ち遅れ
日本では、最初のワクチン接種は欧米に比べて大いに出遅れたものの、その後、急速に接種のペースを上げていき、12月6日現在では、1回目の接種を終えた人は国民全体の78.9%、2回目の接種を終えた人は同じく77.1%となっている。この接種率は、国際的に見たところ、第2位と、極めて高い。これが今回の第5波で感染が急速に減速した主な要因と理解できる。


厚生労働省が11月に2回目からの接種間隔は8ヶ月が原則で、6ヶ月は例外だと表明している。これは、接種の作業に当たる地方自治体が今年の5月から秋口のワクチン供給の遅れで大混乱を招いたことを繰り返したくないということと、夏頃の各国の情報からブースター接種の間隔は8ヶ月でよいと聞いて、それをもとにワクチン確保や接種計画を進めてきたことから、今更早めたくないというらしい。
しかし、それは国民の命を守るという趣旨からすると、本末転倒である。そもそもお手本にした各国が、オミクロン株の出現もあって接種間隔を縮めてきているのであるから、それに倣って日本もそうしないと、またワクチン接種で各国に遅れをとってしまうのは、明らかである。このままでは、今年の夏に日本だけ時期外れの第5波に襲われたのと同じ間違いを犯しかねない。日本だけ接種間隔が8ヶ月などと悠長なことを言っていると、来年早々にはオミクロン株の第6波を見舞われかねないのは明らかだ。
ところが、新聞によると「前倒しにはワクチンの供給量の課題がある。政府は12月〜2022年1月分のワクチン412万回分を既に配送し、2〜3月分として米ファイザー製と米モデルナ製のワクチン計3700万回分を確保したとしている。これは8ヶ月間隔を前提に想定した日程と接種量で、全体的に前倒しすれば供給が追いつかなくなる懸念がある。ファイザー製は22年接種分として1億2000万回分を契約済みだが現状は『来年頭に配布するだけの量を持っていない』(後藤茂之厚労相)。6ヶ月に前倒ししても『(追加で)供給する訳にはいかない状況』という。モデルナ製は3回目接種の薬事承認がまだ下りていない」(日本経済新聞2021年12月2日付け)。政府の見通しの甘さと計画性のなさを表していて、もうガッカリするほかない。
12月6日の岸田文雄首相の所信表明演説は「ワクチンについては、医療従事者の方から、3回目の接種を始めました。2回目の接種から8ヶ月以降の方々に順次、接種することを原則としておりましたが、感染防止に万全を期す観点から、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、優先度に応じ、追加承認されるモデルナを活用して、8ヶ月を待たずに、できる限り前倒しします」というが(注)、ワクチンの確保に努めるとともに、地方自治体の抵抗を排して実現することを望む。
(4)日本の感染状況は落ち着く
12月に入っての日本の感染者数は落ち着いており、6日現在の日本全体では60人、うち東京は7人、大阪は6人、北海道は2人、沖縄は4人となっている。ワクチン接種で2回目を終えた人は人口の77.1%、1回目は78.9%である。

(注)12月6日の岸田文雄首相の所信表明演説(新型コロナ対応の抜粋)
先般、新型コロナ対応の全体像をお示しいたしました。
具体的な行動によって、国民の皆さんの安心を取り戻し、何としても、国民の命と健康を守り抜く決意です。
第1に、次の感染拡大を見据えた医療提供体制を確保します。感染力が今夏の2倍となり、第5波を上回る感染状況となっても、病床の徹底的な確保と個々の病院の病床利用の「見える化」、そして関連制度をフル活用した連携強化により、斉整と対応できるようにします。
公立公的病院に、法律に基づく要請を行い、新型コロナの専用病床化を進める。個別の病院名を明らかにして新たな病床の確保を行う。都道府県と医療機関が、書面で、緊急時に確実に入院を受け入れることを明確化する。
これらの取り組みにより、既に、この夏に比べて3割、1万人増の約3万7千人が入院できる体制を確保しました。
第2に、新型コロナの脅威を社会全体として、可能な限り引き下げます。ワクチン、検査、飲める治療薬の普及により、予防、発見から早期治療までの流れを抜本強化します。
ワクチンについては、医療従事者の方から、3回目の接種を始めました。2回目の接種から8カ月以降の方々に順次、接種することを原則としておりましたが、感染防止に万全を期す観点から、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、優先度に応じ、追加承認されるモデルナを活用して、8カ月を待たずに、できる限り前倒しします。
無料で受けられる検査を抜本的に拡充します。3200億円を計上し、健康上の理由でワクチン接種を受けられない方や、感染拡大時については、無症状の方でも、無料で検査を受けられるようにします。
今後の切り札となる、飲める治療薬は、年内の薬事承認を目指します。すでに160万回分を確保しました。薬事承認が行われ次第、速やかに医療現場にお届けします。
第3に、息の長い、感染症危機への対応体制を整えます。
今回の感染症危機では、海外産ワクチンを活用しましたが、変異株も含め、次の感染症危機に備えるため、国産ワクチン、治療薬の開発・デュアルユースでの製造に、5000億円規模の投資を行います。
国が主導して感染症危機に対応できるよう、国と地方の連携強化を行うとともに、緊急時に、安全性の確認を前提としつつ、迅速な薬事承認ができるよう、法整備を行います。
さらに、これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証します。その上で、来年の6月までに、感染症危機などの健康危機に迅速・的確に対応するため、司令塔機能の強化を含めた、抜本的体制強化策を取りまとめます。
(5)オミクロン株の脅威が増す
全世界的にオミクロン株の脅威が増しており、12月17日現在 、既に89ヶ国で確認されている。イギリスでは、ワクチン接種を2回完了した国民の割合は68.8%であるにもかかわらず、同日には過去最高の1日当たり9万2,503人を超える陽性者が出た。そのうち約10%のおよそ1万人がオミクロン株で、それがロンドンでは90%に及んでいるとのこと。このままでは、近く大半の陽性者がオミクロン株になると見込まれている。アメリカでは既に45州でオミクロン株が確認されている。まだその割合は数%にすぎないが、同日に陽性者が1日当たり19万3,305人も出たことを思えば、早晩、全米に拡大するのは目に見えている、
日本でも、12月17日現在ではオミクロン株が帰国者を中心に60人が確認された。そのうち5人が渡航経験のない人で、次第に市中感染の脅威が現実のものになりつつある。例えば、12月8日にアメリカから帰国した20代女性が、空港の検疫では陰性だったので、自宅での待機となった。ところが、待機期間中の他人との接触は好ましくないにもかかわらず、この女性は8日と9日には自宅で20代男性と会い、それから発熱して陽性となった。しかもオミクロン株である。
一方、男性の方は10日に発熱とせきの症状が出たものの解熱剤を飲んで会社に出勤し、また12日のサッカー天皇杯準決勝の観戦に出かけた。それから検査を受けたところ陽性で、かつオミクロン株であった。このため、男性の会社関係者8人余りとサッカー観戦で近くにいた50人余りが濃厚接触者となり、検査と待機が求められている。ともかく、そんな自宅待機期間中に会うなどというのは言語道断の行為で、軽率の謗りを免れない。ところがこれと同様の行為が、既に日本の市中で起こっているかもしれないのである。
(6)オミクロン株の特性
オミクロン株が公式に確認されてからまだ3週間程度なので、その特性は未だ詳らかではない。12月20日時点で指摘されているところは、次の通りである。
(感染力)実効再生産指数は、デンマークの例ではデルタ型の4倍。
(重症化)南アフリカでは重症化の人はいないというが、まだデータ不足。
(2回接種)ワクチンを2回接種しただけでは、感染予防効果は33%、入院予防効果は70%と、大幅低下する。
(3回接種)ところがワクチンを3回接種すると、発症予防効果は70%から75%と、かなり高くなる。アメリカCDCのファウチ首席医療顧問も、追加接種が有効とする。
このため、日本でも、3回目の接種となる「ブースター接種」を早期に・・・出来ればイスラエルや欧米のように2回目から3ヶ月ほどの間隔で・・・打てるかどうかが鍵になるわけであるが、この点、厚生労働省の動きが話にならないほど鈍い。というのは、夏頃の欧米政府機関の話を受けて、厚生労働省は9月に「2回目接種とは8ヶ月の間隔を置いて3回目接種をすればよい」との前提で地方自治体と話をし、ワクチン製造企業ともそのような前提で購入契約を結んでしまっているからである。
ところが、11月11日の3回目接種に関する厚生労働省の薬事の特例承認は6ヶ月の間隔を前提にされた。すると、これまでの話と平仄が合わない。そこで、11月16日に厚生労働省が地方自治体向けに出した通知では、8ヶ月の間隔という原則だけが書かれていて、例外6ヶ月については何ら具体的な基準が書かれてなかった。
国民としては、オミクロン株の脅威から逃れるためにはなるべく早く、できれば2回目から3ヶ月の間隔でワクチンを接種したいのに、何という馬鹿な対応なのかと、呆れるばかりだ。この状況は、ワクチン接種を巡って大混乱した本年5月頃の状況の再現のようなものである。厚生労働省は、懲りもせずに同じ過ちを繰り返している。
官邸も、これではいけないと考えたのであろう、岸田首相が乗り出して、12月17日に次のような記者会見を開いた。しかしこれでも、8ヶ月の間隔を一般高齢者に限り7ヶ月の間隔とするということで、たった1ヶ月繰り上げたというだけだ。それというのも、確保したワクチンの絶対数が少なすぎるからだ。加えて今回、岸田首相がファイザー社のブーラ会長と直接電話会談を行って経口薬を200万回分確保したというが、日本のこれまでの患者数は173万人だから、投与に必要な回数を考えると、これで足りるのかはなはだ疑問である。こんなことでは、国民の不安と不満が収まるはずがない。
(7)岸田首相が焼け石に水の対応
先月下旬に出現したオミクロン株に対して、政府は、G7で最も厳しい水際対策を即座に講じ、慎重な上にも慎重な対応に努めてきました。オミクロン株は極めて感染力が強く、内外の専門家は、世界中で早晩、感染が拡大していくことは避けられないとしています。我が国のこの厳しい水際措置は、オミクロン株に関する情報が少しでも明らかになるまでの時間を稼ぎ、必要な準備をしていくための臨時異例の措置と位置づけています。
少しずつ明らかになってきたオミクロン株の情報や、デルタ株感染の拡大に関する主要国の状況に鑑み、我が国としては緊急に採っている水際措置に加え、以下の3本柱を内容とする予防・検査・早期治療の包括強化策を講じることといたします。これによって医療提供体制がひっ迫しないように全力を尽くしてまいります。
まず1点目、1つ目の柱ですが、ワクチン接種の前倒しです。昨日承認されたモデルナ社のワクチンを活用し、専門家の意見も伺った上で、医療従事者と高齢者約3,100万人の方々を対象として前倒しを行います。具体的には、まず、医療従事者等や重症化リスクの高い高齢者施設入所者などについて、接種間隔を2か月前倒しし、6か月に短縮いたします。加えて、来年2月以降、その他の一般の高齢者について、接種間隔を1か月前倒しし、7か月に短縮いたします。オミクロン株の感染拡大が懸念される中で、ワクチンの重症化予防効果が比較的早く低下し、かつ、重症化のリスクが高い高齢者の方々を優先して、前倒しを集中させるとの判断をいたしました。お年寄りを守るため、国民の御理解をお願いいたします。
2つ目の柱ですが、飲める治療薬の提供開始です。オミクロン株にも極めて効果が高いとの発表があった治療薬の提供を年末から開始いたします。国際的に比べても我が国は新型治療薬を早期に、かつ大量に用意することができました。まず、メルク社のモルヌピラビルについては、既に160万回分を確保しています。来週24日金曜日の専門家会合で審査予定であり、可とされれば速やかに承認し、年内から医療現場にお届けいたします。また、モルヌピラビルと作用の仕組みが異なるファイザー社の経口薬については、本日、ブーラ会長と私が直接電話会談を行い、200万回分の確保について基本合意することができました。納入時期を含めた最終合意に向けて、引き続き、厚生労働大臣を中心に交渉を続けてまいります。ファイザー社には、ワクチンについて、これまでの協力に感謝を伝えるとともに、引き続きの協力を働き掛けたところです。
3本目の柱ですが、検査体制の抜本強化です。飲食、イベント、帰省など、人との接触機会が増える年末年始に向けて、ワクチン接種を受けられない方を対象に、年内から、予約不要の無料検査を全ての都道府県で開始できるよう準備を進めているところです。就任以来、コロナ克服を最優先として政権運営することをお約束してきました。まず、全体像として、病床確保3割増、宿泊療養施設4割増を始めとする準備態勢をどのように充実・強化するか、お示しいたしました。それを実現するための補正予算も現在国会で審議いただいております。そして今回、オミクロン株など、新たな状況に対応する予防・検査・早期治療の包括強化策をお示しすることになりました。いずれも私自身が陣頭指揮を執ってまいります。日本国民への医療提供体制を守るために総理大臣として全力を尽くしてまいります。3密回避やマスク着用を始め、国民の皆さんのコロナ対策への細心の注意と協力、これは世界に誇るものであると思っています。もうしばらくの間、お一人お一人の協力を心からお願いいたします。なお、この後、厚生労働大臣、あるいはワクチン接種推進担当大臣が会見することになっていると承知しております。冒頭、私からは以上です。
(ファイザー社CEOとの電話会談の狙いについて)
もちろんこちらから、電話会談を申し入れ、電話会談が実現したということです。その結果として先ほど申し上げましたが、200万回分の経口治療薬について、基本合意に至ったということです。
(ワクチンの前倒し供給の交渉をしたかについて)
電話会談の中身については、先ほど申し上げた基本合意については合意に至ったわけですから明らかにさせていただきましたが、相手との関係もありますので、それ以外の詳細については控えさせていただきたいと思います。引き続き、担当閣僚も含め、日頃からコンタクトを取っていきたいと考えております。
(ワクチン接種の前倒しを国と地方の在庫で行っていくのかについて)
ワクチンについては既に契約を済ませ、そして実際にワクチン、現物を国内に持ってくる、こういうスケジュールを立てているわけですが、そのスケジュールに基づいてワクチンの前倒し接種のスキームを動かしていきたいと考えております。
(8)危機感と焦燥感がまた戻ってきた
ところで、日本国内のワクチン接種人数(職域接種分含む)の割合を見ると、第1回目が人口の79.1%、第2回目が人口の77.6%、第3回目が人口の0.2%、であるから、第2回目は78%を超えることは確実である。しかし、これで安心してはいけない。
韓国はワクチン接種率が81.7%(12月20日現在)にも達しているにもかかわらず、12月に入って陽性者数がどんどん増えて、1万295人(12月3日現在)、5,316人(12月19日現在)という数字が続いている。このため、韓国政府は、飲食店の営業時間を午後9時までとするほか、同居する家族を除く私的な集まりの人数を全国一律に最高4人に制限する規制を来年1月2日までの2週間実施することとなった。同時に、3回目接種の2回目との間隔を3ヶ月とした。
それと比べれば、岸田政権の今回の決定すなわち「3回目接種と2回目接種との間隔を、原則8ヶ月から一般高齢者に限り1ヶ月間だけ繰り上げて7ヶ月の間隔とする」というのは、一体何なんだと思うのである。危機感を全く感じない馬鹿なのか、それともオミクロン株を空港の検疫で完全に止めて市中感染を防止し、7ヶ月の間隔でも済むように時間稼ぎをする自信があるのか。仮に後者だとしても、全国民がある程度、3回目のワクチンを打ち合わるのには早くで来年夏までかかると思われる。そこまでオミクロン株を抑えられるとはおよそ考えられない。菅政権の時にいつも感じていたワクチン接種の遅れによる危機感と焦燥感が、また戻ってきたではないか。
(9)第6波感染のシミュレーション
名古屋工業大学のグループ(平田晃正教授)が、東京都内の新型コロナウイルスの今後の感染状況をAIを使って予測した。材料としたのは、人流のデータ、過去の感染状況、オミクロン株の感染力、ワクチンの効果である。シミュレーションは、オミクロン株の市中感染がいつ始まったかによって、4つのケースに分けられている(NHKニュース12月17日より)。
(12月16日)オミクロン株の感染拡大と人の移動や飲み会などが
増える年末年始が重なるとなると、2022年1月初め
から感染者が急増して1月末には1日当たりの感染者数が
3,000人を超える。そして2月中旬に3,700人の
ピークを迎える。
(1月1日)1月末から急速に立ち上がり、2月半ばには感染者数が
3,000人を超える。
(1月16日)2月初旬から立ち上がり、2月下旬には感染者数が
2,000人を超えるが、その後は最大でも1日2,200人
程度となる。
(2月1日)3月初旬から立ち上がり、3月下旬には感染者数が
2,000人を超える。

(10)ワクチン接種証明書
12月20日、日本政府による「新型コロナウイルスのワクチン接種証明書」のアプリが公開された。そこで、翌21日、私も試しにそのアプリをインストールしてみた。このアプリを巡っては、元データのある「ワクチン接種記録システム」(VRS)について、16日時点で433万件ものデータで 誤りが見つかっているというので、果たして私と家内のデータが間違いなく登録されているかどうかを確認したかったからである。
私のスマートフォンはiPhoneなので、App Storeで「ワクチン接種証明書」を検索し、インストール完了。それを開くと、画面の指示通りに進んで、マイナンバーカードの上にiPhoneを置く。証明対象を日本国内用か海外用選択せよというので、とりあえず日本国内用を選ぶ。次に、マイナンバーの暗証番号を入れよというので4桁の数字を入れる。すると、マイナンバーカードが読み取られてすぐに「ワクチン接種記録が見つかりました」と表示され、その下に「接種証明書を発行しました」とあって、画面の半分に日本国内用の証明書が示された。もう少し面倒かと思ったが、その反対で、驚くほど簡単だった。









なお、海外用の証明書もついでに発行してもらおうと考えた。ところが、私のパスポートが、他に預けてあるから、手元にないのである。さてどうしようかと思った。その時、パスポートの写真があるのを思い出し、これで試してみることにした。駄目で元々だ、やってみよう。国内用と同じ手順を踏んだ後、パスポートの読み取り画面が出た。予めiPadに表示していたパスポートの写真を読み込ませた。すると・・・読み込んでくれた。あれ・・・意外と簡単だった。アプリというのは、こんなに容易に騙せるのか・・・。もう呆れたのなんのって。デジタル庁さん、大丈夫か?
(74(1)から(4)までは令和3年12月7日著、(5)から(8)までは同月17日追加)

75.オミクロン株による第6波が遂に到来
(1)米軍基地から「染み出した」オミクロン株
2022年(令和4年)になり、新型コロナウイルスの患者がどんどん増えていった。前年の10月から年末まで1日当たり100人から200人程度で推移していたものが、1月1日には534人、4日には1,265人、6日には4,460人、8日には8,787人と、日毎に倍倍増の様相を見せた。その6割が30歳代以下と言われる。
とりわけ広島県、山口県及び沖縄県の3県では、米軍基地から「染み出した」オミクロン株が陽性者の7割を占めるようになり、その他地域でも急速にオミクロン株に置き換わりつつある。日本は、空港検疫ではオミクロン株が入ってこないよう一生懸命に止めていたのに、思わぬところで漏れ出ていたというわけだ。これにより、恐れていた第6波が遂に到来したといえる。昨年7月から8月にかけての第5波はデルタ株によるものだったが、この始まったばかりの第6波はオミクロン株によるものである。そこで政府は、2022年1月7日、「1月9日から31日までの間、広島県、山口県及び沖縄県の区域に、まん延防止等重点措置の実施をする」と発表した。

(2)先行する南アフリカやイギリスの例
他方、オミクロン株による感染爆発が先行する南アフリカやイギリスの例によると、それぞれの国の前回流行の期間は3ヶ月間だったものが、オミクロン株による今回の流行の期間は、1ヶ月半と、約半分の期間になっている。しかし、1日当たりの感染者数は、アメリカでは108万人と過去最高となり、イギリスやフランスでも同様に過去最高を記録した。
ところが、死者の数はほとんど増えていない。これは、オミクロン株の感染力がデルタ型の3倍から4倍と非常に強い代わりに、あまり重症者の数は多くはないという特徴があるからだと言われている。つまり、デルタ株のウイルスは肺まで入り込んで重症になるというケースが多いのに対して、オミクロン株は咽頭や気管にとりついて炎症を起こすものの、肺にはさほど多くは達していないからだという。もちろん、ワクチン接種が普及した効果もある。
最近では比較的手軽に飲める経口治療薬の開発と実用化が進み、メルク社のモルヌピラビル、ファイザー社のパクスロビドなどのは、感染早期に投与することで、重症化や死亡のリスクをそれぞれ3割、9割も減らすことが証明されている。これも、入院患者を減らすのに寄与しているものと見られる。
南アフリカでの調査によると、オミクロン株による今回の第4波と、デルタ株による前回の第3波を比べたところ、第4波で酸素の補給を必要とした人の割合は17.6%で、第3波の74%と比べて大幅に低かったという(2022年1月10日付け朝日新聞)。もちろん、重症者の割合は低いとはいっても、全体の感染者数が多ければ、重症者の絶対数がも多くなるのは自明の理であるから、これで安心するのはまだ早い。なお、南アフリカ医療研究協議会によれば、オミクロン株の流行期での全入院患者の死亡率は4.5%過ぎず、これまでの21%をかなり下回り、集中治療室への入院も少なく、入院期間も大幅に短いとのことである(東洋経済オンライン1月10日)。
英国健康安全保障庁が昨年12月31日、3回目のワクチン接種の有効性に関するデータを更新したが、それによると、「米ファイザー製や米モデルナ製の2回目接種から20週間たった段階では、発症予防でみたオミクロン株に対するワクチンの有効性は10%程度と、約60%かそれ以上に保たれたデルタ株に比べて大幅に低かった。それが、3回目の接種をして2〜4週の段階では、効果は65〜75%ほどに上昇した。これは、3回接種した人はそうでない人と比べ、オミクロン株に感染して発症する割合が65〜75%低いことを意味する。ただ、うって10週間以上たった段階では、有効性は50%ほどに落ちていた。3回目接種の有効性が、オミクロン株では早期に低下する恐れがあり、4回目以降の接種についても早めの検討が求められるようになる可能性もある。なお、アストラゼネカ製も含めて、メーカーを問わずに入院を防ぐ効果を全体的にみると、2回接種から25週たって52%だった有効性は、3回目接種で88%にまで高まった」
とのことである(2022年1月10日付け朝日新聞)。
(3)一刻も早く3回目のブースター接種
だから、我が国も一刻も早く3回目のブースター接種を行う必要がある。ところが、まだ厚生労働省は、2回目接種との間隔を原則8ヶ月、ただし65歳以上は1月間早めて7ヶ月という立場を崩していない。ワクチンが調達できないという理由であるが、国民のほとんどがブースター接種を打てていない状態で第6波が来てしまった。このままでは昨年の東京オリンピック時の再来のような悲惨な状況になるのは目に見えている。あの時は、2回目接種率が2割にも満たないときに第5波に突入してしまい、1日の感染者数が2万数千人という悲惨な結果を招いた。
それに比べて今回の3回目接種率は人口のわずか0.6%、実数にしてわずか75万人にすぎない(1月7日現在)。このままでは、第5波の再来は避けられないではないか。また入院すらできずに自宅待機中に亡くなる人が続出するのか・・・もうあの悲惨な状況は御免こうむりたいが、さて、実際には、どうなるだろうか。
(4)3回目接種用の配分計画
昨年12月23日の厚生労働省の分科会に提出された3回目の追加接種用の配分計画を見ると、高齢者(65歳以上の、3,273万人)に属する私は、1月343万人、2月2,227万人、3月291万人のどれかの対象ということになる。私の場合、2回目の接種が6月28日なので、7ヶ月の間隔を置くとすれば、1月28日までに3回目の追加接種をするということになるはずだ。

そこで、文京区役所の該当ホームページを見たところ、「追加接種(3回目接種)に係る予約の負担を軽減するため、65歳以上の高齢者の方を対象に、区が接種日時と会場をあらかじめ指定します」とある。その計画によると私は2回目接種完了が6月なので、先月の半ばに接種券が発送済みなっている。まだ絵にかいた餅ではあるが、確かに接種券は来ている。しかし、肝心の事前指定通知が1月13日(木)に送付され、実際に3回目の接種が行われるのが2月以降ということだ。厳密に言えば、既に7ヶ月すら過ぎている。接種しても免疫が付くのに2週間はかかるから、こんなのんびりとした調子では、2月中に免疫が付くかどうかだ。どうしてこんなに遅いのかと、不満がつのる。
その一方、オミクロン株の第6波が大波となってヒタヒタと押し寄せて来ている。日本全国の感染者数は、1月12日には1万3,244人となった。ところが、その1週間前の1月5日は2,634人、更に1週間前の12月30日は515人に過ぎなかった。もはや感染爆発の段階だと考えられる。沖縄やアメリカでは、濃厚接触者となった医療従事者が数多くいるので、適切な医療の提供が難しくなっているらしい。
(5)韓国やイスラエルにも負けている
岸田首相は、「1月11日の3回目接種をめぐっては、追加購入で合意した米モデルナ社のワクチン1800万人分を活用し、『3月以降、一般分も前倒しする』と発表した、ところが、具体的な対象や日程は示されなかった。高齢者の3回目接種に向けて設置すると表明した自衛隊による大規模接種会場は設置場所や開始時は未定である」(朝日新聞2022年1月12日付け)。しかし、そんなにのんびりとしている暇はないではないか。
日経新聞によれば、「イスラエルは人口の半数近くが3回目を済ませ、1月3日には60歳以上の市民と医療関係者に4回目接種を始めた・・・韓国は当初、2回目からの間隔を6ヶ月としていたが、現在は18歳以上を3ヶ月間隔の対象にした。その結果、1月7日時点の3回目接種完了者は60歳以上で80%に達した。この結果、新規感染者に占める60歳以上の割合は12月第1週の35%から1月第1週は17%に低下した」という(2022年1月11日付け)。
これらの国は、極めて真っ当な反応を見せているのに、日本の官邸や厚生労働省は、なぜこういう韓国やイスラエルのような危機意識を持たないのか、全くもって不思議である。考えてみると、これら両国に共通する特徴は、前者は北朝鮮、後者は周辺アラブ諸国というかつて戦火を交えた国に接していて、いわば準戦時体制にあるということである。それに対して日本は、戦後77年も続く平和に安逸をむさぼってきた、そのとどのつまりが、この体たらくなのかもしれない。もっとも、平和であることは何ものにも代えがたい宝物ではあるが、それにしても、地震や津波や台風などの災害に備えるのと同じく、パンデミックにも常日頃から備えておくべきだと考える。
(6)接種間隔を更に1ヶ月ずつ前倒し
上記(4)(5)を記述していたのは1月13日だったが、その日の午後に厚生労働大臣が2回目接種と3回目接種の間隔を更に1ヶ月ずつ前倒しする方針を発表した。これは、元々8ヶ月が原則だったものが、高齢者以外の現役世代を7ヶ月に、例外的に7ヶ月だった高齢者世代を6ヶ月にするというものである。
その一方、1月14日には(4)に書いた文京区からの接種日時と会場を指定した通知が送られてきた。それを見ると、私と家内の接種日は、3月1日になっていた。我々の2回目接種は6月28日なので、まさに8ヶ月後だ。しかし、「65歳以上の区民は前倒し接種ができる」とあり、「ホームページか電話で手続をするように」と書かれていた。まずはホームページを開こうと思ったが、どういうわけか開かない。仕方がないので、昨年5月の時のようにまた何百回もするのかとうんざりしながら電話をしていたところ、驚いたことに3回ほどかけ直しただけで繋がった。
そこでオペレーターの方に、「最も早く前倒しができる日に、二人分をお願いしたい」と言うと、「1月30日に用意できます。2回目接種から7ヶ月後で、この日が限界です」などと答える。あれ、昨日6ヶ月後になったのではないかと思ったものの、政府の方針は、まだ現場には浸透していないようだ。そういう中、もっと前倒しして6ヶ月にしてほしいということをここでゴリ押ししても上手く行くとは思えない。そもそも、会場や医療関係者の手当てがついていないのだろう。あと2週間待てばよいのだからと考えて、それでお願いした。
しかし、これでも私たちに免疫が付くのは2月の半ばである。オミクロン株の感染力はこれまでのデルタ株の3倍から4倍と非常に強力であることを踏まえると、果たして間に合うかどうかである。ところがその反面、イギリスや南アフリカの例では、感染力が高くてあっという間に陽性者数は増えるけれど、その代わり流行の期間がデルタ株の3月間に対してその半分の1ヶ月半程度で収束するという見解が有力だ。もしかすると、このオミクロン株は、「終わりの始まり」かもしれないという気すらするゆえんである。
イギリスでは、12月初めまで一日当たり4万6千人以下で推移していたものが、オミクロン株で急増し、1月4日には21万8千人までになったが、1月13日には10万5千人まで漸減していった。アメリカはもっと激しくて、長い間、一日当たり29万人以下だったものが、クリスマスの頃から急増し、1月10日には136万4千人と史上最高のレベルに達した後、13日には78万4千人と減りつつある。このままだと、イギリスと同じような道をたどりそうだ。南アフリカの例はもっと顕著に傾向がわかる。昨年11月23日に1万8千人と流行が始まり、12月12日に3万7千人というピークを付けた後、1月14日には5千人に減少している。



仮に、日本も同じことになるのであれば、私は1月末という感染の最盛期に3回目接種を行い、感染が収まった2月の後半に免疫が付きそうだ。そうだとすると、「一体、何だったんだ、このブースター接種は」となりそうである。もっとも、3回のワクチン接種をしているという安心感は、何ものにも替えがたい。「人からうつされないし、人にもうつさない」という安心感に包まれて、心が平穏に保たれたまま日々過ごすことができるのが、今回のブースター接種のメリットだと思っている。だから、やはり接種は大事である。

(7)まん延防止措置の発動
日本全国の新型コロナウイルス感染者の数を今月の初めから並べてみると、次のようになる。これを見ると、まさに感染爆発と言ってもよい状況だ。たった3週間で100倍近くになるとは、恐れ入った。ちなみに、新規感染者100人分の遺伝子検査をすると、その全てが北米由来のオミクロン株ということがわかった。
1月 1日 534人
1月 5日 2,634人
1月 8日 8,471人
1月12日 13,243人
1月13日 18,850人
1月14日 22,045人
1月15日 25,735人
1月16日 25,642人
1月17日 20,984人 → 月曜日
1月18日 32,190人
1月19日 41,485人 ☆
1月20日 49,854人
1月23日 54,576人
1月25日 62,613人
1月27日 78,931人
1月29日 84,933人


そこで政府は、既に新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の対象地域に、1月末までを期限に沖縄、山口、広島の3県に適用していたが、これに首都圏の1都3県と東海3県など合わせて13都県を加えることを1月19日に決定した。措置の期間は、1月21日(金)から2月13日(日)までとされた。措置の具体的な内容は、都道府県によって異なり、午後9時までの営業時間の短縮、酒類提供は午後8時までとするなど、色々である。大阪、兵庫、京都、北海道も近く申請するそうであり、また、感染の急拡大のために、東京都などは緊急事態宣言に切り替えることを検討しているようだ。情勢は、急速に緊迫の度合いを増している。
その後、政府は1月26日、新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」の対象地域に、関西の2府1県など18道府県を加えることとした。期間は1月27日から2月20日までで、今月末が期限の沖縄、山口、広島3県も2月20日まで重点措置を延長する。新たに重点措置の対象となるのは、北海道、青森、山形、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、岡山、島根、福岡、佐賀、大分、鹿児島の18道府県であり、既に適用中の16都県と合わせると全国の47都道府県中の7割超の34都道府県に適用されることとなる。
オミクロン株の前では、ワクチン接種の2回目から数えて8ヶ月以上経過していたら全く役に立たないというのは、欧米のデータで明らかだ。恐ろしいことに、日本のほとんどの人はこれに該当している。オミクロン株を防ぐためには、早急に3回目のブースター接種が必要なのだが、現時点で終えたのは、医療従事者を中心とした178万人、人口のわずか1.4%に過ぎない。この調子では、第6波は大爆発が確実で、第5波を上回る悲惨なことになるのは間違いない。
なぜこういう体たらくかというと、主に3つの要因がある。
第1は、地方分権一括法と予防接種法で、かつて予防接種は「市町村の自治事務」と位置付けられていたように記憶しているが、現在の予防接種法では法定受託事務となっている(29条)。ところが、新型コロナウイルス対策の予防接種の場合は、常に変転する事態の進展に応じて適時適切に対応しなければならない。しかしながら、そういうものに関する厚生労働省からの指示は、「大男総身に知恵が回りかね」ではないが、地方の細かい事情まで配慮しているものとはいえないことが多いし、朝令暮改だ。また市町村の方もいたずらに「受け身」となってしまって、自ら頭を使って工夫しようという気概が見られない。集団接種の会場設営に選挙管理の職員まで動員して対応しようとしている墨田区の取組みが珍しいとして新聞に取り上げられるくらいだ。それやこれやで、無用に現場の混乱を招いている感がする。
第2は、菅政権のときに、1日100万件を打てとハッパをかけたのに、いざ始まるとワクチンの数が足りなくなり、自治体や職域接種が用意した会場と医師看護師がかなり無駄になってしまった。だから、自治体としては二度とその轍を踏むものかとばかりに、十分な時間的余裕とワクチン供給の確約を国に求めている。そのため、この見通しがない以上、いくら国が笛を吹いても踊ってくれない。
第3は、厚生労働省には地方部局として地方厚生局というものがあるけれど、これは本件のような医事行政は管轄外で、医事行政は(医系技官の世界なので)本省が都道府県厚生局と直接連絡して行うこととなっている。ちなみに、この世界はたとえ大臣であっても、なかなか手を出せない。
この他、保健所の設置主体の自治体がバラバラだったり、ワクチン行政が腰砕けだったり、ワクチン製造メーカーを育てる産業政策的観点が全くなくて新型コロナウイルスのワクチンは未だに全量を輸入に頼らざるを得なかったりと、色々な問題が集積していって、今日の情けない厚生労働行政があるというわけだ。以上は、構造的な問題であり、容易には解消できない。
(8)第6波の今後の見通しは?
新型コロナウイルス第5波が7月初旬に始まり、9月末日にようやく収まった。そこで、今回の第6波のピークアウトがいつ頃になるかが注目されるところである。もうこれは、占いに近い話ではあるが、日経新聞に次のような記事が載っていた。
「南アの最大都市、ヨハネスブルクがあるハウテン州では11月17日に感染者数が倍増した後、31日後の12月中旬にピークを迎えた。米国のニューヨーク市はマンハッタン地区で12月15日に感染拡大局面を迎え、1月14日の減少開始まで30日を要した。パリ(感染拡大期間24日)やロンドン(同23日)など世界の主要4都市・地域の平均期間は27日だった。東京の場合、1月4日の感染倍増から18日経過している。海外の事例をそのまま適用すればピークは2月上旬になる。
ワクチンのブースター接種は重症化の抑制などに有効とされるが、世界的に需要が増えており確保は難しい状況だ。日本のブースター接種の実施率は1.5%と、英国(55%)やフランス(44%)、米国(25%)を下回る。21年12月に3回目接種を始めてから2カ月近くたつが、接種ペースはなかなか上がらない」(2022年1月23日付け)。
という各国の例をみると、今回の日本の第6波のピークは2月上旬で、同月末には収まるという見込みである。ところが、諸外国と比べて3回目のブースター接種が全く進んでいないことを考えると、そのような見通しの通りに第6波がピークアウトするかどうかは極めて疑問である。
その一方、私の身近でも第6波がひたひたと押し寄せてきている。一昨日の1月21日、午後11時前に自宅マンションの1階にゴミを出しに行こうとしたら、そんな夜中に若い作業員の人達が大勢いて、驚いた。表示を見ると、「現在、このマンションマーケットの大規模修繕工事を実施させて頂いておりますが、当社社員が今年2回目のPCR検査(19日)で21日コロナ陽性と判明致しました。居住者の皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、感染拡大防止の為、共用部の消毒を実施させて頂きました」とある。大規模修繕工事で当マンションに常駐している現場監督が罹ったそうだ。この監督は、17日夜の臨時理事会にも出席していたから、監督さんご自身の健康のみならず、同席していた他の理事は大丈夫かと心配になる(その後、濃厚接触者として全員がPCR検査を受けたが、幸い陽性と判定された人はいなかった)。
また、私の法律事務所のIT部門でも陽性者が複数出たようだ。この部門には、外部の技術者がよく出入りしているので、その関係で持ち込まれたのかもしれない。
他方、アメリカ疾病対策センター(CDC)は、「2回目の接種から6ヶ月以上たった場合、3回目の接種の入院を防ぐ効果は、デルタ株が優勢だった時期に81%だった一方、オミクロン株が優勢になった時期には57%である。しかし、3回目の接種のあとではデルタ株の時期は94%、オミクロン株の時期は90%に上昇した。ワクチンの追加接種を受けた人と比べ、受けていない人は入院する割合が大幅に高くなり、50歳から64歳で44倍、65歳以上で49倍になる」という(NHKニュース1月23日付け)。
私のワクチン追加接種の予約は前倒ししてもなお1月30日となっているので、21日に文京区に再度電話して「もっと早くしてほしい」と申し入れたが、「2回目接種から7ヶ月が原則だ」と言われて、けんもほろろだった。岸田首相ももっと前倒しして6ヶ月にしてほしいと言っているし、世田谷区や墨田区や目黒区などは6ヶ月を目途に前倒し接種に取り組んでいる。現にこれらの区在住の私と同年配の友人たちは23日現在で既に3回目の接種を終えている人が3人もいるというのに、文京区というのは、なぜこれほど公衆衛生上の危機感や切迫感がないのか、区長以下担当者に至るまで、およそ馬鹿で無能なのではないかと思う。
(9)第6波が猖獗を極める
オミクロン株による陽性者数はますます増加の一途をたどっている。もう5日連続で過去最高を記録し、遂に1月29日には8万4,933人に達してしまった。うち東京都は、1万7,433人、大阪府は、1万0,380人である。全国ベースでの入院中や療養中の人は、53万9,357人と、既に前回第5波の時の倍以上だ。病床使用率は東京都で43%、大阪府で51%と、もはや緊急事態宣言のレベルである。切り札となる3回目のワクチン接種は、わずか340万人、人口の2.7%と、遅々として進まない。私と家内は、本日(1月30日)、何とかこの接種を済ませた。免疫が付くのは2週間後だから、それまでに感染しないよう十分に気を付けなければいけない。




困ったのは陽性者数の増加に伴い、濃厚接触者数も多くなり、病院のスタッフ、保育園の保育士などがこれに該当してしまうと、仕事が回らなくなることである。そこで政府は、濃厚接触者の待機期間を、従来10日間から7日間に短縮した。これとともに、軽症者で病院があふれて肝心の重症者が入院できない事態を防ぐために、感染が急拡大した場合は、重症化リスクの低い人は医療機関を受診せず、自宅で療養することもあるという方針を明らかにした。
その背景には、オミクロン株の場合には、重症化率がデルタ株の場合のわずか25分の1と、極めて低いことである。すなわち、今回の第6波の場合には重症化率が0.03%であるのに対して昨年夏のデルタ株による第5波の場合には0.66%であった。ちなみに、一昨年冬の第3波は0.93%、昨年春の第4波は0.83%であるから、それらと比べても低さが際立つ。
これまでの感染の波の傾向によると、波の開始から40日程度でほぼ収束するようなので、今回の第6波も2月の半ばを過ぎれば減少傾向を示すものと期待される。そうだとすれば、オミクロン型の感染リスクに応じた対策を立てるのが良いと思われる。
そうした考えの下に、尾身茂会長ら専門家有志による提言でも、「これまでのような強い対策の踏襲ではなく、オミクロン型の感染リスクに応じた対策が効果的だと指摘。これまでの人流抑制ではなく、感染リスクの高い場面・場所に焦点を絞った『人数制限が適している』と強調した」そうである(朝日新聞2022年1月30日付け)。正しいと思う。しかしながら、政府も自治体も、未だ事態の推移に追いついておらず、岸田文雄首相は相変わらず「地域の実情に応じた人流抑制」を求め、小池百合子都知事も「不要不急の外出自粛」を都民に呼びかけるなど、従来と同じ政策を漫然と続けている。為政者の頭というのは、そう簡単には切り替わらないのだろう。
(10)第6波はいつピークアウトするのか
オミクロン株についての研究が進んで、デルタ株よりウイルスが肺に広がりにくい性質があるようだ。東京大と北海道大で作るグループによれば、新型コロナウイルスに感染させたハムスターの組織をみると、デルタ株でもオミクロン株でも、ウイルスが肺の入口近くにある細胞に集まる。ところがそれから3日後になると、デルタ株は肺の中まで浸透しているのに対し、オミクロン株はその入口にとどまっていたという。つまり、デルタ株に比べて肺組織にウイルスが広がりにくいのがオミクロン株の特徴で、それだけ病原性が弱まったのではないかと推論している(2月8日付け朝日新聞)。
また、従来のオミクロン株はBA.1であるが、その派生型BA.2が生まれてきた。しかも、フィリピンでは直近の感染者に占める派生型の割合が98%にも達し、デンマークではそれが79%、インドでは65%にもなり、次第に主流になりつつある。問題は、派生型の感染力が従来型の2〜3倍と強力なことで、家庭内でうつる確率は39%と、従来型より10%も高かったことである。ただ、幸いなことに重症化率は従来型と変わりがないようである。
2月10日の日本国内の感染者数は、1日で1万9,942人、累積で368万2,055人と、かつてないほどの数となった。2月5日には10万5,625人と、過去最高を記録したが、これは大阪府で1万件以上の登録の遅延があったことによるものらしい。ということで、10万人弱というのが最新の感染者数である。東京都においては、1日の感染者数が1万8,891人にのぼり(2月10日現在)、都民80人当たり1人の感染者が出ている計算になる。これは、ショッキングな数字である。では、この第6波がいつピークアウトするのだろうか。




今回の感染を阻止する鍵となるのは、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種である。ところが、日本国内のワクチン接種の全人口に占める割合は、2月10日現在で、わずか7.9%にとどまっている。第1回目接種が80.1%であったのに、これはどうしたことか。市町村の接種会場をみると、取扱いを間違えないようにファイザー製を打つ会場とモデルナ製を打つ会場とに分けてあるが、ファイザーの会場が予約で満杯であるのに対し、モデルナの会場はガラガラだという。その理由として、第1回目と第2回目の市町村の接種はそのほとんどがファイザーだったので、その上で第3回目としてモデルナを打つと、つまり「交互接種」をするのは心配だという心理が働いたのだといわれている。しかも、そのモデルナが今回の3回目接種の60%を占めている。だから、モデルナの会場の人気がないと説明されている。

こうした状況を打開するため、岸田文雄首相は2月7日の衆議院予算委員会で、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種について「2月のできるだけ早期に1日100万回までペースアップすることを目指す」旨を表明した。ところが、これは評判が悪い。感染が落ち着いていた昨年10月から12月まで、一体何をやっていたのかという批判に繋がる。2月8日付け朝日新聞の川柳欄によると、
後手後手の見本のような「百万回」
東京都 鈴木良一
ちなみに、諸外国のオミクロン株の初確認から感染ピークアウトまでの期間をみると、次のようになっていて、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種率( )内が高いほど、一般にピークアウトする期間が短いという結果がわかってきた(2月5日付け日経新聞)。日本は、確認から40日経つが、まだピークが見えない。
イギリス 38日間 (56%)
イスラエル 58日間 (55%)
フランス 51日間 (48%)
フィンランド 37日間 (45%)
オーストラリア46日間 (32%)
アメリカ 25日間 (41%)
((1)から(3)までは令和4年1月10日著、(4)・(5)は13日、(6)は15日、(7)は19日、(8)は23日、(9)は30日追加)

76.第6波が収まりきらない内に正常化へ
(1)政府は、オミクロン株による第6波の感染が徐々にゆるやかな減少を見せてきたことから、まんえん防止等重点措置の解除を始めた。最大36都道府県を対象としていたものが、2月20日までに5県を解除し、尾身茂会長などの専門家は、新型コロナウイルスも、インフルエンザ並みに取り扱えばよいとの見解を示し始めた。
諸外国もそのような考え方になりつつあり、イギリスは既にマスク着用義務やイベントなどでの陰性証明を不要にしていたが、2月24日からは、ジョンソン首相が「ウィルスとの共存を考えるべきだ」と語って、イングランドでの感染者の隔離もやめてしまった。3月4日には、ニューヨーク州もアダムズ市長が「町を再開する時が来た」と言って、ほとんどの規制を解除した。これとともに、全米の人口の9割が、マスク着用義務から外れた。
日本も、世界一厳しいという入国規制は続けるものの、まんえん防止等重点措置は、東京、大阪、北海道など21都道府県につき、3月21日まで再延長することとしたが、それ以降は再々延長をすることはなかった。
(2)こうして、新型コロナウイルスに対する世界的な警戒感が解けていく中で、とんでもないことが起こった。2月24日、ロシア軍が突然、隣国ウクライナに侵攻し、首都キーウ(ロシア語:キエフ)や北部、東部などへの苛烈な攻撃を行い始めた。ミサイルが高層住宅やマーケットや劇場などに着弾し、戦車が街々を蹂躙して侵攻の道筋にあたる家々や高層の建物は破壊され、民間人の虐殺が行われるという異常な事態となった。
それに対して、ウクライナ軍が頑強に抵抗している様子は、連日報道されている。プーチン大統領が核兵器の使用すら示唆していることもあって、西側各国はウクライナに直接的な軍事支援をすることには慎重にならざるを得ない。そこで、各国はロシアに対して経済制裁を行っている。
私も、その悲惨な状況を報道で知って、連日、悲憤慷慨する日々を送っている。世界がウクライナ国民にただただ同情し少なからぬ支援を行っている一方で、気がついてみると、新型コロナウイルスは第7波に入ったのではないかという事態が進行しているではないか。要因は、オミクロン株の新タイプである。それまでの主役はBA.1であったものが、BA.2に成り代わりつつあり、これが再び感染を拡大しつつある。



(3)日本国内の感染者数は、708万3,381人にものぼっており、4月11日にはその日だけで3万3,205人の感染者がでている。未だに、すごい数だ。グラフで感染者数の推移をみると、3月22日までは減少傾向にあったが、それ以降は、徐々に増えつつある。それでも、この時点での3回目のワクチン接種率は、まだ35.1%に過ぎなかった。にもかかわらず、その前日の21日に、すべてのまんえん防止等重点措置を解除してしまった。


そうすると、オミクロン株の中でも、感染力が2割から3割強いBA.2になりつつあり、4月上旬には、東京で7割がBA.2に置き換わったと言われている。4月11日の全国の3回目のワクチン接種率は、まだ46%に過ぎない。なぜこんなにも接種が遅いのか、政府は何をやっているのかという気がする。聞くところによると、菅政権のときには、河野太郎ワクチン担当相がそれなりに頑張ったが、岸田政権では堀内詔子担当相に代わった。はっきりいってこの人は全く無能な人で、ワクチン接種が全然進まなかったのは、そのせいだと言われている。国会答弁がしどろもどろだったことからすれば、そうだろうと思う。
ところで、こういう状況で心配なのは、オミクロン株に続く新たな変異ウイルス「XE株」の出現である。これは、オミクロン株の複数のタイプが組み合わさって各タイプの「いいとこ取り」をしたもので、まだ初期段階の分析ではあるが、感染力はBA.2より、16.8%高いという。既に3月26日の日本の空港検査で、アメリカから帰国した30歳代の女性から検出されている。これが、BA.2とともに、第7波の感染の主体となるものと考えられている。

(4)ところで、驚くべきは、隣国である韓国での感染の急拡大である。今年1月には、感染者数は、1日当たり4,443人(4日)、累積で64万9,669人だった。これは「K防疫」と言われ、新型コロナウイルスを完全に押さえ込んだとして、世界から賞賛されていた(ちなみに、その時、日本は1日当たり1,265人(4日)、累積で173万6,651人である)。ところが、その優等生であった韓国では、3月9日に大統領選挙があったせいか、感染者数が3月16日には、たった1日で62万1,317人にものぼった。4月11日の累積感染者数は1563万5,274人にものぼっている。一体どうなっているのだろう。任期満了でやめていく文在寅前大統領による、尹錫悦新大統領への嫌味な置き土産としか思えない。
(5)さて、5月下旬になった。新型コロナウイルスの第6波は、2022年1月初旬から始まり、感染者数は2月6日に10万5,590人を記録した後、徐々に減少していったとはいえ、下がりきらずに5月26日にはまだ3万5,186人にのぼっている。第5波までの時のように、ほとんどゼロになるというのは、いつのことになるやらという感じである。累積では、874万5492人、死亡者は3万467人となっている。



しかし、それにもかかわらず、政府は、5月21日に新型コロナウイルス対策の緩和策を発表した。その第1は、マスク着用義務の緩和である。屋外でのランニング、子供の鬼ごっこなどの場合には、2メートル以上を目安として距離が確保できるときは例え会話を行うときであってもマスクは必要ないとした。これに対して、距離が確保できない場合には、引き続きマスク着用を推奨する。ただし、徒歩での通勤など屋外で人とすれ違う程度で、会話をほとんど行わないような場合には不要とした。
第2は、入国者数の上限を6月1日から1日1万人から2万人へと引き上げることである。各国・地域を感染状況や検査陽性率などのリスクに応じて「青・黄・赤」の3グループに分け、低リスクの「青」の入国者はワクチン接種の有無に関係なく入国時の検査や自宅などでの待機を不要にする。3グループの内訳は改めて公表する。これによって、入国者ベースで8割程度の国・地域は入国時検査と待機を求めないことになる見込み。



ちなみに諸外国は、アメリカにしても、韓国にしても、そしてドイツにしても、感染は収まってきている。ヨーロッパや東南アジアでは、新型コロナウイルスはもはや普通の風邪と同じという感覚で、すべての規制は撤廃され、観光業や飲食業は、平常化しつつある。その一方で、中国は未だゼロコロナ政策を堅持しており、上海ではもう2ヵ月も外出禁止令が発せられており、人々は食料が足りなくなって、ひどい目に遭ったという。やり過ぎだ。
なお、新型コロナウイルスのワクチン接種者の日本国内の接種者の割合は、次の通りである。なお、私のところには、第4回目の接種の案内がきている。第3回目の接種は1月30日だったので、5ヵ月の間隔を置いて6月30日に打つことになっている。
第1回目 81.7%
第2回目 80.5%
第3回目 58.1%

((1)から(4)までは2022年4月12日、(5)は5月22日著)

77.第7波が猖獗を極める
(1)新型コロナウイルスの新規感染者数は、2月5日に10万4,169人という第6波のピークを迎えた後、次第に減衰していって、6月20日には7,796人までに下がった。ところがその頃から、オミクロン型の派生型「BA.5」が急激な広がりをみせ、7月16日には11万653人と第6波のピークを超えた。それどころか7月28日になると、13万9,590人と、あっという間に過去最高を記録した。続いて8月3日には24万9,830人と、それが倍増してしまった。もう、異常な感染拡大である。



1日当たりでは、世界一の感染者数となってしまった。この調子では、総感染者数が欧州各国に肩を並べるのは、時間の問題だとすら、思ってしまう。ただ、各国は、もはや日本ほど真面目に感染者数を数えていないと思われるので、これらの数字そのものが信頼できるかどうかは別問題である。
新聞報道によると、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、救急患者の搬送先がすぐ決まらない『救急搬送困難事案』が、7月31日までの1週間に全国で6,307件あり、過去最多となった。総務省消防庁が8月2日発表した。
前週と比べて、272件(5%)増えた。これまでの最多は、第6波のさなかの今年2月14〜20日(6064件)。オミクロン株の変異系統「BA.5」の流行による第7波を受け、医療機関の救急患者の受け入れがかつてなく難しくなっていることが浮き彫りとなった。
このうち、コロナ感染が疑われる患者の搬送困難事案も2,789件と、2週連続で過去最多を更新した」という(朝日新聞2022年8月3日付け)。
(2)こんな爆発的な感染状況になった後も、政府はしばらく行動制限に慎重な姿勢に終始した。過去2年半に及ぶ度重なる緊急事態宣言で、国民も疲弊し、政府財源も枯渇しつつあるからだろう。だから、山際大臣が「法律に基づく措置は講じない」ということを繰り返していた。ところが、ここにきて感染者が急激に増えてきたことから、新たな対策を迫られたのであろう。岸田文雄首相は7月29日、「一律の行動制限ではなく、丁寧なメリハリの効いた感染対策をしないといけない」と述べた。
これを受けて、医療の負荷が大きい場合、都道府県が「BA.5対策強化宣言」を出す仕組みをつくることとなった。具体的には、この宣言は都道府県が国と調整し、国が適用を認定するもので、病床使用率がおおむね50%あるいは昨冬のピークを超え、入院患者の多くが中等症以上の医療が必要である場合などに宣言を出すものである。国は必要に応じて自治体に対策を助言したり、応援の職員を派遣したりする。
この宣言に基づく要請は、高齢者や同居家族の外出自粛、飲食店の長時間滞在の回避などとなる。もちろん、従来の緊急事態宣言とは違って、罰則や給付金はない。発熱外来の逼迫を解消するために、抗原検査キットの無料配布も広げるものとされる。
(3)朝日川柳
丁寧な寝言聞きたい訳じゃなし (神奈川県 小林正)
またみんな忘れるだろうと高くくり (佐賀県 松枝小夜子)
世界最多 こんなにマスクしてるのに(長崎県 前田一笑)
経済を回して医者の目も回す (大阪府 小倉三歩)
(朝日新聞2022年8月3日付け)
(4)こうした政府の無為無策を懸念し、業を煮やしたのかのように、8月3日、尾身茂氏など、感染症、経済、法律の専門家18名が次のような提言を発表した。
〇 社会経済活動を続けながら医療逼迫の深刻化を抑えるためには次の二つが必要
(第1)感染拡大を招かない一人一人の主体的行動
・大人数の会食や混雑する場面を避ける
・濃厚接触者は感染リスクにつながる行動を控える
(第2)オミクロン株の特徴に合わせた柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行
・保健所が濃厚接触者を特定しないことを容認する
・感染者の全数把握の段階的な中止
・一般医療機関の診療への参加
・保健所の一律の健康観察はせず、必要時に相談
〇 国が早急に取り組むべき課題
・重症者・死亡者が増える可能性を社会に説明、理解を求める
・抗原検査キットを確実に入手できる体制の確保
(5)第4回目のワクチン接種については、私は6月30日に、家内は7月に入ってから、ファイザーの接種を済ませている。少し腕が重く感じたくらいで、副反応は全くなかった。

息子の家では、先月、小学生の孫娘が37.7度の熱を出したので、PCR検査をしたところ、陽性となってしまった。学校の隣のクラスが新型コロナで閉鎖となった直後なので、それと関係があったのだろうと考えられる。可哀想に2日間、高熱と吐き気に苦しめられたものの、3日目に平熱に戻り、それ以降は元気に過ごしている。患者本人は10日間の自主隔離、結局は罹患しなかったが、濃厚接触者の家族は7日間の隔離を強いられたようだ。
(2022年8月3日)


78.第8波の終息・マスク着用義務撤廃・第5類へ分類替え
この稿も、随分長らく更新を怠っていた。新型コロナウイルスがもはや第8波となり、いささか飽きてきたこともあるし、統計上は国民の4分の1に当たる3,326万人が罹患して、特にニュースでも何でもなくなってきたこともある。罹患の報告やそもそもPCR検査をしていないなど統計から外れた人も多いので、まあ半分以上が感染して集団免疫を獲得したのではないだろうか。そうこうしているうちに、2023年3月13日から、マスク着用義務が撤廃されることになった。たまたま、その日の東京都の患者数をみると、313人だったから、笑ってしまった。なお、世界各国の新型コロナウイルス患者の数をほぼ毎日公表していたアメリカのジョンズ・ホプキンス大学は、有意なデータが得られなくなったとして、3月10日にデータの更新を終了している。



ただし、厚生労働省は、マスク着用が効果的な場面や着用を推奨する場面などについて「以下のような場合には注意しましょう」としている。
(1) 医療機関を受診する時
(2) 医療機関や高齢者施設などを訪問する時
(3) 通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバスに乗車する時
また、新型コロナウイルスは、感染法上は第2類に位置づけられているが、これをインフルエンザ並みの第5類に落とすことを5月8日から実施することとなっている。具体的には、次のようなことである。
「外来での検査や薬の処方に原則3割の自己負担が発生する。政府の試算では、解熱鎮痛剤などの処方を受けた場合、窓口負担は現在の2,590円から3,710〜4,170円に増える。インフルエンザとほぼ同水準になる。
患者や医療機関の負担が急激に増えないよう、公費負担や行政支援を一部続ける。期限は9月末までとし、その後、必要かどうかを判断する。
1回5万〜25万円するコロナ向けの高額治療薬は全額補助を続ける。入院医療費は最大で月2万円を支援する。
入院や転院が必要な患者の受け入れ先を探す入院調整は行政の介入を徐々に減らして医療現場に任せる」(2023年3月11日付け日経新聞)
というわけで、長らくお読みいただいたこの新型コロナウイルスの一連の記事の連載も、これをもって終わりとしたい。長らくご愛顧いただき、深く感謝申し上げる次第である。なお、私は2022年10月22日に第5回目の新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた。そして2023年5月からは、高齢者向けに第6回目のワクチン接種が始まるそうなので、それも受けようと思っている。それ以降は、インフルエンザのワクチン並みに、年に1回程度の定期接種に移行するとのことである。
(2023年3月13日)