私は、法律を扱うという仕事柄、外来語をできるだけ使わないように努めてきているが、それでも洪水のように押し寄せる新手の外来語には、ほとほと手を焼いているというのが実情である。そういう中で、外来語について、このたび国立国語研究所資料よりその読み替え提案が出たので、そのうちいくつかを抜粋してみた。 外来語も、なるほど、漢字を使ってそういう言い換えをするのかと、納得するものも多い。確か、フランスでも、英語の語彙がどんどんとフランス語に侵入してくると、フランス政府がおかんむりだと聞くが、こういうトレンド・・おっと・・傾向は、世界的な現象かもしれない。 |
外 来 語 | 用 例 | 意味合い | 言い換え語 | |
01 | アウトソーシング |
業務のアウトソーシングを引き受けることとなった。 |
業務の一部を外部に委託すること | 外部委託 |
02 | アカウンタビリティ | 法外の役員報酬やアカウンタビリティの欠如が批判される。 | 事業や業務資料を開示して説明できるようにしていること | 説明責任 |
03 |
アクション・プログラム |
基本計画に基づいて、各地域でアクション・プログラムを作成することが求められている。 | 実行に移すための具体的な計画 | 実行計画 |
04 | アクセシビリティ | 情報機器に対するアクセシビリティの確保が課題となる。 | どんな人にも利用しやすいこと | 利用しやすさ |
05 | アクセス | @ 空港へのアクセスを確保することは重要である。 A 外国企業の日本市場へのアクセスには問題が多い。 B 携帯電話を通じてインターネットにアクセスができる。 |
@ 交通の便 A 市場に入り込むこと B 情報への接近と利用 |
@ 交通手段 A 参 入 B 接 続 |
06 | アジェンダ | 国際会議でのアジェンダをどう設定するかが課題である。 | 公式に取り組む検討課題 | 検討課題 |
07 | アセスメント | 空港整備に際して、環境のアセスメントを実施する。 | 周囲の環境への影響の評価 | 影響評価 |
08 | アメニティー | これからの時代は、アメニティーと余暇対策が重要となる。 | 居住空間の快適さ | 快適さ/快適環境 |
09 | イニシアティブ | 市町村のイニシアティブの下で、計画を作る。 | 率先して先頭に立つこと | 主導/発議 |
10 | イノベーション | 情報技術のイノベーションは、流通産業に影響を与えた。 | 技術や仕組みの革新 | 技術革新 |
11 |
インキュベーション |
中小企業のインキュベーションを担当する室が発足した。 | 新規に事業を起こすことを支援 | 起業支援 |
12 | インサイダー | 政治はインサイダーがとりしきるものという印象が生じた。 | 内部事情に通じている人 | 内部関係者 |
13 | インセンティブ | 環境への負荷が少ない製品開発をするインセンティブがない。 | 物事に取り組む意欲への誘因 | 意欲刺激策 |
14 | インターンシップ | 採用活動でのインターンシップの重要性は増している。 | 企業等で仕事をしながら体験すること | 就業体験 |
15 | インタラクティブ | 電子メールは読者とのインタラクティブな連絡手段である。 | 双方向に作用しあうこと | 双方向的 |
16 |
インフォームド・コンセント |
この病院は、患者に対するインフォームド・コンセントを重視し、患者中心の診療をしていると聞いた。 | 十分な説明を受けた上での同意 |
納得診療/ 説明と同意 |
17 | インフラ | 下水道や道路などのインフラの整備が進んでいる。 | 社会や産業の基盤としての施設 | 社会基盤 |
18 | エンフォースメント | 各国の代表者から、それぞれの法改正とエンフォースメントの状況の説明があった。 | 法律などを実際に守らせるようにすること | @ 法執行 A 法の施行 |
19 | オピニオン・リーダー | 戦後しばらくは政治学者がオピニオン・リーダーの役を果たした時代があった。 | 世論に影響力を持つ人 | 世論形成者 |
20 | オンデマンド | 必要な部数だけ印刷するオンデマンドの技術が発達した。 | 注文に応じ必要なサービスを提供 | 注文対応 |
21 | カウンターパート | 国務副長官は、外相のカウンターパートではない。 | 対等な地位にある相手 | 対応相手 |
22 | ガバナンス | 企業におけるガバナンスの確立は喫緊の課題である。 | 組織をうまく統治すること | 統 治 |
23 | グローバル | 環境問題はグローバルな視点で論ずる必要がある。 | 地球全体の視点で | 地球規模 |
24 | ケア | 悩みを表現できない子供へのケアが不可欠である。 | 放置できないものへの手当て | 手当て |
25 | コア | 新製品のコアとなる技術の共有にまで踏み込む。 | 物事の中核となるもの | 中 核 |
26 | コージェネレーション | 家庭用のコージェネレーションの分野では、今後、小型化技術を開発しなければならない。 | 電気と熱とを同時に作り出して供給すること | 熱電併給 |
27 | コミュニケ | 国際会議は、コミュニケを公表して閉幕した。 | 合意内容を記した公式文書 | 共同声明 |
28 | コラボレーション | この作品は、画家、茶道家、書道家のコラボレーションだ。 | 異分野の人たちが共同で制作 | 共同制作 |
29 | コンソーシアム | 異業種の企業とコンソーシアムを組んで開発をする。 | 特定の目的のために複数の企業や団体が結集した集まり | 共同事業体 |
30 | コンプライアンス | 企業のコンプライアンスに係る取り込みが不可欠である。 | 法令や規則を守ること | 法令遵守 |
31 | サーベイランス | 農場段階での指導とサーベイランスの強化に全力を挙げたい。 | 継続的調査で厳しく監視すること | 調査監視 |
32 | サマリー | この論文には、サマリーが付いている。 | 重要部分を簡潔にまとめたもの | 要約/要旨/概要 |
33 | シーズ | 基金の目的は、研究開発そのものではなくシーズを花開かせることである。 | 将来大きな発展が予想される新技術 | (技術の) 種 |
34 | セーフガード | 輸入の急増でセーフガードを発動した。 | 暫定的に輸入を制限する制度 | 緊急輸入制限 |
35 | セットバック | この道路に面した建物は、セットバックをする必要がある。 | 道路から後退させて建てること | 壁面後退 |
36 | タスクフォース | 為替安定のためにタスクフォースの設置が提案された。 | 短期間で問題解決を図るために、特別に編成されたチーム | 特別作業班 |
37 | ダンピング | 農産物分野では特定国のダンピングが問題となっている。 | 公正な競争を妨げる価格の引下げ | 不当廉売 |
38 | ツール | インターネットはいまや生活に欠かせないツールである。 | 目的実現のための便利な道具 | 道具/手段 |
39 | デジタルデバイド | 世代間のデジタルデバイドを解消することが大事である。 | 情報技術を利用できる人と、できない人との格差 | 情報格差 |
40 | デフォルト | @ アルゼンチン国債は、デフォルトに陥った。 A このパソコンのデフォルトの画面は、青色の画面である。 |
@ 債務が履行できない状態 A 最初の設定の状態 |
@ 債務不履行 A 初期設定 |
41 | トレーサビリティ | 牛肉のトレーサビリティ制度が導入された。 | 生産流通の履歴を管理する仕組み | 履歴管理 |
42 | ナノテクノロジー | 科学博物館は、話題のナノテクノロジーのコーナーを設けた。 | 十億分の一メートル程度の微細な世界の物質を取り扱う技術 | 超微細技術 |
43 | ネグレクト | @ 政治の根幹にかかわることがネグレクトされている。 A ネグレクトによる虐待を受けた児童がいる。 |
@ 取り合わずに無視すること A 保護者が育児放棄をすること |
@ 無 視 A 育児放棄 |
44 | ノーマライゼーション | 養護学校との連携やノーマライゼーションの理念を関係者に浸透させるべきことが提言される。 | 障害のある人も一般社会で等しく普通に生活できるようにすること | 等しく生きる社会の実現/等生化 |
45 | ハーモナイゼーション | 各国の政策のハーモナイゼーションが重要となる。 | 国際間で制度の調和を図ること | 協 調 |
46 | バックオフィス | 製造ラインだけでなくバックオフィスも改革する必要がある。 | 後方で事務・管理を担当する部門 | 事務管理部門 |
47 | パブリック・インボルブメント | この計画策定に当たっては、パブリック・インボルブメントの仕組みを考えることが大事である。 | 行政が行う計画の策定を、住民の参加を積極的に募って行うこと | 住民参加 |
48 | パブリック・コメント | 政令の制定に先立ってパブリック・コメントが義務づけられた。 | 原案段階で公表して一般の意見を聴取する手続きのこと | 意見公募 |
49 | フォローアップ | 今回決定された行動計画のフォローアップを進める。 | 追跡して調査し必要に応じ手当て | 追跡調査 |
50 | プライオリティー | 公共投資の配分のプライオリティーの見直しをする。 | 他より優先すべき度合いの程度 | 優先順位 |
51 | ベンチャー | 再生医療の初のベンチャーとして設立された。 | 新規分野で事業を興す中小企業 | 新興企業 |
52 | ボトルネック | 交通事情は時として経済発展のボトルネックとなる。 | 発展や進行の妨げ | 隘路/支障 |
53 | リテラシー | @ 日本はリテラシーの高い国だが、読書をしなくなっている。 A 情報リテラシーを身につけることが大切である。 |
@ 文字を読み書く能力
A 情報を活用する能力 |
@ 読み書き能力 A 情報活用能力 |
54 | リリース | 自分が作曲した交響曲をリリースした。 | 作品や情報を発表すること | 発 表 |
55 | ワークショップ | 道路の企画を住民が参加するワークショップで話し合う。 | 専門家の助言を得ながら参加者が共同で研究や創作を行う場 | 研究集会 |
56 | ワンストップ | ワンストップであらゆる相談に応ずることを目指す。 | 複数の用事を一箇所で済ませる | 一箇所/窓口一元化 |
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