悠々人生のエッセイ








 あぁーあー、ワールド・カップで日本がトルコに負けてしまった。雨の中で、選手には気の毒なコンディションだった。しかしそれにしても、日本のパスはつながらないし、易々とトルコの選手にボールをとられ、コーナーキックになってしまって一点を失うし、せっかくの相手ゴール前でボールを持っているのに、うろうろしてシュート・チャンスを逃してしまうしで、良いところが全くなかった。途中から、全く勝つという気がしてこなかったが、これが世界のサッカーとの違いなのかと、妙に納得してしまった。

 まだ、ベスト8の段階だけど、見たところ、ブラジルなどは「すごい」の一言に尽きる。ロナウドにリバウドなど、どうだろう、日本の選手と比べれば、まるで重戦車と騎馬のような違いがある。彼らがシュートを打つと大砲みたいで、ゴールの上を飛んでもそれからどんどん加速していく。しかし日本の選手のシュートは、中田を除いてあとはゴールにたどり着くまでに、へなへなっと失速してしまう。これじゃ、話しにならない。日本の選手はいろいろ頑張ったものの、それにしても世界のレベルにかろうじて達しているのは、中田、小野、そして稲本しかいない。みんな、外国のチームでプレーしている選手ばかりだ。

 ドイツのクローゼも、背丈は182センチで日本の選手並みだが、まるでヘディングの神様みたいだ。フリーキックやコーナーキックのときに、ちゃんと着地点まで走っていって、頭で強いボールを打ち込む。すごいなあ、と思う。パラグアイのキーパー、チラベルトも一度見たら忘れがたい人物だ。キーパーなのに、わざわざフリーキックに出ていって、左足で強烈なシュートを放つ。それだけでなく、その容貌はあたかも修行僧のごとく、その語る言葉たるやまるで国家的指導者のごとくである。

 それから、いま、韓国がイタリアを破って、ベスト8に勝ち名乗りを上げた。そのイタリア戦でPKをはずしながら最後にゴールデンゴールを決めた安貞垣は、イタリアのセリエAの補欠選手というではないか。心からおめでとうと言いたい。しかし、韓国の選手のよく粘ること粘ること。決して諦めないのが偉いところだ。選手も、ひたむきな上に、みな野性的で戦闘的だ。最近の日本人がとっくの昔になくしてしまった面を見たような気がした。もっとも、財閥筋から、監督と選手ひとりあたり3,000万円以上の報奨金が出るらしい。これに対して、日本の選手はひとり750万円という。実際、それくらいの差はあるだろうな。

 というわけで、ああ、明日のおかずも、またワールドカップ漬けだ。しかし、ともあれ、本物のサッカーは実におもしろい。しかしこれに比べれば、ちんたらやっている日本のJリーグやプロ野球なんて、まるでままごと、いや泡のようなものではありませんか。そうそう、ワールドカップは、いわばサッカーの甲子園と思えばいいのだ。








(平成14年 6月18日著)
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