悠々人生エッセイ




 別府に到着したその日は、午後から温泉地獄巡りなので、その前に荷物を預けておこうとして、まず、その晩に泊まる宿に向かった。

 「あまねく別府ゆらり」という駅近のホテルである。せっかく別府に来ているのだから、ゆっくり温泉に入ろうとしたので、料金からしてもビジネスホテルではないつもりだった。

 ところが、当てが外れた。その時は、名前を確認して預かり札をもらって、地獄巡りに出かけた。問題はそれを終えて帰ってきて午後5時半頃に正式にチェックインしようとした時に起こった。

 レセプションの女性は、「これは朝食付きの予約ですが、団体客で混んでいて、午前9時からの回しか空いていません」とそっけなく言う。

 私は、「いやそれは困る。明日は朝9時から国東半島巡りのバスを予約しているので、それでは間に合わない。もっと早くしてください」と言う。すると女性は、「でも、混んでますからね」と答える。

 私は「だいたい、そんな話は聞いていない。先ほど荷物を預けたときに、予約を確認したではないか。その時にそういう話をお客にするべきだ」と、思わず声を荒げて抗議した。すると女性は、まだ渋っていたので、

私は「一番最初の午前7時にしてほしい」と畳みかけた。「そうすると、どうなりますかね?」と畳みかけた。女性は、

「お席は、用意できますが、食事までに時間がかかりますよ。良いですか?」と捨て台詞を言うので、私は、「席があるなら、それで結構」と答えて、その場は引き取った。

 私の考えでは、午前7時より早く行けば、あまり人はいないはずだから、食べられるだろうというものだった。そして、翌朝、その通りにした。20分ほど早く行って、朝食会場レストラン脇のソファに座って、大分日々新聞を読んでいたのである。すると、一番先に案内されて、普段通りに朝食を摂ることができた。

 ちなみに、午前7時40分頃に会場を出てきたが、その時点でも、個人客がちらほらいただけで、団体客など、どこにもいなかった。一体、何なんだ、これは。前日のレセプションの女性は、何を言っていたのだろう。ここに連れてきて、この光景を見せてやりたい。余計なことで心配させられたり、こうして早起きをさせられたりして、大いに損した気分である。これは、三流どころか最低ランクのホテルだ。

 昨日泊まったグランドハイアット博多では、全くありえない対応である。それでいて、ほとんど同じ料金を取るのだから、こんなことを続けていたのでは、このホテルは早晩淘汰されると思う。

 私は、これまで内外のホテルに何百回も滞在してきたが、こんな無礼で失礼な扱いを受けたのは、初めてだ。それが日本だったことが悲しい。これでは別府の観光の礎を築いた油屋熊八翁が泣くではないか。もっとも、今回の旅行は、これだけが唯一の不快な出来事だったが、それ以外は、実に実に楽しかった。





(令和4年11月5日著)
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