This is my essay.






 去年、久しぶりに愛宕山に登って、びっくりしたことがある。何と、愛宕山のすぐ横に、高い建物が建築中だったからである。これでは、江戸時代にこの急峻な山を馬で駆け下りて将軍に誉められたとかいう武士も、びっくり仰天しただろうにと思うほどである。まあ、それはともかく、この高層建築は、森ビルが建てたものらしくて、愛宕MORIタワー、愛宕フォレスト・タワーという。この秋になって、そのMORIタワーのてっぺんに、おかしなレストランができたよと家内がいうものだから、出かけてみた。

 神谷町の地下鉄の駅から、わずかに数分のところにあり、交通の便はよろしい。42階にあるそのXEX(ゼックスというらしい)は、周囲を見下ろす天空のレストランで、確かに眺めは絶品である。もっとも、高所恐怖症の方には、お勧めはしないが・・・。

 ただ、このレストランは、十分に気をつけなければいけない。まずは、入り口であるが、急に段差があるので、つっかかって、前のめりに転びそうになった。その瞬間、テニスのステップを踏むように飛び上がって着地したからいいようなものの、そうでなければ、無様に転んでいたところだ。そうはならなかったので、家内にはやや面目を施したが、危ない危ない。次は、焼き鳥の部屋に入っていったときに起こった。それに至るまでにもしばしば気がついたが、ともかく、突然に段差が出てくるのである。ここでも、また突っかかりそうになった。まあ、それも大事には至らずに済んだ。しかし、話はそれでは終わらなかったのである。極め付きは、食事のあとに窓際に行って写真を撮ったときのことである。壁際に近づいたときに、今度は壁の近くに出っ張りがあって、その尖った部分で足の臑をしたたか打った。今度こそは痛かった。あとからみたら、出血していたほどである。全くもって、こんな危険なレストランはない。

 おっと、あまりのことで忘れるところだったが、肝心の食事のことだけれども、残念なことに、これが全然おいしくないのである。ビーフ・シチューを頼んだら、シチュー本体とサラダが出てきたが、いずれも「甘すぎる」のだ。サラダですら甘いとはどういうことか。コーヒーに砂糖をスプーン三杯という感じである。たまたま目の前にコックがいたので、「これ、甘くないかね」と聞いたが、本人は「えぇ、甘くしています」というのである。てんで意に介してしないようなのでそれ以上はいうのをやめたが、これで反省しないようなら、大したところではない。

 最後に、たったひとつ誉めるところは、ちょうど銀座の過門香のように、「シアター・レストラン」を試みているらしいところである。ウェイトレスは、黒を主体に白も混ぜた「うさぎちゃん」風であるし、コックも、黒いカジュアル・ウェア風の服を着て働いている。まあ、危ないことと、甘すぎることを除けば、夜景の美しさもあって、一度は行ってみて面白いかもしれない。ただし、レストラン内ではくれぐれも、夜景ではなく、足下を見てあるいてほしい。

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(平成13年11月26日著)
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Essay of My Wonderful Life

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