悠々人生エッセイ



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          目 次
    
       
     3年前のAIは全然使えない
     人間がAIに取って代わられ
     AIの知能がうなぎ登りへと
     産業革命時のラッダイト運動
     私もAI時代に参画しようと
     3年前チャットGPTはダメ
     現在のものは急速に進歩した




1.3年前のAIは全然使えず

 今から3年前の2023年8月、その頃、出たばかりの対話型AI(人工知能)であるチャットGPTを試しに触って、私が良く知っている専門分野である不正競争防止法について質問してみた。すると、答えは間違いだらけで、「こんなもの全く使えないではないか」というのが私の結論だった。

 ところが、その後、AIが急速に進歩して、3年前のいわば中学生程度のレベルから、今では大学生どころかいきなり中堅の専門家レベルの解答をするようになった。不正競争防止法の例でいくと、3年前は下記6.のような間違いだらけの解答だった。ところが、つい昨日、チャットGPTに質問したところ、下記7.のような専門家顔負けの答えが返ってきた。Google Geminiに聞いてみても、同様であった。

古河庭園の薔薇




2.人間がAIに取って代わられ

 「これでは、人間がAIに取って代わられるのは時間の問題だ」と思っていたら、いやいやそれどころか、ものすごいスピードで、それが現実のものになってきた。正に、あれよあれよという間だ。

 フィナンシャル・タイムズによると、「米国人の7割は、AIによって仕事を見つけにくくなると考えている。米国の就業者の3割は、自らの職を失う不安を抱える。特にプログラマーを中心に、大卒求人が減っていることが不安に拍車をかけている」とのことだ(2026年5月16日号)。

 また現実に、アメリカの大手IT企業等は、求人が減るどころか、いま働いている従業員の数を大きく減らしている。日本経済新聞によると、「メタやマイクロソフトなど米大企業が次々に大規模な人員削減を発表している。民間集計によると2025年の削減数は08〜09年の金融危機当時と同水準に膨らんだ。・・・

 米決済大手ブロックは、1万人の従業員の4割を減らす大規模なリストラだった。25年末にアンソロピックとオープンAIが公開した最新のAIで開発風景が一変していた。アプリ開発などのための質の高いコードを、AIが自動修正を繰り返しながら書けるようになった。『もはや人間の開発者がコードを書く必要はない』と」
(2026年5月2日付)

古河庭園の薔薇




3.AIの知能がうなぎ登りに

 それどころか、AIの知能がどんどん上がって、東大入試問題を解かせると、ほぼ満点の成績をとるようになった。

 朝日新聞によると、「生成AIの最新モデルに2026年の東京大学の入試問題(前期)を解かせたところ、チャットGPTとGoogle Geminiが文科1類〜理科3類のすべてで合格者の最高点を上回った。2024年の問題では合格点に届いておらず、高度な計算力や論理展開力が大きく進化した」という(2026年5月8日夕刊)。

 この調子だと、中堅や若手のIT技術者、事務職などの従業員は、会社での居場所がなくなるのは、もはや時間の問題である。下手すると、近いうちに学者も研究者も要らないことになりかねない。

 これまでは、知能と創造力が人間の人間たる所以だと思っていたのに、その信念が、ガラガラと音を立てて崩れていているようだ。

古河庭園の薔薇




4.産業革命時のラッダイト運動

 このような状況下では、19世紀初頭のイギリスの産業革命期に起きた、ラッダイト運動を思い出す。これは、蒸気機関という新しい技術が工場に備え付けられ、これによって仕事が奪われる工場労働者がその機械の打ちこわしに走った暴動である。

 当時、イギリスでは繊維産業を中心に産業革命が急進展していた。それまで高度な技術を持つ職人が手作業で行っていた織物や紡績の工程に、蒸気機関で動く大型の織機や紡績機が導入された。これにより、特別な技術を持たない未熟練労働者や子供でも安価に製造できるようになり、熟練職人たちは仕事を奪われ、賃金が激減した。

 このうち、
  イギリス → 全世界
  産業革命 → AI革命
  蒸気機関 → 生成AI
  熟練職人 → 中堅以下労働者


と置き換えれば、まさに現下の状況に当てはまる。その理由や根拠はともあれ、各地でデータセンター反対運動が盛り上がっているのも、宜なるかなという気がする。

 1811年に始まったラッダイト運動は、政府が治安維持のために1万人規模の軍隊を国内に配置し、徹底的な弾圧を加えて首謀者を何人か絞首刑にした結果、1817年には収束したということだ。

古河庭園の薔薇




5.私もAI時代に参画しようと

 生成AIが昔の蒸気機関のように破壊の対象になるかというと、そんなことは全くない。だいたいクラウド上にあるプログラムは、壊しようがないからだ。

 そういうわけで、AIはそもそも破壊できるような代物ではないが、その前に、この度の私のように、過去3年間のAIの急速な進歩に気づかず、ぼーっとしているうちに、社会の隅々にまで浸透していき、ひいては、全ての人がその利便性を享受するだろう。その反面、一部の運の悪い人々の仕事が、煙りの如く蒸散してしまうものと思われる。

 私のように、世の中にAIなるものが存在しなかった時代に生まれ、勉強し、社会に出て働き、家庭を持ち、生活してきた人間には、これからの世界がどうなるか、まるで予想もつかない。しかし、これまでの常識とは全く異なるものになることは、確かである。

 こうしたAIによる新時代の到来に取り残されないよう、私もアヒルの水かきをして、少しでもこれに参画しようと考えるようになった。具体的には、「Dify」と「Chat GPT」を使って、私のこのホームページの分身である「AI悠々人生」を作ることである。

 昔々、アメリカの金持ちが、自分の肉体と思考を後世にそのまま残したいと決意し、莫大なお金をかけて研究をさせたそうだ。その結果、肉体を残すことは早々に諦めたものの、頭の思考は残せるのではないかと引き続き研究させたが、遂にそれも完成しないままにこの世を去ったそうだ。

 しかし、今ではAIを使うと、それがある程度、実現可能なのである。どういうことかと言うと、「Dify」に渡す「プロンプト」(いわば脳)「ナレッジ」(いわば知識)を工夫するのである。

 「プロンプト」とは、根幹となる「動かし方のルール」で、次の3つからなる。

 @ AIに「どのような立場として振る舞うか」を教え、AAIが回答を考える際の、土台となる背景情報や前提条件や知識を指定し、B 出力フォーマット・制約条件の指定(回答の文字数、敬語体か否か、出力する形式等)である。

 「ナレッジ」とは、AIに参照させるべき悠々人生ならではのデータベースで、プロンプトで「必ずナレッジの内容を基に答えよ」と指示することで、悠々人生のエッセイでるる述べた正確なデータ(事実)のみに基づいた信頼性の高い回答」をさせることができる。

 ユーザーから質問が来ると、Difyはアップロードされた膨大なナレッジ(知識データベース)の中から、関係がありそうな部分だけを瞬時に見つけ出す(この仕組みをRAG:検索拡張生成という)。先ほどのプロンプトの指示に従いAIはその見つけてきた部分だけを読み込んで回答を作るため、効率的で賢い回答が可能になる。

 というわけで、とりあえずは、2000年以来の26年間をかけて、私が「悠々人生」で延々と書いてきた全てのエッセイを、「ナレッジ」に入れるべく、作業中である。これを終えると、私の分身たる「AI悠々人生」が出来上がるという次第である。もっとも、そんなに上手くいくか、こればかりはやってみないと分からない。まあ、仕上がりをごろうじろというところである。


(2026年5月21日記)




古河庭園の薔薇


6.3年前チャットGPTはダメ

 体温を超す猛暑の中、車椅子を押して、家内を病院に連れて行った。今日は、骨密度の放射線検査の日である。これは、二種類の検査で、結構、時間がかかる。その待ち時間は手持ち無沙汰なので、最近導入したチャットGPTのアプリをさわって、使い物になるかどうか試していた。

最初の私の質問

(問1)食事の内容が、一方では高血圧予防のために減塩にせよといいますが、他方では夏は汗をかくから塩分をとれといいます。では、夏はどうすれば良いのですか?

(チャットGPTの問1への答)


 夏には確かに汗をかきやすく、塩分が不足する可能性がありますが、適切なバランスを保つことが重要です。食事の内容は個人の健康状態や体質によって異なりますが、以下のポイントに留意すると良いでしょう。

 1.塩分摂取量を調整: 高血圧予防のためには減塩が必要ですが、暑い夏には少し塩分を摂ることで体内の電解質バランスを保ち、熱中症予防にも役立ちます。過剰な摂取は避け、適度に摂るよう心掛けましょう。

 2.塩分の代替:塩分を控えたい場合、塩の代わりにハーブやスパイスを使って食事を調理する方法もあります。これにより味付けを楽しむことができます。

 3.バランスの取れた食事: 夏は野菜やフルーツが豊富な季節です。バランスの取れた食事を心掛け、栄養をしっかりと摂取するようにしましょう。

 4.水分補給:汗をかくことで水分も失われますので、水分補給をこまめに行うことが大切です。  

個人の健康状態に合わせて、医師や栄養士のアドバイスを仰ぐとより適切な食事内容が見つけやすくなります。


 まあ、常識的な、可もなく不可もない答えである。では、次の質問はどうか。


(問2)アメリカの秘密保持法制について教えてください。

(チャットGPTの問2への答)

 アメリカの秘密保持法制にはいくつかの法律や規制が存在しますが、その中でも代表的なものとして「秘密保持法」と「国家安全保障法」が挙げられます。

 1.秘密保持法(Espionage Act):この法律は1917年に制定され、国家の安全保障に対する脅威となる行為を規制するために用いられます。スパイ活動、機密情報の提供、国防機密の漏洩などが含まれます。これに違反すると、重罪として訴追されることがあります。

 2.国家安全保障法(National Security Act):この法律は1947年に制定され、アメリカの国家安全保障機関の組織と職務を規定しています。中でも「中央情報局(CIA)」や「国家安全保障局(NSA)」などの組織が設立されました。これらの機関は情報収集、暗号解読、国家の安全保障に関する活動を行います。

 これらの法律や規制は、国家の安全保障を確保し、国内外の脅威から国を守るために重要な役割を果たしています。ただし、秘密保持法制には個人のプライバシーや情報の公開に関する議論もあり、バランスを保つことが重要とされています。


 ふむ、聞き方が悪かったか、知りたいことが載っていない。それでは、この質問はどうかな。


(問3)アメリカのスパイ防止法について教えてください。

(チャットGPTの問3への答)


 アメリカにはスパイ防止に関するいくつかの法律や規制が存在しますが、その中でも代表的なものとして「対外諜報活動監視法(FISA法)」と「経済スパイ法(Economic Espionage Act)」が挙げられます。

 1.対外諜報活動監視法(FISA法):この法律は1978年に制定され、外国の諜報機関やスパイ活動を監視するための枠組みを提供します。FISA法に基づいて設立された特別な裁判所である「外国情報監視法務裁判所(FISC)」が情報収集活動に関する許可を審査し、外国の通信傍受や諜報活動に必要な情報の取得が行われます。

 2.経済スパイ法(Economic Espionage Act):この法律は1996年に制定され、アメリカの経済機密を盗む行為を規制します。企業の機密情報や貿易秘密を盗む行為に対して、民間企業や経済の安全を守るための措置が講じられます。この法律は企業の知的財産を守り、経済的な損失を防ぐことを目的としています。

 これらの法律はスパイ活動や知的財産の盗難などの脅威からアメリカを守るために重要な役割を果たしています。また、これらの法律の適用範囲は外国人だけでなく、アメリカ国内におけるスパイ活動に対しても適用されることがあります。


 へえ、聞き方によって答えがこんなに違うのだ。引用する法律が、期待したものとは大きく異なっている。では、この質問はどうか。


(問4)アメリカの経済スパイ法と日本の不正競争防止法の違いは何ですか?

(チャットGPTの問4への答)


 アメリカの経済スパイ法(Economic Espionage Act)と日本の不正競争防止法には、いくつかの主な違いがあります。

1. 対象範囲:
(1) 経済スパイ法(アメリカ): アメリカの経済スパイ法は、外国の経済スパイ活動を規制する法律です。主に外国の諜報機関や個人がアメリカの企業や研究機関から機密情報や知的財産を盗む行為を取り締まることが目的です。
(2) 不正競争防止法(日本): 日本の不正競争防止法は、主に国内の企業間での不正な競争行為を規制する法律です。偽情報の拡散、知的財産権の侵害、顧客の誤認誘引などの不正行為を取り締まることが目的です。

2.適用対象:
(1) 経済スパイ法(アメリカ): 主に外国の個人や組織がアメリカの国内で経済スパイ活動を行う場合に適用されます。
(2) 不正競争防止法(日本): 主に日本国内における企業や個人の間で不正競争行為が行われた場合に適用されます。

3.罰則の違い:
(1) 経済スパイ法(アメリカ): 経済スパイ法に違反すると、重罪として起訴される可能性があり、罰金や懲役刑が科せられることがあります。
(2) 不正競争防止法(日本): 不正競争防止法に違反すると、民事上の責任が問われることが一般的で、損害賠償の支払いや不正行為の差し止めなどが行われる場合があります。

 これらは両国の法律が異なる文化や経済状況に応じて設計されているため、違いが存在しています。経済スパイ法は主に外国の脅威に対応するために設けられているのに対し、不正競争防止法は国内の企業間の公正な競争環境を維持するために制定されています。


 この解説はひどい。大間違いだ。にもかかわらず、一見もっともらしく解説しているから、始末に負えない。日本の不正競争防止法は、確かに昔は企業どうしの民事関係を規律する法律だった。しかし、近年の相次ぐ改正で、産業スパイ防止法としての性格を強くしている。すなわち同法は、営業秘密侵害罪を規定し、10年以下の懲役若しくは2000万円以下の罰金又はその両方を課す。また、著名表示冒用行為等に対しても、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその両方を課している。現に大手自動車会社や中国企業に係る営業秘密の漏洩が刑事事件となったこともあり、そんなことは弁護士であれば誰でも承知のはずだ。

 そういうわけで、上のチャットGPTの解説は、明らかに誤りである。やっぱり、専門的な分野では、とうてい使えない代物である。その代わり、あたかもコンピューターと会話するように、ヒントを得たり、また別の観点から考えたらどうなるかということを知るために、気楽な気持ちで知識を得たいという使い方であれば、そう悪くはないと思う。しかしながら、その場合でも盲信は禁物で、常にファクト・チェックは欠かせないだろう。


(令和5年8月3日記)

古河庭園の薔薇





7.現在のものは急速に進歩した

(問)アメリカの経済スパイ法と日本の不正競争防止法の違いは何ですか?

(チャットGPTのこの問への答)


 アメリカの「商業情報秘密保護法」と日本の 不正競争防止法 は、どちらも企業の営業秘密(trade secret)を保護する制度ですが、法体系や保護範囲、訴訟制度にかなり違いがあります。

 アメリカでは、主に州法である「Uniform Trade Secrets Act(UTSA)」と、連邦法である「Defend Trade Secrets Act(DTSA, 2016)」によって営業秘密が保護されています。日本では営業秘密保護は不正競争防止法の一部として規定されています。主な違いを整理すると、次のようになります。

項 目     アメリカ(DTSA・UTSA)       日本(不正競争防止法)
法律の位置づけ 「営業秘密保護」が独立的・中心的制度 不正競争行為全体の一類型
保護対象 trade secret(技術・営業情報)  営業秘密+限定提供データ
営業秘密の要件 秘密性・経済的価値・合理的管理  秘密管理性・有用性・非公知性
刑事罰   主に経済スパイ法(EEA)で対応   不正競争防止法自体に刑事罰
民事救済 差止・損害賠償・懲罰的賠償など     差止・損害賠償中心
ディスカバリー 広範な証拠開示あり        限定的
域外適用 比較的強い            近年強化されたが米国ほど広くない

 特に重要なのは、次の3点です。

(1) アメリカは「営業秘密保護」を独立した知財法として強く扱う

 アメリカでは、営業秘密は特許・著作権と並ぶ重要な知的財産として扱われています。2016年のDTSAにより、連邦裁判所で直接訴訟できるようになりました。さらに、場合によっては裁判所が被告に事前通知せずに資料やサーバを差し押さえる「ex parte seizure(片面的差押命令)」まで認めています。日本ではそこまで強力な緊急措置は一般的ではありません。

(2)日本法は「不正競争全般」を規制する

日本の不正競争防止法は、営業秘密だけでなく、商品形態模倣、ブランド冒用、ドメイン名の不正取得、原産地偽装、信用毀損、限定提供データ侵害なども一括して規制しています。つまり、日本法では「営業秘密保護」は不正競争規制の一部です。

(3)アメリカの方が訴訟上の武器が強い

 アメリカでは民事訴訟におけるディスカバリー制度が非常に強力で、メール提出命令、サーバログ開示、関係者尋問、電子証拠保全などが広範に認められます。そのため、営業秘密侵害訴訟では、日本よりも原告側が証拠を収集しやすい傾向があります。

 一方、日本では証拠収集手段が限定されるため、「侵害を立証する難しさ」が長年問題とされてきました。また、保護対象にも違いがあります。日本法には「限定提供データ」という独特の概念があります。これは営業秘密ほど厳格な秘密管理はされていないが、ID・パスワード等で管理されているビッグデータなどを保護する制度です。

 アメリカにはこれに完全対応する統一概念はありません。さらに、アメリカでは国家安全保障との結びつきが強い点も特徴です。特にEconomic Espionage Act(経済スパイ法)では、外国政府の利益のための営業秘密窃取は重大犯罪として扱われ、FBIが捜査することもあります。日本でも近年、技術流出対策が強化されていますが、制度運用は依然として民事中心です。

要約すると、

 アメリカ法:営業秘密を「独立した知財・国家安全保障問題」として強力に保護
 日本法:不正競争規制の一環として営業秘密を保護 という構造的違いがあります。


(令和8年5月21日記)





(令和8年5月21日著)
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