悠々人生エッセイ



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新型コロナウイルス緊急事態宣言


        目   次
   新型コロナ対策のマスクを求めてさすらう
   月1億枚を6億枚にしても焼け石に水
   水野康孝医師の「防ぐ効果はありません」
   諸外国のマスク争奪戦
   マスクの不満はパーっとなくなる?
   やっと一箱60枚入りを買えた
   スペイン風邪
   マスクを義務化したNY等と大和市
   「アベノマスク」が郵便受けに
10    マスクを巡り狂騒は続く
11    結果的に、結構楽しめた話題
12    マスクが街にあふれて値崩れ
13    ミズノとユニクロのマスク
別冊    ミズノのマスクが当選
14    アメリカでのマスク着用義務化論争
15    アベノマスクの世論調査結果
別冊    日本のPCR検査がなぜ進まないのか


1.新型コロナ対策のマスクを求めてさすらう

 昨年末、これから寒い中を散歩するのに、マスクがあると口元が暖かいだろうと思い、ドラッグストアで使い捨てのマスクを買った。不織布を使ったもので、1箱65枚入り、わずか508円である(1枚当たり8円弱)。なぜこんなに安いのかと思った記憶がある。家内は、もともと先々のことまで気が回る方なので、花粉シーズンを迎えるということで、昨年末にユニ・チャームの特別仕様のマスクを、3ヶ月分以上買い置いていた。

最初のマスク


 私は、そのマスク箱から毎日1枚ずつ出してチビチビと使い続けていた。ところが、今年の2月に入ってなくなりかけたので、もう一箱買おうと思った。しかし、既にその頃から新型コロナウイルスが世間を騒がすようになり、ドラッグストアやスーパーなど、どこを探してもマスクは売り切れである。毎日、同じ店を数回見て回っても、「在庫はありません。入荷は未定です。」とあるばかり。それが連日続くものだから、さすがの私も、だんだん腹立たしくなってきた。

 これは、私だけではないようで、ドラッグストアの店員さんのボヤキとして、「お客さんに『マスクがないか』と言われるのが辛い。『ありません』と答えると、『今、マスクをしているじゃないか。それを寄越せ。』などと無理難題を言われて困っています。いつ配送があるかどうかもわからないのに、お客さんに聞かれて『分かりません』というと、『嘘だ 。テレビでは増産すると言っているじゃないか。』と言われてしまう。」という趣旨の記事があったほどだ(日本経済新聞4月6日付け朝刊)。

 新型コロナウイルスは感染症だと聞くので、一庶民としては、マスクをしたら少なくとも防御効果はあると考えるのが普通である。特に混雑時の地下鉄では、乗車する間はそれこそ他人と密着して過ごすわけだから、せめてマスクくらいはしたい。それなのに、何軒も何度も回っても、どこにも売っていないとは、一体どういうことだと思う。一方で、自宅のマスクの在庫はもう尽きそうになるから、心はあせる。もはやこれは、「マスク難民」としか言いようがない。

 最後の手段として、通販のアマゾンを探した。すると、PM2.5対応のマスクしか残っていなかった。それも、1箱30枚入りで、値段はなんと、4,980円だ。一枚当たり166円と、先に買ったものの21倍もする。いくらPM2.5対応とはいえ、これは不当だと思ったが、他に入手の当てはない。仕方がないのでそれを購入し、ひと息ついた。2月8日のことだった。

アマゾンのマスク


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2.月1億枚を6億枚にしても焼け石に水

 せっかく確保した30枚のマスクだったが、3月中旬にはまた底をつく。再びあの憂鬱なマスク探しをするのかと思うと、嫌になる。そういう時、家内が近くのスーパーから帰って来て、「面白いものがあったわよ。」と持ってきてくれた小さな箱がある。それは、「マスク用取り替えシート(50枚入り)」というもので、既存のマスクの内側に挟んで使うらしい。なるほど、これは小判ザメ商法の一種だが、目の付け所は悪くないアイデア商品だ。もっとも、効果のほどはよくわからない。しかし、この際、溺れる者藁をも掴むだ。それでは、今のマスクは使い捨てではあるが、もし在庫がなくなったときの非常手段としては、良いと思う。有難く頂くとしよう。(その後、3月下旬から4月初旬にかけて自宅のマスク在庫がなくなってきたので、いったん使ったものを洗って高温乾燥させ、散歩のときにこの取り替えシートを挟んで再利用した。それで数週間、凌ぐことができた。)

取り換えシート


 2月13日になって、菅義偉官房長官が、「現在のマスク供給数は月間1億枚だが早急に6億枚まで引き上げるので、3月中には国民に行き渡る」と説明していた。私はこれで先に光明が見えたと思った。ところが、3月末になっても、4月に入っても何も変わらず、市中では1枚も手に入らない。やはり官房長官のあの発言は、嘘でたらめの類いだったのかとガッカリした。その後、官房長官が表に出てくることはなくなった。新聞記事によると、「官房長官を傷つけてはいけないと、周りが押さえている」とのこと。国難ともいえる緊急事態なのに、そんなことをやっている場合かと言いたくなる。

 4月11日付けの報道によれば、「厚生労働省に聞くと、『月6億枚を供給しているのは確かで、国内メーカーは24時間態勢で通常の3倍の増産を継続している』(対策本部マスク班)と回答。

 そこで、国内メーカーが加盟する全国マスク工業会の上部団体にあたる社団法人『日本衛生材料工業連合会』に6億枚の内訳を尋ねると、『医療機関に行くのが生産量の3割ぐらい。残りが介護施設や食品業界、そして小売店などです。メーカーには例年の約4〜5倍の受注があり、いつ、“コロナ以前”の状況まで回復できるかはっきりしたことは言えない。ただ、小売店への納品回数は増え、店頭に並ぶ機会も増えています。30分〜1時間程度で売れてしまいますが』(担当者)

 同連合会の調べによると、2018年度の年間マスク量は、国内生産約11億1100万枚に対し、海外からの輸入は約44億2700万枚。菅官房長官は『平常時は輸入が7割、国産が3割。3月はその比率が逆転する見込み』と話しており、世界的感染拡大による中国などからの輸入減少が響いている。その分を国内メーカーがカバーしようと奮闘中だ。

 そもそも、『月6億枚』という数字に過度の期待をしてしまった感がある。実はコロナ以前の需要も『平均で月約3.6億枚』(前出のマスク班)と、そこそこあり、現在のマスク着用率をみると6億枚程度では足りなくなるのも当然だ。」
(「週刊女性PRIME」編集部)

 なるほど、そういうことか。大雑把に言うと、マスク国産と輸入の合計年間55億枚だから、国内需要を満たすために月平均4.5億枚も出ていたのか。しかも、1月から3月にかけては花粉症シーズンだから、需要が集中する時期だ。仮に月10億枚の需要があるとすると、輸入マスクは各国の取り合いでもはや期待出来ないだろうから、そんな時に国産マスクを月1億枚から6億枚に増やしても、焼け石に水というわけだ。官房長官がそれを知っていてあんな発言をしたとしたら、気休め程度を通り越して、やはり嘘八百だった。こういうことを繰り返すと、政府への信頼性をなくすばかりだ。

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3.水野康孝医師の「防ぐ効果はありません」

 3月に入って、NHKテレビに感染症に詳しいと称する水野康孝という医師が出てきて、盛んに「マスクをしていても、新型コロナウイルスを防ぐ効果はありません。鼻の両側や側面から空気が入るからです。」と説明する。これを真に受けて、街を歩いていると、それまでは9割方の人がマスクをしていたのに、あれよあれよという間に7割くらいに減ってしまった。私がよく行く近所の喫茶店のマスターも、「マスクをしていても新型コロナを防ぐ効果はないようですよ。」などと言う。

 私は、「庶民がなるべく被害に遭わないように自分で出来る限りの涙ぐましい努力をしているのに、何を馬鹿なこと言っているのか。たとえそうだとしても、少なくとも唾や唾液を防ぐことはできるから、特に感染者は絶対にマスクをすべきだ。」と思った。ところが、水野医師が連日出演して同じことを繰り返すものだから、「これはマスクがないことを正当化する政府の回し者か、NHKがそれに加担するとは怪しからん」とまで思ったくらいだ。

 フランスでは、内務大臣が「マスクは必要ない」として配らなかったところ、警察官などの組合が業務用のマスクを配布しろという抗議のデモが行われたという。その頃、ニューヨーク市で外出を取り締まっている警官は、しっかりとマスクをしていた。その後、フランスでは、やはり警官や政府職員にマスクを配布することにしたそうだ。

 それから幸いなことに日本でも、NHKから水野医師が消えて、その代わりに「感染者がマスクをしてくしゃみをしたら、唾液の飛散を相当抑えられる」ことを実験で示し、要は「エチケットとして」マスクをするべきだと放送しはじめた。これ以降、街を歩いている人の概ね9割以上がマスクをするようになった。していないのは、若い人が多いので、近づかないことにしている。

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4.諸外国のマスク争奪戦

 マスクは、国際政治にも大きな波紋を投げかけている。要は、各国で壮絶な取り合い合戦になっているのである。4月4日、アメリカのトランプ大統領は、高性能マスクの輸出を停止した。それどころか、上海からフランスに送られる予定だった医療用マスクの一部が、米系業者が3倍の価格を提示したことから、発送直前に輸出先がアメリカに変わったという事件まで起こった。もはやこれは、仁義なき戦いそのものだ。

 その反面、先に新型コロナウイルスの押さえ込みに成功した中国は、マスク、人工呼吸器、防護服などをここぞとばかりに120ヶ国に援助している。被害を最小限に押さえた台湾も、それに呼応するかのように、月1,500万枚という製造能力を生かして自国産マスクの対外援助を惜しまない。かくしてマスクは、人工呼吸器とともに、お金以上に国際政治を動かす手段のようになってしまった。

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5.マスクの不満はパーっとなくなる?

 4月1日のことだった。安倍晋三総理が、新型コロナウイルス対策本部で、「全世帯に布マスクを2枚ずつ、再来週頃に郵便で配布する」と突然表明した。これも、新聞や雑誌の記事によれば、総理官邸の誰かが「国民がマスクがない、マスクがないと、ご不満のようなので、マスクを全世帯に配布すれば、そういう不満はパーっと消えますよ」と進言したという。本当だとしたら、あまりに短絡的な発想だ。しかも、2人家族でも4人家族でも、たとえ6人家族であったとしても、一律たった2枚というお粗末さだ。これでは、少なすぎる。この布マスクは30回ほど洗えるそうだが、専門家によると目が細かい不織布ではなくて、目の粗い布なのでウイルス防御という面では全く役に立たないそうだ。そんな代物ではあまりにも中途半端だ。それに、なぜ4月の第三週からなんだ。私などは、2月の初めから探していて、もう2ヶ月間も毎日落胆していたのというのに、これでは、遅すぎる。

 ただ、感染者がウイルスを撒き散らすのはある程度防げるそうなのだが、そのためにわざわざ5,300万世帯に単価200円のものを2枚ずつ、合計で466億円余りもかけて配布するのかという気がする。それだけのお金と時間があるなら、医療機関向けの高度なマスクのN95を増産したり、あるいは台湾がやっているように、不織布のマスクを配給制にして国民が確実に入手できるようにすべきだったと思う(しかしこれも、マイナンバーカードの普及率がまだ15%にも満たないから、そもそも無理だったかもしれないが、こんな状況になるまでシステムの充実を放置しておくのが悪い。)。

 この『遅すぎ、少なすぎ、中途半端』の施策の典型のような政府が配布するマスクは、世上「アベノマスク」と言われるそうだ。言い得て妙だが、4月17日より患者数の多い東京都の世田谷区からまず配布されるという。

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6.やっと一箱60枚入りを買えた

 4月7日、7都府県に対して5月6日までの緊急事態宣言が出された。その日、自宅にいると家内が買い物から息せき切って帰って来て、「いつものスーパーの店の前で、マスクを売っているわよ。一人1個、あなたのは買った。」と言う。「ありがとう。では、君のをもう一つ買ってくる。」と言って、あわてて出かけて行った。すると、確かにスーパーの前で1箱60枚入りの不織布マスクが売られていて、お客さんが列を作っている。私も並んで、家内用の小さ目のマスク1箱を買うことが出来、一息ついた。値段は、3,300円と、まあリーズナブルだ。それはもう、翌日には私の在庫のマスクがなくなるというギリギリのタイミングである。我ながら、いつも通り、綱渡り人生を歩んでいる。

スーパーのマスク


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7.スペイン風邪

 1918年から21年にかけて、世界的に流行したパンデミックな疫病として、「スペイン風邪」がある。今では、A型インフルエンザウイルスの一種(H1N1型)だとわかっているが、当時は流行性感冒とされ、原因ウイルスを検査する技術や防疫体制などがなかったために世界的に大流行した。

 「防災情報新聞」によれば、スペイン風邪の患者数は世界人口の約3分の1の約5億人で、致死率は2.5%以上、死亡者数は5千万人とも1億人とも言われる。日本の内務省統計では、日本の患者数は約2,300万人、死亡者数は約38万人とされている。その特徴は、今回の新型コロナウイルスとは正反対で、死亡者の99%が65歳以下の年齢層だったという。その時も、「患者の隔離、接触者の行動制限、個人衛生、消毒と集会の延期といったありきたりの方法に頼るしかありませんでした。多くの人は人が集まる場所では、自発的にあるいは法律によりマスクを着用し、一部の国では、公共の場所で咳やくしゃみをした人は罰金刑になったり投獄されたりしましたし、学校を含む公共施設はしばしば閉鎖され、集会は禁止されました。」とのこと。

 表紙の写真(下の写真も同じ)は、大正9年(1922年)2月7日に内務省衛生局が各府県に配布した流行性感冒についての啓発ポスター(国立保健医療科学院。図書館所蔵。「防災情報新聞」のHP)であるが、今日もそのまま使えそうだ。

内務省衛生局のポスター


内務省衛生局のポスター


内務省衛生局のポスター


内務省衛生局のポスター



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8.マスクを義務化したNY等と大和市

(1) ニューヨーク州では、クオモ知事がマスクの着用を義務化した。朝日新聞によれば、「クオモ知事は4月15日、他人と距離を保てない公共の場所ではマスクの着用を義務づける知事令を出すと発表した。電車やバス、食料品店や人通りの多い道路などを想定しているという。周知期間を経て、17日から実施する。・・・マスクは品薄状態が続いているため、スカーフやバンダナで代用することもできる。現時点では、知事令を破っても罰則はない。(4月16日朝日新聞デジタル)」

 これまで、アメリカでは「マスクを着けているのは病人だ」というのが常識で、私は若い頃にアメリカ全土の20都市以上を回ったことがあるけれど、医療従事者を除いて、マスクをした人など一度も見たことがなかった。マスクをしていると、病気を人に伝染す人と思われていたからだ。それが、ここまで変わるとは思わなかった。でも、ニューヨークもマスク不足は深刻なので、顔にバンダナを巻いた人が増えるだろう。そうすると、防犯カメラには顔が映らないので、犯罪の抑制には悪影響があると思われる。

(2) ところで、ドイツでは、4月27日からほとんどの州で、公共交通機関や買い物の際にはマスクを着用するように義務付けられ、イタリアやベルギーでも同様になったそうである(NHK)。フランスでも、マスク配布を計画中ということだ。シンガポールでは、国民にマスクを配り出した。あの平均気温28度の常夏の国で、外出時までマスクをするというのは、かなり苦しいことだ。それでもマスクの配布に踏み切ったということは、余程のことだと思われる。

(3) 日本では、神奈川県大和市が「大和市おもいやりマスク着用条例」を制定した。そのHPによると、

「新型コロナウイルスをはじめとする感染症を拡大させないため、『大和市おもいやりマスク着用条例』を制定しました。大和市の調べによると、このような条例の制定は、全国初の取り組みとなります。

条例の趣旨 かぜやインフルエンザなどの患者がせきやくしゃみをすると、1回につき数万〜数百万以上のウイルスを含む飛まつが飛散すると言われています。マスクは、こうした飛散を予防することで、感染者が感染症を拡大させないために効果を発揮するものです。
 現在、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスは、感染しても自覚症状が出ないという性質があります。こうした無症状の方が、無意識のうちに感染を拡大してしまうという問題があります。 日本では以前から、かぜをひいたときや冬の時期などに、マスクを着用することが多くの人の習慣として根付いています。これは、自身の予防のみならず、かぜなどをうつして人に迷惑をかけてはいけないという、日本人がこれまで培ってきた文化によって醸成された、他者を思いやる考えによるものです。 そこで大和市では、感染予防に寄与するとともに、こうした日本人の思いやりの心をいつまでも大切にするため、「大和市おもいやりマスク着用条例」を制定しました。

内 容 感染症等のまん延が予測される場合や、すでにまん延しているときなど、市民一人一人がマスクを着けることで、周囲の人のことを思いやる心を大切にしながら、感染予防に努めるものです。
※この条例は、感染拡大を防ぐために、市民の皆様にマスク着用の協力を求めるものであり、罰則などはございません。

対象となる感染症 感染経路が主に飛まつまたは接触によるもので、ウイルスが鼻、口等から侵入して感染する疾病。

マスク 鼻および口をおおう物で、紙、布、不織布等で作成されたもの。」

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9.「アベノマスク」が郵便受けに

(1) さて、4月17日から「アベノマスク」の全世帯向け配布がいよいよ開始され、翌18日から各家庭の郵便受けに届けられ始めた。まずは世田谷区で、東京都の中で最もPCR検査で陽性の人が多いところだ。どんなものかと期待していた都民も多い。ところが、24日になっても、文京区の私の家までなかなか届かないなと思っていたところ、配布が遅れるような話になりつつある。

 というのは、当初、4月14日から、まず妊婦さん向けに配布し始めたところ、黄ばんでいたり、黒ずんでいたり、虫や髪の毛が混入していたりする不良品が80市町村で1,901個もあった。そればかりかその後の一般家庭向け配布分と合わせると、47万個の配布に対して、その1割に相当する4万7千個もの不良品が見つかったそうだ。 やれやれ、『遅すぎ、少なすぎ、中途半端』に加えて『不潔』という評判になるとは思いもしなかった。

 アベノマスクの不良品の続出で、政府は、遅まきながらその全品検査を行うことにした。5月14日の参議院厚生労働委員会で、厚生労働省は、「マスクの検品費用は総額で8億円・・・国が委託した専門業者が約550人態勢で検品しており、不良品が確認されれば取り除く」と説明した。その8億円は受注企業が負担するのか、それとも発注者である政府なのか判然としないし、そもそもそんなことで5月中とされる配布期限に間に合うのか、分からないことだらけである。やることなすこと、どうしてこうも杜撰なのか、全くもって信じがたい思いである。

 マスクの受注企業と受注額は、興和(大手医薬品メーカー。54.8億円)、伊藤忠商事(大手商社。28.5億円)、マツオカコーポレーション(総合アパレルメーカー。7.6億円)である。これらはいずれも中国などの海外拠点で製造しているものだという。マスクは言うまでもなく口に長時間当てるものだから、それだけに衛生的で清潔さが一番求められる(注)。それなのに、変色や異物混入がそれだけの件数に及ぶとは、何とまあ杜撰で無責任なことか。その後、興和と伊藤忠は、未配布のものを回収することとしたそうだ(NHKニュース4月24日付け)。ああ、またケチがついてしまった。

(注) 衛生用品としてのマスク製造の常識
 「複数の衛生用品メーカー社員によると、マスクなど衛生用品を新たに作る場合、試作品を高温・多湿の状況に置き、カビが生えないかなどを半年ほどかけて確認してから納品するという。今回は受託から納品までの期間が短く、『数カ月で安定した品質の衛生用品を作るのは、よほどノウハウがないと難しい』(同社員)という。」(2020年4月25日付け朝日新聞)

(2) その後、マスクの受注企業に、福島県に本社がある「ユースビオ」も含まれていることがわかった。ベトナムから輸入した布マスクだそうで、契約額は5.2億円、不良品は確認されていないという(NHKニュース4月27日付けでは4.7億円だったが、28日の下記予算委員会では厚生労働大臣は5.2億円と表明) 。妙なのは、マスク受注企業のうち大企業の3社は直ちに公表されたのに、この企業だけはどういうわけがあるのか、しばらく公表されずにいたことだ。しかも受注額も若干ズレている。

(3)アベノマスクを巡って、4月28日の予算委員会では、大串博志委員(立憲)と安倍首相との間において、緊迫したやりとりがあった。もっとも、次のようにどちらも意地の張り合いそのもので、あまり本質論とは関係のないところでもあり、国政の場としてはいささかどうかと思ったが、委員会室は総じて緊張感に包まれた。とりわけ大串委員は、マスク受注企業で最後まで明らかにされていなかった上記ユースビオが、急遽その定款を変えてマスクの輸出入を加えたり、社長が執行猶予中であったりするのになぜ随意契約の対象となったのか、あるいは事務所の一角に一部の与党のポスターを貼ってあったのは関係があるのかなどと追求したかったようだが、残念ながら不発に終わった。

 大串議員(最初はアベノマスクをしていたが、もっと大きな布製マスクに取り替えながら)「これは、私の地元にたくさんある縫製メーカーの製品で、(アベノマスクは)息苦しいから外した。」

 安倍首相「意図的に貶めるような発言はやめていただきたい。私はずっとしているが、全然苦しくない。」

(4) そうこうしているうちに、26日になって、やっとアベノマスクが、私の家の郵便ポストに入っていた。家内と私がそろってつぶやいた。「あれーっ、かなり小さい」。マスクに大中小とあるとすれば、これは「小」サイズだ。大人の女性が付けても、相当小さく見える。私のような大人の男性で日本人の平均の幅広な顔だちだと、顔の両脇が短かすぎるし、縦にも短くて鼻にかかるかどうかというぐらいの代物だ。顔が細長い安倍首相には適度な大きさかもしれないが、幅広の私のような顔では、顔をマスクで覆うどころか、顔の真ん中にマスクがちょこんと載っている感じで、どうにも具合が悪い。こんなに小さいと、ウイルスを含んだ飛沫を防御できるのだろうか? これでは、気休め程度にもならない。ガッカリした。非衛生的な製品かもしれないので、さっそく洗濯機で洗った。すると、ますます縮んでしまった。しかも、縫製が悪くて、端っこの縫い目がほつれている。もう、滅茶苦茶だ。これでは、子供サイズのマスクだ。試しに、いつも使っている不織布の使い捨てマスクと比べたが、縦も横も明らかに短い。こんなもののために、466億円もの国費を無駄遣いするとは、馬鹿馬鹿しい限りだ。それだけのお金があるなら、一般家庭向けのマスクを配給制にして安んじて買えるようにし、かつ医療従事者用のN95マスクを量産して病院や診療所へ確実に届けるのが先決だろう。

アベノマスク荷姿


いつも使っている不織布の使い捨てマスクと比べ



(5) アベノマスクの現物にガッカリしていたところ、思いがけないニュースが飛び込んできた。福井県が大人用の不織布マスク約30万箱を確保したので、「最寄りのドラッグストア『ゲンキー』に購入券を持参すれば、50枚入り1箱(税込み2350円)を最大2箱購入できる。販売は4月24日開始予定で期間は5月10日まで。県によると、都道府県単位で県民にマスク購入をあっせんするのは全国初。県内の世帯数は約28万9千世帯(3月1日時点)。近く、郵便局を通して各世帯に購入券1枚を発送する。23日に届き始め、30日までには全世帯に配布される予定。」という(福井新聞社ニュース2020年4月19日付け)。素晴らしい。子供だましのちゃちな「アベノマスク」ではなく、こういうことを政府が全国ベースでやってくれたら、どれほど感謝され、また評価されたことか。

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10.マスクを巡り狂騒は続く

(1) 4月20日、家電メーカーのシャープが、自社生産のマスクを一般向けに販売すると、突然公表した。そのHPを見ると、次のように書かれていた。

 シャープは、4月21日より、株式会社「SHARP COCORO LIFE」のECサイトにて、個人のお客様向けにマスクの販売を開始いたします。

 当社は、日本政府からの要請を受け、三重工場のクリーンルームにおけるマスクの生産を2月28日に決定。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、日本におけるマスクの供給不足を少しでも早く緩和すべく短期間で準備を進め、3月31日より、まずは日本政府向けに出荷を開始いたしました。

 この度、個人のお客様への販売を開始する運びとなりましたので、お知らせいたします。

概 要
 1.商品名/形名: 不織布マスク/<MA-1050> ※ 1箱あたり50枚入り
 2.販売開始日:   2020年4月21日(火) 
 3.販売方法:   「SHARP COCORO LIFE」のECサイトにて販売いたします。
        購入方法や価格、商品仕様などの詳細は、こちらのURLをご確認ください。
        URL: https://cocorolife.jp.sharp/mask
 4.販売数量:    当初 3,000箱/日(15万枚/日)。今後の生産能力の増強に伴い、10,000箱/日(50万枚/日)の販売をめざしてまいります。
 5.備 考:   より多くのお客様にご提供するため、在庫状況に応じて、一定期間にご購入いただける数量を、お一人様1箱(50枚入り)限りとさせていただきます。

 ウィルス飛沫や微粒子も 99%カット:立体三重構造で、花粉よりもさらに小さい生体ウイルスや微粒子からもしっかりガード。風邪などの際にも他の方への飛沫拡散を防ぐのに効果的です。VFE試験やPFE試験でも99%以上の結果を確認しています。


シャープ自社生産のマスク


 これは素晴らしい試みだ。自社のクリーンルームを使うなんて、目の付け所が良い。アベノマスクが配布され始めたところ、先に述べたように変色していたり、異物が混入していたりする不良品が、配布済み47万個中その1割に相当する4万7千個も見つかったというが、クリーンルームで生産されるのなら、そういう杜撰なことはないだろう。それにしても、JDI(株式会社ジャパンディスプレイ)など公的支援を受けている半導体製造企業がこの国難に際してもなんにもしてないのに、台湾企業に買われた企業がそんなことまでやってくれるとは、実に感心だ。とりわけ、「ウイルス飛沫を99%カット」というのが、気に入った。それが本当なら、あの水野康孝医師の説明は、やはり間違っていたことになる。では、早速注文しようと、翌日21日にシャープのサイトを開こうとしたら、アクセスが集中しているらしくて、ちっとも繋がらない。とうとう、サーバーダウンしてしまったようで、翌日に次のような表示が出た。もう、心底がっかりした。その後、27日に抽選で3万箱を販売するように改めたそうだ。

サーバーダウンのお詫び


シャープの公式ツイッター5月3日付け


 5月3日、シャープのホームページを見ていたら、その公式ツイッターが、こんなことをつぶやいていた。「家電メーカーのシャープ、107年の歴史で最大のヒット商品がマスクになってしまいそうな感じ、複雑な気持ち。」もう、笑ってしまうほかない。本当に面白い会社だ。サーバーダウンは、許してあげよう。


(2) 4月22日、NHKニュースによると、アイリスオーヤマが、新型コロナウイルス対策で、マスクを大増産するという。

 「仙台市に本社がある大手生活用品メーカーのアイリスオーヤマは、宮城県の工場でことし6月からマスクの生産を始めることにしていて、生産量を当初の計画の2.5倍にあたる月1億5000万枚に増やすと発表しました。

 アイリスオーヤマは、国内のマスク不足に応えようと、宮城県角田市にある工場でことし6月からマスクの生産を始めることにしています。会社では当初、月6000万枚を生産する予定でしたが、ドラッグストアなどから寄せられる注文に対応しきれないことから、工場の設備を増強し、2.5倍の月1億5000万枚に増やすことを決めました。さらに世界的な需要の高まりを背景に不織布などの原材料の価格が高騰していることから、こうした原材料も自社の工場で内製化し、安定的な生産につなげることにしています。

 会社では6月に月6000万枚を生産し始め、設備が整う7月から月1億5000万枚に増やすことにしています。これによってアイリスオーヤマでは、中国の自社工場で生産する分もあわせて月2億3000万枚のマスクを国内に供給できるようになるということで、主にドラッグストアなどの小売店で販売されるということです。」

 アイリスオーヤマという企業は、元々、「機を見るに敏」というところがあって、ニッチな市場で変わった製品を機動的に出すのが得意な会社だが、こういう時には、まさに出番だろう。大いに活躍してくれることを願いたいが、この騒ぎが収まった時に大量の遊休設備を抱えさせるのは忍びない。政府の方で、製造した物は備蓄用に確実に買い取ることを約束することで、安んじて設備投資をしてもらいたいものだ。

 ところで、私は昨日(21日)、散歩の途中、近くのプチ・スーパーの前を通りかかり、あまり客がいなかったので入ってみた。ふと奥の棚を見たら、たった2袋だが、7枚入りの「サージカルマスク」があるではないか。店員さんに聞くと、30分前にたまたま入荷したのだという。これは有難い。ひと袋購入した。たった248円だから、一枚当たり35円だ。それでいて、「花粉やウイルス飛沫等99%カットフイルター採用」とある。ますます有難い。その袋を裏返すと、これがなんと、アイリスオーヤマ株式会社の製品だったのである。


アイリスオーヤマ株式会社の7枚入り「サージカルマスク」


(3) 偶然にマスクを発見

 4月24日にどうしても銀行に行かなければならない用事があり、上野御徒町まで歩いて行った。そしてその用事を手早く済ませて帰ろうとし、湯島に向けて歩く途中、とある雑貨屋の前を通った。すると、店の前の道にはみ出して置いてある机の上に、マスク、消毒ジェル、消毒スプレーを並べているのに気が付いた。マスクは、50枚入り1箱(税込み3980円)だから、1枚当たり80円だ。シャープのマスクが同じ50枚入りで税込み送料込み価格が3878円だから、まあ価格的に遜色はない。あとは、どこの製品かといえば、メイド・イン・チャイナだ・・・信頼できるかなぁ。ただし、表装は日本語で、販売会社はさいたま市にある。不織布で、99%カットという表示も同じだ。では、予備にしてもよいから、とりあえず買ってみるか・・・これで、6月末までは大丈夫だ。その頃には、マスクの流通と販売も、平時に戻っているだろうと期待したい。それにしても、マスクごときで、こんなに波瀾万丈のエピソードが続くとは思いもしなかった。


御徒町で発見したマスク



(4) 総理記者会見での不思議なやり取りの真相

 ところで、4月17日の総理記者会見で、不思議なやり取りがあった。

(記者) 朝日新聞の星野です。よろしくお願いいたします。

 総理、先ほど予算案の組替えについて、責任の方を取られると。取られるというか、責任の方をおわび申し上げるということでしたが、この間の会見でも一斉休校について、感染者の拡大を防げなかったというふうに述べられました。最近では布マスクや星野源さんの動画でも批判を浴びているのですが、この間の一連の新型コロナの対応について、御自身でどのように評価されていますでしょうか。よろしくお願いします。


(安倍総理) 全国の一斉休校は、私は判断として正しかったと思っています。あの後、多くの国々が一斉休校を行っていることからも明らかではないか、そう思います。

 そしてまた布マスクにつきましては、先ほど申し上げましたように、まずはサージカルマスク等を医療機関にしっかりと配付しながら、言わばサージカルマスクの受注について、この対応をしていく上においても、それ以外の、例えば介護施設等々については布マスクを配付させていただきました。今、御質問いただいた御社のネットでも、布マスク、3,300円で販売しておられたということを承知しておりますが、つまりそのようなこの需要も十分にある中において、我々もこの2枚の配付をさせていただいたと、こういうことでございます。


 何のことか、私にはさっぱり分からなかったが、どうやら次のような背景があったようだ。安倍首相は、朝日新聞の通販サイトが2枚で3300円の布マスクを売り出していたことを「ぼったくり」だと揶揄したかったようだ。しかしながら、このマスクはそれが定価だそうで、そもそも大阪府泉大津市の市長と商工会議所がマスク不足の解消を目指し、市内外の繊維メーカーに呼びかけ、手作りで製造・販売したものの一つで、老舗メーカー大津毛織のちゃんとした製品である。

 同商工会議所のHPによれば、「南出市長の“日本一の毛布のまちのマスクプロジェクト”に賛同した地元事業者が一つひとつ手作りでつくりました。“泉大津産マスク”は洗っても、また使えるマスクで、経済的、環境にも優しいマスクです。ぜひ、ご愛用ください。なお、泉大津商工会議所、テクスピア大阪事務局でも販売しています。1点1点手作りですので、数に限りがございます。予めお店にお問合せ頂き、売り切れの際はご容赦ください。」とのことで、まさに地方創生を地で行くきわめてまともな商品であり、揶揄の対象にはそもそもなり得ないではないか。

 4月22日には泉大津市長が官邸を訪問し、応対した木原稔首相補佐官に面会して品質の良さを説明し、実物を首相用に進呈したそうだ。ちなみに、このマスクは「アベノマスク」をもじって「アサヒノマスク」と言われているそうだ。笑ってしまう。

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11.結果的に、結構楽しめた話題

 かくして、今回の新型コロナウイルス対策のマスクについては、実に色々なことがあった。

(1)2月から4月にかけて「ない、ない、ない。どの店を探してもない。」と腹ただしく思ったかと思うと、
(2)エイプリルフールの日に「アベノマスク」が出てきたものの「遅すぎ、少なすぎ、中途半端、不潔」にがっかりし、
(3)シャープのマスクに一瞬希望を持ったけれども抽選する段階にすら行くことができずに落胆したかと思うと「107年の歴史で最大のヒット商品」というのに笑い、
(4)4月初旬と下旬に街中でやっとマスクを各1箱見つけて欣喜雀躍し、
(5)果ては「アサヒノマスク」なるものがあるということまで判明して首相と朝日新聞との間の鞘当てがあって笑いを誘うなど、


 後から振り返ってみれば、マスクについては、採り上げるべき面白い話題が次々と出てきて、外出自粛時の暇つぶしとしては、結構楽しむことができた。

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12.マスクが街にあふれて値崩れ

(1)マスクの価格がたった3週間で4分の1に下落

 5月14日(木)、延長された緊急事態宣言が一部の県で緩和されようとするまさにその日、私は散歩で不忍池の畔を通り、上野御徒町方面に進んでいた。そして先日、4月24日にマスクを買った雑貨屋の前まできた。すると、以前は50枚入り1箱(税込み3,980円。1枚当たり80円)だった同じマスクが、2,200円(1枚当たり44円)に値下がりしていた。半額ではないか。新大久保駅周辺では、1,000円台のものまで急速に値が下がっているようだ。感染が収まった中国から、大量の余剰マスクが怒涛のように押し寄せてきているようだ。全くもって、損をしたのには違いがない。しかし、それよりも私は(負け惜しみかもしれないが)、この20日間マスクが手元にあるという安心感を買ったという気でいる。

 安倍首相は5月6日のテレビ番組で「(アベノマスクの)配布開始によって、流通するマスクの『価格が下がった』という成果もある。」と語った。ところが、何のことはない、アベノマスクの配布は東京都中心に始まったばかりで、まだ日本世帯数全体の4%にも達していないようだ。その程度で、不織布マスクの価格が半減するなどとは、考えがたい。

 念のため、通販のアマゾンで、マスクを調べてみた。50枚入りの最安値が、ちょうど1,000円だ。1枚当たり20円になる。質さえ問わなければ、これは安い。テレビを見ていると、国際線のお客さんがゼロで旅客機を遊ばせておくわけにもいかないので、客席にマスクが入った段ボール箱を大量に積んで成田空港に向かう飛行機を見た。なるほど、これは良いアイデアだが、マスクが値崩れするわけだ。

(2)そのほかマスク四方山話

 @ 今は5月の中旬だから、これから夏に向かう。先日などは最高29度の真夏日だ。こういう日にマスクを着けて外出すると、暑くてかなわない。嫌だなと思っていたところに、先日、テレビで面白いものを見た。街頭の自動販売機で、「冷たいマスク」なるものを売っていたのである。それは、縦長の透明な筒に、マスク(左右に内ポケットが付いている。)と保冷剤が4つ入っている。その保冷剤をマスクの内ポケットに入れて着けると、冷えているので涼しいという代物である。お値段は1,300円だ。ちょっと高いが、アイデア商品と言ってよい。

 A そうかと思うと、マスクの上からペタッと貼り付ければ抗ウイルス効果があるという特殊なフィルターを人工骨メーカーの「オルソリバース」が開発した。同社のHPによれば、「弊社の整形外科用綿形状人工骨(商品名:レボシス)の開発で培った技術・ノウハウが注ぎ込まれています。綿形状人工骨に使われているハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)と、抗菌性人工骨の研究における銀イオン、そしてそれらを不織布に担持する技術をマスクフィルターに応用。マスクの外側から侵入してくるウイルスや細菌をハイドロキシアパタイトに吸着させ、吸着したウイルスや細菌を銀イオンの力で不活性化させるフィルター構造を目指しました。」とのこと。5月18日から発売されていて、医療従事者用だ。しかし、鼻の両脇や両頬の隙間から入ってきたウィルスには、効果が及ばないような気もするが、さてどうだろう。

 B ところで、マスクといえば、中国から驚くようなニュースが舞い込んできた。中国では4月中旬以降に各地で高校や中学校が再開された。ところが湖南省で医療用の高性能マスクN95をして体育の授業を受け、千メートル競走をしていた中学3年生が、突然倒れてそのまま亡くなったという。マスクが高性能過ぎて酸欠状態になったらしい。ただでさえ、医療従事者用のN95が足りない中で、何とも言い難い不幸な事件である。

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13.ミズノとユニクロのマスク

(1)6月も半ばを過ぎると、気温が32度を超す真夏日もある。そういう中では暑くてたまらないから、使い捨てマスクを付け続けるのは至難の業だ。サーモグラフィーを使ったテレビの比較実験によると、マスクを付けていると口の回りの温度が4度も上がるというから、さもありなんと思う。これから、梅雨明けすると猛暑日が続くと思うと、先が思いやられる。

 ところで私は、緊急事態宣言の解除で再開された室内テニスにまた通いはじめたところである。さすがにコート上では、コーチを除いてマスクの着用は義務付けられてはいない。それでも2割から3割くらいのプレーヤーはマスクを付けているので、暑くないのか息苦しくないのかと、感心するやら呆れるやら。

 ところで、コーチは常時マスクをしているのだけれど、それは使い捨てではない。「それはどこのメーカー?」と聞いたら、ミズノのマスクだという。水着の素材で作ってあるから着用感はまあまあで、少なくとも使い捨てマスクのような息苦しさはないという。1枚、770円である。それは良いなあと思って、そのスポーツクラブの売店で買おうとすると、もう品切れ状態だった。


ミズノのマスク


 何とか入手できないかと思っていると、ミズノオンラインショップにおいて、「マウスカバー」という名称で、@ シンプルに決める単色タイプ、A 個性豊かなプリントタイプ、B クールにさらっとアイスタッチの3種類を売り出していた。「クールにさらっと」というのは、夏向きだろう。これは良さそうだ。ただし、抽選に申し込まなければいけないらしい。また抽選か・・・上記10.(1)で述べたシャープのマスクも結局、当たらなかったから、私にはこの種のものは当たらない傾向があるので気が進まないが、それでも試しに申し込んでみた。7月2日に抽選で、もし当たればメールが来る。さほど期待しないが、ともかく結果を待つことにしよう。

 水野社長によれば、このマスクは、元々、「とりあえず、捨てないといけない(水着の)生地で社員向けにつくらせました・・・洗ってもすぐに乾くし、伸びるから耳の後ろは痛くないし、サラサラ感もある。」とのこと。ただ、私の見るところ、使い捨てマスクのように上端にワイヤが入っていないので、そこから鼻の両脇を通って容易にウイルスが侵入してきそうな感じがする。だから、「マスク」ではなくて衛生用品という雰囲気が出ない「マウスカバー」という訳のわからない名称にしたのではないかと勘繰るところだ。しかし、この暑さには勝てない。全く何もせずにテニスをするよりは良いだろう。そう思って気長に待つことにしている。

(2)それとほぼ同時に、ユニクロのマスクというのも話題になった。こちらは白一色だけで、「マスクの着用が日常になるなかで、お客様のご意見を参考に、"マスクとしての防御性能"、"洗濯可能"、"つけ心地"という3つの機能を兼ね備えたエアリズムマスクを開発しました。高性能フィルターで飛沫をブロック。なめらかな肌ざわり。洗えるエアリズムマスク新登場。」とうたう。3枚組で990円だそうだ。


ユニクロのマスク


 こちらは、「つけ心地」というのが魅力的だ。6月19日から実店舗で売り出すとともにインターネットでも販売というから、歩いて近くの上野御徒町のユニクロ店舗に行ってみようかと思ったが、いやいや、かなり混むのではないか、三密どころではないとの懸念から、行くのはやめた。すると案の定、午前10時の開店前に300人のお客が列を作り、数時間で売り切れたという。大変な人気だと思う反面、やはり行かなくてよかったという気がした。まあ、こちらの方はミズノのマスクが当選しなかったときに買いに行けばよいと思って、しばらく待つことにした。

ミズノのマスクに当選

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14.アメリカでのマスク着用義務化論争

(1)アメリカでは、数ヶ月にわたる厳しいロックダウンの後、外出制限の緩和が5月から徐々に進められてきた。特に新型コロナウイルスが猖獗を極めたニューヨークでは、6月17日にクオモ知事が「感染者と死者がいずれも減少を続け、感染率が国内最低の水準まで改善した。」と発表した。ところがその一方、6月に入って複数の州では引き続き感染が拡大しつつあり、アメリカ全体でも、ここしばらくは減少傾向にあった感染者数が、再び上昇に転じている。


アメリカの新型コロナウイルス感染状況(グーグル)


 とりわけオクラホマ州とテキサス州は新規感染者が過去最多となり、フロリダ州とアリゾナ州では過去2番目となった。そして、早めにロックダウンを行って感染の拡大を防いだと評価の高かったカリフォルニア州でも感染者は増加傾向にあり、特にロサンゼルス郡は1日の新規感染者が過去最多となった。こうした中、公衆衛生の専門家の間では、経済の再開を急ぎすぎて感染防止対策が疎かになっているとの批判が根強い。

(2)6月の半ばになって、共和党と民主党との間でマスク着用を義務付けするかどうかに関し、大きな対立が目立つようになった。民主党系の知事はマスク着用が新型コロナウイルスの感染防止に有効として、これを義務化する傾向がある。例えばカリフォルニア州のニューサム知事(民主党)は、州全域で外出の際にマスクを着用するよう義務付ける命令を出した。ところが共和党系の知事はこれに反発し、「マスク着用の強制は、個人の自由の権利の侵害である。」と考える。例えばテキサス州のアボット知事(共和党)は、州全域での着用義務化には踏み切っていない。その泉源は、遠く探るとアメリカ独立宣言以来の権力不信、独立独歩、個人主義、それらの帰結としての小さな政府志向がある。だから、州の相互でも、州の中でもバラバラだ。

 連邦でも、トランプ大統領(共和党)は、少なくとも公の場でのマスク着用を拒んでいた。対照的に、大統領選挙で民主党の指名を確実にしているバイデン前副大統領は、まるで嫌味のように黒いマスク姿で公の場に登場している。かくしてたかがマスクだが、されどマスクで、アメリカ国内を二分する政治的な対立を生み出している。ますます、新型コロナウイルスの思うつぼだ・・・もっとも、ウイルスに意識があればだが・・・。

 その点、日本では「アベノマスク 洗ってしまうと コドモノマスク」などと笑い飛ばしながら、使い捨てマスクを皆例外なく着用しているから、世話はない。日本航空も全日空もマスクをしない乗客の搭乗を断っているし、皆それに従っている。ところがアメリカン航空では、マスクの着用をしない客の搭乗を断ったところ大騒ぎとなった。ちなみにこの客は、トランプ大統領の熱心な支持者だというから、非常に根が深い問題である。

(3)トランプ大統領のマスク不着用という方針は、身内の共和党内部からも批判が高まり、ついに7月1日のFOXビジネスのインタビューで、「新型コロナウイルスへの感染防止のためのマスク着用には大賛成だ」と述べるに至った。もっとも、「自分が着けるのは他人との距離が近いときだけで、全国的にマスク着用を義務化する必要はない。」とのことだった。(2020年7月2日付け朝日新聞夕刊)

 7月12日のNHK報道によれば、「アメリカのトランプ大統領は11日、負傷した兵士らを見舞うため首都ワシントン郊外にある軍の病院を訪れた際、紺色の生地に金色の大統領の紋章がついたマスクを着用しました。マスクの着用をめぐってトランプ大統領はことし4月、アメリカCDC=疾病対策センターがマスクの着用を勧める指針を示した際についてはかねてから『私はするつもりはない』と述べるなど、消極的な姿勢を示してきましたが、トランプ大統領が、マスクを着用して公の場に姿を現したのはこれが初めてです。今回の訪問に先立ち、トランプ大統領は記者団に『特に病院のような特殊な環境では、手術を終えたばかりの人たちとも会うことから、マスクをするのはすばらしいことだと思う』と述べ、場所によってはマスクの着用が必要だという認識を示しました。」とのこと。トランプ大統領のこういう対応は、かなり変幻自在というか朝令暮改で、同じポピュリストで同様にマスクを嫌うブラジルのボルソナロ大統領とは一味違う。

 ところでそのボルソナロ大統領は、朝日新聞によれば7月7日、「テレビ局の記者団の取材に対し、新型コロナに感染したことを明らかにしたうえで、後ずさりしながらマスクを外し『顔を見てくれ、私は元気だ』などと発言した」が、ブラジル報道協会はこれをとらえて、「公共の場でマスクを着けるという連邦直轄区の法令に違反しており、記者を命の危険にさらした『犯罪行為』だとして、裁判所に提訴した」という。いやもう、マスコミとは、最早どうしようもなく「こじれた関係」だ。

(13と14(1)と(2)は6月23日、14(3)は7月13日記)

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15.アベノマスクの世論調査結果

 4月1日、安倍首相は突然、布マスクの全世帯への配布を公表したのであるが、その直後の18日から19日にかけて行われた朝日新聞の世論調査では、このアベノマスクについては、「評価する」が32%、「評価しない」が63%であった。ところが、上記12(1)の通り、5月の連休明けから国内でのマスク受給が弛んでくると、次第に無用の長物と化してくる。

 政府が布マスクを全世帯に「配布完了」したのは6月中旬と言われる。その直後の6月20日から21日にかけて行われた同じく朝日新聞の世論調査では、布製マスクが「役に立った」が15%、「役に立たなかった」81%という結果であった。

 確かに、国会の審議にしても、むろん街行く人々も、私はこれまで安倍首相以外にアベノマスクをしている人は、一人として見かけたことはない。466億円もの国費をかけた壮大な無駄だったと思う。




(15は、7月11日記)

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新型コロナウイルス緊急事態宣言




(令和2年4月21日著、22日、24日、28日、5月14日、18日、6月23日、7月11日追加)
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悠々人生エッセイ





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