This is my essay.








 いやいや、年にせいぜい一回、それも過去20年間で10回もやったことのないボーリングで、どういうわけか自己最高スコアが出たのだから、人生はわからないものである。もっとも、これまでの最高の120から160になっただけだから、お恥ずかしい限りであるが、それでもこれまではいくらやってみても120を超えなかったことを思うと、突然に40も上がったのは、私にとっては画期的なことなのである。先週、この辺りの人を集めてボーリング大会があるから出ようよとさそわれて、まあ職場の大会のようなものだからと参加したのである。100人を超える参加者だから、それはまあ盛観なもので、ガランゴロンという玉が転がっていく音がうるさいほどだった。

 いやあ、一年ぶりだなぁと思って玉を探し始めたのであるが、例のとおり、私の指が大きくて適当な玉がない。やっとこさ指が入ったと思ったら、何と15ポンドもある。そういえば、黒っぽくて何やら怪しい雰囲気を持つ玉である。仕方がないので、それを持って練習を始めたが、今度は玉の穴が大きすぎた。それを構えて投げたのであるが、玉を後ろへ振り上げたところで指で玉をしっかり掴んでいないと、後ろに飛んでいきかねない有様である。それでも前へえいやっと投げたのであるが、もうピンを狙うどころではない。指から離れた玉は、ふらふらと走って、たちまちガーターとなった。5回やって2回もそうなったので、これは玉の指の穴のせいだと考えた。いや、それにしても困ったことになった。

 「何かいい玉がないかなぁ、もっと軽くて、指の大きいヤツ」と情けなくなりながら探していくと、13ポンドで、横に「L」とある。これは指の穴が大きいということらしい。で、それに指を入れたところ、やや、つっかかる。特に中指がだめだ。しかし、親指がゆるいので、まあまあというところか。でも、もし投げて指が抜けなくなったら一大事である。脱臼では済まないなと思いつつ、それを持って帰って、おそるおそる投げた。

 やはり思ったとおり、指の抜けの悪さを感じたので、なるべく無理なところでは離さないようにと、後ろから前へと振り抜いた腕が水平になるまで待って、するりと玉を離した。そうすると玉が離れる位置が高すぎるので、玉が空中をしばらく飛んで、ドタッという大音響を発してしまった。その代わりというと何だが、玉をピンの真ん中にめがけて投げることができる。そうやって指から離れていった玉は、するするとレーンの真ん中を走り、あれあれと見守るうちに、ガラガラッとピンをすべて倒してストライクとなった。これは怪我の功名か。

 そのまま、実戦開始となった。その玉で投げていくと、いやいや調子のよいことといったら、こんなことは、生まれてはじめての経験である。最初のスコアは、これまでの最高の120を飛び越えて、136となってしまった。同じレーンのあと二人よりも、よほど良い。それで、次の回に突入した。調子の良さは続き、いや、もっと良くなった。前半にスペアがとぎれとぎれに三回あり、それから後半になって、今度はストライクが三回続いた。スコア画面に鳥の絵が出てきて、これを「ターキー」というらしい。ゴルフでいうとアルバトロスのようなもので、これまで全くご縁がなかった・・・。ということで、締めてみたら、160となっていたというわけである。よかった、よかった。

 実はそこでやめていたら、本当に気分よく帰れたのであるが、人間は欲深いもので、もう一度やったら、さらに良くなるかもしれないと思ってしまった。そこで、更に三回目に入った。ところがである。指の力が弱くなり、玉をしっかりとグリップできない。それでも順番が来るので投げないといけない。当然、玉の方向を狙うどころではなくなって、ともかく前のレーンに投げ入れることで精一杯。ガーターにはなるし、2〜3本しか獲れないしで、これは大変ということになり、結局のところ、98と相成った。つまりは、元に戻ってしまったのである。160というのは、やはり徒花だったか。さらに一年後を待とう。





(平成13年11月 8日著)
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悠々人生・邯鄲の夢





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