東京の風景
私は、東京のこの下町近辺に引っ越してくるまで、紫陽花というのは、これほど美しいものとは思っていなかった。子供のころに自宅近くに咲いていた紫陽花は、薄ぼんやりとして日陰を好む、いかにも冴えない花だったからである。ところが、この下町の紫陽花の多彩でくっきりとした花の色を見ていただきたい。まるで引き込まれるような、青やピンクである。 → 紫陽花の写真 (2001. 6. 9)14 |
東京の写真散歩を始めるに当たって |
東京は、1200万人の人口を抱える世界でも有数の大都市であるだけでなく、日本の政治経済の中核たる存在であることはいうまでもない。しかしその実像はさまざまである。たとえば一方では世界でも珍しいほどのコスモポリタンの姿を見せているかと思うと、その他方では江戸開府以来の古い伝統をいくらでも垣間見ることができる。加えて、東京という都市の大きな特徴は、無秩序ともいえる変化の激しさとそのダイナミックさである。昨日まであった建物が、もう翌日には忽然と消えてなくなっているという例には事欠かないし、休日ともなれば、あちらこちらで思いも寄らない催しが行われている。ともかく、エネルギーに満ちあふれている都市なのである。 私は、青年時代にたまたま上京して以来、わずか数年ほど外国暮らしをしたほかは、好んでこの大都会に住み続けている。良きにつけ悪しきにつけこのメガポリスは、私が家族と一緒に住み、ともに成長し、しばしば明け方まで働き詰めに働いた、甘く、ほろ苦く、又なつかしの故郷となったのである。私がその故郷の四季折々の姿をカメラに収めて、記録しておきたいと思ったのは、ごく自然の成り行きである。 (注) 第一部で書いたものを再掲した。 (お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。) |
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