悠々人生エッセイ



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        目   次
   プロローグ
   一級建築士の面接と選定
   大規模修繕委員会の設置


1.プロローグ

(1)私の住んでいるマンションは、既に築25年を迎える。10年目の2005年には、私がたまたま管理組合の理事長だったので、初回の大規模修繕を行った。それは、自ら一級建築士を雇い、修繕計画を作らせ、入札にかけてその中から施工会社を選ぶというやり方だった。ちなみにこれは、「設計監理方式」と言うらしい。

 それから15年が経ち、気がついてみると、この間、一向に大規模修繕の気配がない。私は、ここしばらくは公職に就いていたものだから、権利義務に関わる仕事は避けていたので、管理組合からは遠ざかっていた。そうしているうちに、今年(2020年)3月になってやっと大規模修繕の前提となる「建物診断結果報告会」が開かれるという。ところが、あらかじめ配られた管理会社の資料を見て驚いた。例えば次のように、管理会社に一括丸投げするやり方(彼らは「責任施工方式」という)が、私がやった「設計監理方式」よりも、はるかに安くなっている。

当マンションの管理会社がいう「責任施工方式」と「設計監理方式」の比較


 そんな馬鹿なことはない。この図だと、工事費が両方式で同じように書いてあるが、これは間違いだ。入札にかけない責任施工方式だと、工事費はいくらでも増えることになる。極端に言えば、管理会社はその管理組合が修繕積立金をいくら持っているかを熟知しているので、その額全部を巻き上げようとするはずだ。こんなことで全員素人の管理組合を誤魔化して大規模修繕をさせようとするこの管理会社は使うべきではない。幸か不幸か、この3月の説明会は新型コロナウイルスで流れたので、しばらく放っておいた。9月になって、総会が開かれたから、私が次のメモを配って、前回の大規模修繕の様子を説明した。


(2)前回の大規模修繕の様子

 @ 時期は、着工が平成17年10月12日、竣工は18年2月15日。

 A 形式は、管理会社に丸投げするのではなく、自ら一級建築士を選び、設計監理させる方式を採用。具体的には、国土交通省住宅局住宅総合整備課マンション管理対策室(当時)に聞いた建物診断設計事業協同組合の組合員の中から選んだM一級建築士に依頼。報酬は、380万円。それとは別に、同組合に調査診断を依頼し、それは100万円。

 B 企画をM一級建築士と一緒に練り上げた。今回の大規模修繕を、修繕工事と改良工事に分けた。修繕工事は建物の経年劣化を是正するもので、予算3,200万円。改良工事として、中庭の廃止、裏口の自動扉化、駐輪場に扉の設置等で、予算1,200万円。それに、予備費とAの報酬を加えて、5,000万円の予算を総会で決定。

 C 入札を行った。M一級建築士が建築新聞2種に見積もり参加会社の募集広告を出し、応募してきた11社のうち、それぞれの経営状況、技術、実績を考慮して見積もり依頼会社としてまず6社を選んだ。3社が比較的大手、2社が中堅、1社が小規模である。ところが、そのうち1社の最近の売上げが落ち込んでいたので外し、最終的に5社を選定した。それぞれの見積額は、A社3,339万円、B社3,780万円、C社3,937万円、D社4,189万円、E社5,092万円

 このうち、A社、B社、C社と面接し、A社の部長や現場監督の候補の人物に好感が持てた反面、B社とC社が値下げに応じなかったことから、A社を本命として、更に外階段の床にビニール設置等の追加注文を入れさせて、最終的には3,375万円とした。予算が4,400万円だったので、約1,000万円もの節約となった。ただし、工事終盤になって、裏手のアスファルト舗装をタイル舗装にする追加注文を出したので、実際には約750万円の節約となった。

 D 管理が非常に難しかった。最初は良いのだが、慣れてくると、施行会社も一級建築士も、色々と勝手なことを始めるので、常に目を光らせている必要があった。また、中にはもっともな提案もあるので、柔軟にそれを取り入れるとともに、ダメ出しも明確にして、メリハリのある管理を心がけた。


(3)理事会メンバーに説明


 理事会のメンバーは、ちょうど管理会社に頼んだ水漏れ防止工事の出鱈目さ加減に辟易していたときだった。それは、たまたま上層階で洗面所の天井から水漏れがあり、それを解消するためにその上の階のベランダに防水工事をしたばかりで、100万円ものお金をかけたというのに、相変わらず水漏れがあり、更に追加の工事をするための工事費を求められていたからである。そういう時、私の話を聞き、「なるほどこういうことか」と私の話に納得してくれたというわけである。その場では、管理会社もいたので、あまり詳しい話はせず、翌日、次のメモを配って、理事長をはじめとして何人かの理事にも説明した。

 理事の皆さんへ

 昨日の総会の様子を見て思ったことですが、管理会社もいたので申し上げなかったことを、ここで申し上げると、次の通りです。

  (1) こうした建物というのは、10年ごとにしっかりと大規模修繕をしないと、あちらこちらで小さな問題が起こり、そのうち取り返しががつかなくなる。その点、この建物は前回の大規模修繕からもう14年も経っており、既に限界を超えている。現に、あちこちで水漏れが発生している。

 こうした問題が起きるたびに、それだけを修理しようとしても、何しろ全体が古くなっているために、修理できない。かえってその度に小さなお金がかかり、全く無駄である。管理会社が喜ぶだけの結果になり、しかも問題は全然解決していない。これは、管理会社任せにできないことを意味する。

 特に、緊急事態宣言が数ヶ月前に終わっているというのに、未だ説明会の会場すら用意できないというのは、信じ難い。

(2) 今回の大規模修繕も、管理会社任せにするというのではなくて、管理組合自らが行ってはどうかと提案する。方法は、次の通り。

 @ 管理会社が行ったというその修繕計画なるものを取り戻す。
 A 東京都の建築士の組合に電話して、候補者を派遣してもらう。
 B 理事長等理事会メンバーが面接し、その修繕計画を渡して、提案や説明を聞く。その上で、依頼することかどうかを決める。不適当と判断したら、また別の人を面接し、決定する。
 C 次の理事会で報告し、大規模修繕委員会を立ち上げる(ここまで、年内)。
 D その建築士が作り上げた計画に従って、入札にかける。
 E 面接と折衝を繰り返して落札者を決定する(来年春)。



当マンションから東京の下町を望む


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2.一級建築士の面接と選定

(1)前回と同じように、建物診断設計事業協同組合に適切な一級建築士の推薦を依頼したところ、また前回と同じM一級建築士の推薦があった。そこで、理事長・副理事長・各理事等宛に、次のメモを配布した。

 @ まず、前回(2005年)に行ったように、建物診断設計事業協同組合に連絡して、「どなたか適切な一級建築士の推薦」を依頼した。すると、次のメールのとおり、前回と同じM一級建築士を推薦するとのこと。

 A そこで、M一級建築士と連絡をとったところ、是非やらせてほしいとのことだったので、来週の月曜日午前10時に当マンション1階のソファで会って面接することになった。ご都合のつく理事の方は、ご出席の上、面接に参加していただければ幸いです。

 B 私が面接してM一級建築士でよいと判断したら、早急に理事会を開催して、(1) 大規模修繕委員会の設置、(2) 理事会によるM一級建築士の面接と決定、(3) M一級建築士による大規模修繕内容の提案と当方からの改修工事の要望を検討していただきたい。
 




【建物診断設計事業協同組合からのメール】

 建物診断設計事業協同組合でございます。弊組合のHPをご覧くださり誠にありがとうございます。

 さて、貴管理組合様の第二回目の大規模修繕工事をご検討されていらっしゃるということでお声掛けくださり重ねてお礼申し上げます。

 弊組合より10数年前に貴管理組合の第一回大規模修繕工事を担当させていただきましたM一級建築士を再度紹介させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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 建物診断設計事業協同組合
 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3−6
          山城第三ビル74号室
   TEL:03-6273-7051 FAX:03-6273-7052
 yamaguchi@adoc.or.jp http://www.adoc.or.jp
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(2)M一級建築士の面接

【続く】


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3.大規模修繕委員会の設置

(1)大規模修繕委員会の設置要綱案

 大規模修繕委員会の設置要綱案を作成しました。10月6日午前10時に当マンション1階ソファにて行うM一級建築士の面接の結果が良ければ、同人への委任とともに、早急に臨時理事会を開いて、この2件を審議して決定していただく予定です。

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    大規模修繕委員会設置要綱(案)

(趣旨)
第1条
 当マンションについて、令和2年度から翌3年度にかけて実施する大規模修繕事業を統括し、実施するため、理事会の下に大規模修繕委員会(以下単に「委員会」という。)を設置する。
(役割)
第2条
 委員会は、次の各号に掲げる業務を行う。
(1)大規模修繕事業を行うため、その設計、計画の作成、入札の補助、実施の監督その他の業務を行う一級建築士に対する理事会による委任の補佐及びその監督を行うこと。
(2)大規模修繕事業に必要な予算につき、案を作成し、その案を審議する臨時総会の開催に当たっては、理事長及び理事会を補佐すること。
(3)大規模修繕事業の入札に関して理事会が行う施工業者の選定の補佐を行うこと。
(4)落札した大規模修繕事業の施工業者に対し、これを監督し、並びにこれに理事会及び居住者の要望等を適宜伝達すること。
(5)大規模修繕事業の進捗状況に関する理事会及び当マンション居住者(以下単に「居住者」という。)に対する適時適切な情報提供を行うこと。
(6)大規模修繕事業に必要な当マンション積立金会計からの全ての支出につき、遅滞なく理事会に報告し、その支出を求めること。この場合において、別添の支出依頼書の様式を用いること。
(7)その他、大規模修繕事業に必要な事項に関すること。
(組織)
第3条
 委員会は、理事長及び副理事長のほか、理事会の理事その他専有部を有する居住者の中から理事長が指名する5名の委員により構成する。
2 委員会の定足数は、3名とする。ただし、委員長及び理事長は、必ず出席するものとする。
3 委員会の委員長は、前項の構成員の互選により決定する。
4 委員長は、委員会の議事を進行するとともに、大規模修繕事業に関して委員会を代表し、前条(1)の一級建築士、同条(3)の施工業者その他の者と交渉する。
(会議)
第4条
 委員会の会議は、委員長が招集する。招集の日時及び場所は、玄関の自動扉脇の掲示板に掲示する。
2 会議は、理事及び居住者であれば、いつでも傍聴することができる。ただし、次条に規定する秘密が議題となる場合で委員長が特に指定する会議のときは、この限りでない。
(守秘義務)
第5条
 委員は、この会議を通じて知り得た秘密を漏らしてはならない。大規模修繕事業終了後3年間経過した後も、同様とする。
(無償奉仕)
第6条
 委員長及び委員に対しては、謝礼を支払わず、無償の奉仕とする。
その他)
第7条
 この要綱の施行に関し必要な事項は、委員長が定める。
   附 則
1 この要綱は、令和2年10月○○日から施行する。
2 この要綱は、大規模修繕事業が終了次第、その効力を失う。

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(別添)

大規模修繕事業に必要な経費の支出依頼書

 令和 年 月 日

   理事会あて

               大規模修繕委員会より

 大規模修繕事業に必要な経費であることから、別添の請求書の請求元に対して、

金        円 を遅滞なく支出願いたい。

 委員長の署名           

 理事長の署名           

 副理事長署名           

                         以上


(2)大規模修繕委員会の発足

【続く】


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(令和2年10月2日著)
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