さあ、秋だ、秋だ。秋といえば、祭りのシーズンである。もちろん、夏祭りも捨てがたい。あのうだるような暑さを吹き飛ばす爽快感が、何ともいえないからである。しかし、祭りは何といっても秋ではないだろうか。もとより日本は農村国家であったので、収穫をお祝いする村祭の伝統がどこにもある。しかし、それにしても今回はじめて行って見た川越祭りは見事であった。

 小江戸と称する川越は、江戸時代はこの辺りの産物を江戸に運ぶ水運の拠点として栄えたようである。1651年に城主の松平伊豆守の勧めにより始まり、年々隆盛になって、傘鉾形式の江戸山車を先頭に踊り屋台や底抜け屋台が練り歩いた。明治になると、山車が主体となった。明治26年の川越大火にもかかわらず、祭りは江戸以上に隆盛になり、山車の囃子台が360度も回転する独自の機構も始まった。山車の最上段には牛若丸、浦島、道灌、龍神などの人形を置き、これがその山車のテーマとなる。その下に四方に幕を張った上段があり、さらにその下に唐破風または欄間のある囃子台を有し、そこに五人囃子と舞い手が登る。流儀は、王蔵流、芝金流、堤崎流に分かれているという。

 見ていると、まるで日本舞踊と狂言を合わせたような感じで、しかもリズムに乗って当意即妙にやっている。このような伝統芸能が今もなお生き続けていること自体が、すばらしいではないか。

                 (平成17年10月15日記)

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