ワシントンには何回も行き、いろいろなことがあった。あるときは結構、深刻な内容の交渉に行った。その最初の交渉日は午前9時から話し合いを始めて午後6時に終わり、次の日は午前8時半から午後7時まで、さらにその翌日は午前8時から午後8時までという調子である。しかもその間のランチは、その会議場でのワーキング・ランチ、つまり交渉のテーブルの端に置かれたパサパサのサンドイッチを食べ、泥水のようなコーヒーをすするというもので、参ってしまった。しかし、これが先方のねらい目だったのかもしれない。

 幸いニューヨークでは、それほど深刻な交渉ごとをした記憶がない。しかし、国際経験という意味ではおもしろい場所である。あるとき、ウォール街の証券会社を訪ね、国際経済事情の情報交換をしていた。するとその横で、われわれの会話を黙って聞いていた人が、細かく唇を動かしている。何をしているのかと内心いぶかっていたところ、今度はその人の番となり、冒頭「Mr. Yama..」と私の名前をしゃべった。要するに、私の名前を言う練習をしていたのだとわかった。






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