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いつもの土曜日のお昼近くのこと、12月に入ったというのに、まだあまり寒くならない。それどころか、自宅のベランダを通して入ってくる太陽の光を見ていると、これから冬に向かうとは、全く思えないほどのポカポカ陽気である。パソコンを眺めているうちに、そろそろお昼の12時を超えてしまった。 家内が、「こんなところが出来たんだって」と新聞を広げて持ってきた。それによると、「臨海副都心のデックス東京ビーチに新棟『アイランドモール』完成。香港の町並みを再現した「台場小香港」が売り物。12月2日オープン」とあった。できたばかりで本日開店ではないか。これは、物見高いわれわれにぴったりのターゲットである。しかもまた中華が食べられて面白そうなので、二人で出かけることとした。思ったより近くて、地下鉄有楽町線で新木場乗り換えで45分ほどで着いた。 りんかい線の東京テレポート駅に降り立つ。目指すところはフジテレビのとなりにあるらしいが、周りに雑草と駐めてある車以外は建物も何もないので、思ったより近く見える。ところが雑草の空き地を横目に見ていざ歩き始めると、なかなか着かないということになる。まさに、世界都市博の夢の跡である。それでも実際には6〜7分で到着したが、駅からぐるりと遠回りをさせられたし、下をビュンビュンと車が通り過ぎる湾岸線を見下ろしながら橋を渡るので、決して快適ではない。ただ、車で来ても、土日は駐車場があるようでなさそうなので、これまたフラストレーションがたまりそうである。 デックス東京ビーチというのは、セガのゲームセンターらしき所の隣にある。いや、それと同じビルかもしれない。さらにその隣のビルは、あの銀色の展望台でよく目立つフジテレビである。一度そこに近づいたことがあるが、大音響でわけのわからない音楽を流していたので敬遠し、途中で回れ右をしてきてしまったので、まだ入ったことはない。今日も土日だったせいか騒音がうるさかった。 さて、そのデックス東京ビーチとやらにエスカレーターで上がっていったものの、ビルに入ってみると、皆が通り過ぎてしまうような化粧品コーナーとか、あまりセンスが良いとは思えない衣料品売場のようなところに出た。訪れるお客の層に対してピントが合っているとは必ずしも言えないような商品ばかり売っているのではないかという気がした。しかしその一方で、いやこれは私のセンスの方がズレているのかもしれないとも思った。そのように自戒しつつ見ていると、やはりお客は見るだけで、あまり買ってはいないではないか。あるいはは、私の直感の方が正しかったのかもしれない。 しかし、どちらが正しいかは、一年後か早くて半年後くらいに再び行ってみるとわかるであろう。お店の消沈が見えているからである。それにしても、こういう客商売は、なかなか大変である。このロケーションだと、若いカップルか、地方から団体で来るお上りさんに的を絞っていると正解かもしれない。しかし中には首をかしげるようなものを売っている店もある。人間の背丈もあるような大きな木製の鳥などは、子供に「ははっ、この鳥、くちばしが長ーい」などと笑われていた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 暗い中で小香港の妖しく輝くネオンを見上げ、うるさい飛行機の離着陸の騒音を聞くのにも飽きたので、下の階に降りていくこととした。うす暗いところでエスカレーターに乗り、降りていった。するとそこは、照明が煌々と輝く普通のショッピング・センターである。19世紀の中国から21世紀の日本へと時空を瞬間的に移動したようで、何だか頭がくらくらしてしまった。 その建物の一階のデッキからは、お台場からレインボー・ブリッジを一望に眺めることができる。青い空に左右に大きな橋の桁が横切り、縦に大きく橋脚が聳える。その手前には、松に覆われた第三お台場があり、海には「竜馬」という船が浮かぶ。なかなか、シュールな構図である。幕末の勤王倒幕の志士たちも、これを見たらびっくり仰天して馬鹿らしくなること請け合いである。 そこから、水上バスに乗り、日の出桟橋を経由して浅草まで一気に帰った。この間は横浜でやはり船に乗ったが、この船もなかなか気持ちがいい。ただ、停泊しているときはともかく、動き出すと風が寒い。家族連れなどは、下の船室に逃げ込んでいった。日の出桟橋では、船を乗り換える。隅田川にかかる橋は、船の高さぎりぎりであるから、上のデッキには出られない。外国人の観光客の団体が乗ってきて、がやがやと話している。なかには旅行書に書いてある日本語会話の練習をしている人もいて、可笑しかった。 ![]() (平成12年12月 3日著) (お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。) |
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